【インタビューVol.2】宝塚歌劇『オーシャンズ11』で振付を担当 大村俊介(SHUN)インタビュー

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ダンサー、振付家、演出家、役者など、いくつもの肩書を持っているクリエーターがいる。大村俊介(SHUN)さんだ。記憶に新しいところでは、今年の3月に日生劇場で上演された『プリシラ』で、ミス・アンダースタンディング役(Wキャスト:オナン・スペルマーメイド)で魅せた、ダイナミックなダンスだ。ダンサーや役者としての実績は誰もが知っているところだが、宝塚歌劇団が上演する作品で振り付けを担当し、「SHUN先生」と呼ばれていることを知らない人もいるのではないだろうか。

現在、宝塚大劇場で絶賛上演中の宙組公演ミュージカル『オーシャンズ11』の振り付けを手掛けたSHUNさんに、振付家として話を伺うことができた。宝塚歌劇で振り付けをする時に意識していること、宝塚歌劇団の生徒についてたっぷり語っていただいた。

―― 宝塚歌劇宙組公演ミュージカル『オーシャンズ11』の振り付けを担当されました。SHUNさんが初めて宝塚歌劇の振り付けに関わったのはいつですか?

最初は2011年の星組公演ミュージカル『オーシャンズ11』でした。急に小池(修一郎)先生から電話がきて、「噂を聞いたけど、振り付けをやらないか」とおっしゃるので「いいですよー」という感じで引き受けたんです。

大劇場公演の振り付けは初めてだったので、その時は本編2曲とショーを担当したのですが、一番ややこしい2曲をやったんです。あとは、大階段に立ったこともないのにいきなりフィナーレの大階段を担当しました。

大階段は、男役がバーンとかっこ良く登場する場面だからめちゃくちゃプレッシャーでした。当時はあまり宝塚の歴史を知らなかったし、観たことがなかったから。宝塚歌劇団という存在はもちろん知っていましたが、長い歴史があってファンもたくさんいるということなど、何も考えていなかったんです。

そういう状況で大階段の振り付けをしたので、階段がどのぐらいの幅なのかも分からず「こうやってできる?」みたいな感じで振り付けをしていました。当時星組トップのちえ(柚希礼音)やとよこ(涼紫央)が、「先生、それはできないかも」と言ってきて、「えっ? そうなのか。階段の幅ってどのぐらいなの?」と聞いたりして。実際に見てみると24センチぐらいしかないから、「それはできないわー」と、話をしながらやりました。

次に振り付けをしたのが、宙組公演『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』で、当時のトップは、てる(凰稀かなめ)。その時は、本編の振り付けもがっつり関わりました。『オーシャンズ11』のフィナーレの振り付けをいろいろな人から「ああいうのは今までなかった」みたいな感じで言われて、すごくウケて評判だったんです。それで小池先生から今度はもっといっぱいやらせますみたいなことを言われていたので、『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』では、めちゃくちゃ振り付けさせられました(笑)。

稽古が終わる日に、殺陣のシーンがついていないから、「SHUNさん、殺陣をつけてください」といわれたんですよ。殺陣なんてやったこともないのに(笑)。でもこの時に小池先生の信頼を得ることができたのかなあって思いましたね。

――今まで多くの舞台で振り付けをしてきたと思いますが、宝塚は独特だったと思います。やりづらさはなかったですか?

逆に「おもろっ!」って思いました。踊りのスタイルで、生徒によっては得意、不得意はあると思うんだけれど、宝塚には宝塚の素晴らしいものがあるから、こういう振りをつけたら、彼女たちはこうなるのかなとか、考えながらやるのが面白かったですね。

たぶん歌劇団の先生たちが求めていたのは今風の振り付けだったんだろうけど、そこまで今風のものにしてしまうと、彼女たちには似合わないと思ったんですよ。だったら古き良きものと、今の時代のものをいろいろミックスしたシンプルな振りのほうが映えると思ってやったかな。


―― それがウケて評判になったんですね。私も宝塚ファンとしてそう思いました。

ウケたって自分で言うのもなんだけれどもね(笑)。でもその後も振り付けのお話をいただくようになったから。特にちえがやたら俺を指定してくれて、演出の先生に「またSHUN先生を使ってください」と言ってくれたみたいなので、ちえの作品は必ず振り付けをするようになりました。

だから当時星組はすごく関わっていたんだけれど、そのあとに蘭寿とむがトップだった花組の『オーシャンズ11』の振り付けをすることになりました。初演の『オーシャンズ11』でフィナーレがめちゃくちゃ評判良かったので、男役だけのダンスはそのままにしたけれど、後半とデュエットダンスは、蘭寿と蘭乃はな、蘭蘭コンビのために変えました。

その後は星組のミュージカル『ロミオとジュリエット』のフィナーレ、「Aimer」のダンスバージョンで、めちゃくちゃ踊っているシーンを担当しました。

―― 『ロミオとジュリエット』のあのシーンは、SHUNさんの振り付けだったんですね! そして今回の『オーシャンズ11』となると、今の宙組トップの真風涼帆さんは星組時代からご存じだったということですね。

そうだよ!ゆりか(真風涼帆)でしょ。星組『オーシャンズ11』の時は、スリの役をやっていて、それが今回は主役のダニーだから、感動して泣いちゃうよね(笑)。

最初の頃は、生徒が成長していくところを見ていないから、何も分からず「この子が2番手か。この子が3番手なんだ」という感じで見ていたけれど、最近はだいたい分かるようになってきて「この子、伸びるだろうな」という目線で見るようになってきました。

―― トップスターになった真風さんは、どんな印象でしたか?

俺が今まで見てきたトップスターは、ギラギラした感じのちえ、ダンディーな蘭寿とむ、そして嘘みたいに美男の凰稀かなめ。それぞれタイプが全部違っていたけれど、ゆりかは、クラシックな男性に戻ったなって思ったの。クールで昔の映画みたいなイメージかな。今の子なのに、なんとも言えないクラシカル感がしますね。

ゆりかはどちらかというとあまり激しく踊るタイプではないから、今回は「じゃあ、ここはこうしようか」というふうに、動きを見ながら足し引きしてやりました。楽しかったですね。

―― 稽古期間はどのぐらいでしたか?

3日間ぐらいで、1日1曲ずつこなしていくという感じでした。でも1日1曲といっても3~4時間ぐらいの稽古だったから、あとは通しを見に行って、あそこがダメだったから練習しておいてよ、という感じでした。

宝塚の子たちって練習熱心で、稽古が終わってもずっと練習しているんですよ。上級生が「みんなでそろえよう!」と言ったら、下級生もきちんと残ってやっているし。宝塚の稽古場は22時に電気が消えちゃうんだけれど、非常灯みたいものしかついていない暗い中でみんな練習しているから、本当にえらいと思う!

―― 普段の舞台の振り付けと宝塚の振り付けと、意識して変えているところはありますか?

 男役といってもやっぱり女性ですからね。例えば俺みたいな男がドンってここまでいけても、女性にはできないこともあるわけだから。そうすると違うところで男っぽさを出すにはどうしたらいいだろうということを考えるし、逆に俺たち普通の男がパッとやるよりも、男っぽく見えることもあったりするから、「おもろっ!」と思いながらやっていますね。

―― 男役と娘役は、振りのつけ方は違いますか?

全然違います。娘役のほうが、普段アーティストさんにつける振りのニュアンスを持ってきたり、普通にレッスンでやる振りを付けたり、何も考えないで楽にできるかもしれないですね。

―― そこは普段と変わりなくできるんですね。 

娘役は変わりなくできるけど、男役はすごく考える。普通につくる振りだと男役にならないから。そこがやっぱり難しいところかもしれないです。単純に「これ、男っぽいでしょ?」とやっているものが、男っぽくなかったりすることが多いから。でもそういうところも面白いなあと思う。


―― SHUNさんは、ご自身もダンサーとして舞台に立って振り付けも担当することが多いじゃないですか。でも宝塚は当然違うわけで……

無理だよね(笑)。

―― そうしたところに何か違いはありますか? 

自分が出演する時に振り付けをすることで困るところは、振り付けのクオリティーが気になって、自分自身の練習ができなくて追い付かないところなんです。でもいい点は舞台上にいれば、「これはこうしたほうがいいな」とすぐに修正したり、他のキャストに対しても常にアドバイスができるところです。

実際、本音は凄く大変ですが(笑)両方やらせていただきありがたいのでどちらも頑張ります!


―― 5月24日から上演される、junkiesista×junkiebros.PRESENTSお葬式ミュージカル『REiseNT~霊前って…~』でも振り付けを担当されています。唯一のjunkiebros.のメンバーとして出演もされますが、どんな感じになっていますか? 

junkieの場合はまた特殊ですね。真面目に歌い踊るというレベルでは、収まらないことをやらなければならないし、普通の現場ではできない振り付けもしているから。俺にとってはホームな感じではあるけれど、ある意味挑戦の場でもあるから。どんなものを観せるのかということで、俺たち全員が評価されちゃうから苦しいですね。

普通の現場だったら、例えばスターである主役がいて、その人がかっこよく見えるためのものや、話をしっかり伝えるためのものなど、目的をしぼればいいのだけれど、junkieの場合は、その先がなければいけないんです。

振り付けはもちろんのこと、面白くなければいけないし、全員が主役だから全員が生きていなければいけない。かといって、かっこいいだけじゃなくて、楽しさすべてがなければいけない。junkieでやっていることは一生懸命、真剣にふざけて芝居をすることだから、そういう場合の振り付けは難しいし、センスがないと本当にできないと思う。一生懸命ふざけるのが一番難しいですね。

―― この公演の振り付けは一人でやられるのではないですよね? 

今回の振り付け担当は4人います。出演しているJuNGLEさんもやってくれているし、今回は出演していなけれど、原田薫さんとただこさんが初演でつけてくれた振り付けをやってくれています。

でもみんな天才だから、作るものがすごいと思いますね。与えれば作り上げてくる人たちだから、それができてしまえばあとは自分のことに集中できるかもしれないです。作り上げていく段階で、みんな勝手に面白くなっていきます。

―― そして7月には、SHUNさんのLIFE WORKS vol.2のオーディションをやるんですね。 

やります!ほとんどのキャストをオーディションで決める予定です。

―― vol.1『蜘蛛の糸』を拝見した時、世界観に圧倒されました。今回はどんな作品になりそうですか? 

タイトルは『Lights』で、20人ぐらいのキャストで上演しようと思っています。疲れて家に帰った時に電気がついているって素敵だなという思いを描こうかと思います。なぜかというと、震災の時に電気がつかないことってすごくつらいことだと感じたんですよ。光があるのは当たり前の事ではなく凄い事なんだという思いから始まりました。俺は人に楽しんでもらいたい、元気になってもらいたいから踊っているんだけれど、それと同時に光を与えてあげたい、光を与えられる人間にならなきゃいけないということを思っているので、「それをやるか!」となりました。

―― SHUNさんにとって、LIFE WORKSシリーズはどんな意味を持っているのですか? 

ダンスだけの舞台で、それに集中できる作品はなかなかないから、若手ダンサーの成長の場にしてあげたい。みんなが真剣に「ダンスをやりたい!」というものを作ってあげられたらいいな、そういう成長の場になったらいいなというところから、LifeWorksは始まったから。

若い子たちが「こういうことをやりたい!」と言える場を作って、それを踊りで表現することができるという思いを味わわせたい。例えば「これは好きじゃないから、やりたくない」と言えることも成長だと思うし。そういう経験をさせてあげたいんです。

―― 最後に、今後の目標を教えてください。

目標!一番難しいよね。でも俺はずっと自分のペースで踊り続けていきたいな。プレーヤーが一番!


取材・文・撮影 咲田真菜

『REizeNT~霊前って…~』観劇レポもご覧ください!↓
爆笑! 超コメディーミュージカル『REizeNT~霊前って…~』観劇レポ

 


junkiesista x junkiebros.PRESENTS『REizeNT~霊前って…~』

演出:林希
脚本:金房実加

東京公演日程:2019年5月24日(金)~6月2日(日)
会場:キンケロ・シアター(東京・中目黒)

大阪公演日程:2019年6月8日(土)~9日(日)
会場:一心寺シアター倶楽

チケット料金:前売り6,000円(全席指定・税込)  当日  6,500円(全席指定・税込)

出演:林希、大村俊介(SHUN)、JuNGLE、空ゆきこ、柳橋さやか、HONEY(H5)、かちゃ、ATSUSHI(BluePrint)、橘二葉(東京パフォーマンスドール)、石倉良信、シルビア・グラブ

<チケット情報>

東京公演
■CNプレイガイド
http://www.cnplayguide.com/reizent/

0570-08-9999(10:00~18:00)※オペレーター対応
店頭:ファミリーマート各店

■セブンチケット
http://7ticket.jp

店頭:セブンイレブン各店

■お問合せ:REizeNT事務局(クリエイティブワンズ内)
TEL:03-4405-5016 / 06-6356-6788(平日10時~17時)
E-mail:junkiesista2019@gmail.com
http://doubt-works.com/junkie/reizent/

大阪公演
■CNプレイガイド
http://www.cnplayguide.com/reizent/

0570-08-9999(10:00~18:00)※オペレーター対応
店頭:ファミリーマート各店

■セブンチケット
http://7ticket.jp

店頭:セブンイレブン各店

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TEL:0570-02-9999

(PC・スマホのみ)

ぴあ・セブンイレブン各店舗

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TEL:03-4405-5016 / 06-6356-6788(平日10時~17時)
E-mail:junkiesista2019@gmail.com
http://doubt-works.com/junkie/reizent/

 

LIFE WORKS Vol.2 『LIGHTS』
演出・構成・振付・出演:大村俊介(SHUN)
キャストダンサー:JuNGLE ATSUSHI  HACHI  周平 西川卓
振付師:原田薫 松田尚子 龍美帆

2019年7月28日(日)オーディション開催!
詳細は↓まで
@danceworks_jpn
@lifeworks2016

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