朝月希和インタビュー「白石加代子さんと同じ役を演じられる縁に感謝」【インタビューVol.29】

朝月希和

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2025年2月、京都・東京にて、藤間勘十郎文芸シリーズ 其の五『其噂妖狐譚 -そのうわさだっきものがたり-』が上演される。スタートから10年を迎えた「藤間勘十郎文芸シリーズ」。今作は美しい女性に姿を変えて悪行を重ね、国を滅ぼさんとしていた金毛九尾(きんもうきゅうび)の狐をとりあげる。

主演・賎の女(実は金毛九尾の狐)役に、日本演劇界のレジェンド白石加代子が、そして妲己(実は金毛九尾の狐)役には、元宝塚歌劇団の雪組トップ娘役で、退団後はグランドミュージカルへの出演が続く朝月希和が挑む。上演台本・演出・振付・音楽は、藤間勘十郎が手掛ける。

このたび妲己を演じる朝月希和さんへのインタビューを敢行した。新たな挑戦となる本作に向けた意気込みをたっぷり語ってくださった。

朝月希和

――藤間勘十郎文芸シリーズ 其の五『其噂妖狐譚 -そのうわさだっきものがたり-』は、どのような作品になりそうですか? 一見すると難しそうに感じてしまいますが…。

朝月希和(以下、朝月):
この作品は中国の歴史ものになりますので、漢字が多く一見すごく難しく感じるかもしれません。でも物語をたどっていくと伝説の狐の物語ですので親しみやすい部分がある作品です。私自身、中国の歴史等をいろいろと調べているうちにさまざまな発見があったのでとても楽しくなってきました。

物語の題名だけ見たら「漢字が読めない」「難しいそう」と感じるかもしれませんが、藤間勘十郎先生が分かりやすい演出をしてくださると思いますし、皆さまに楽しんでいただける作品になると思います。

――メインビジュアルで、金色のきらびやかな衣装を着ている朝月さんがとても印象的です。

朝月:中国では、金色の衣装を身に着けることが位の高い象徴だとされています。私が宝塚歌劇団を卒業する際の退団公演『蒼穹の昴』も中国ものだったのですが、その時は貧しい育ちの役だったため、金色の衣装をまとうことができませんでした。

今回の衣装は、袖や裾の先も豪華で素敵なので、ビジュアル撮影の時もすごく嬉しかったです。それと同時にお衣装を美しく見せる方法が難しいと感じたので、本番までに裾のさばき方等と勉強して、自分の体に染み込ませていきたいと思っております。

――今回、朝月さんが演じられる妲己(実は金毛九尾の狐)ですが、どのように役作りをしていこうと思っていらっしゃいますか?

朝月:日本では金毛九尾は殺生石のお話で馴染みがあると思いますが、今回は中国最古の王朝・殷(いん)国のお話ということで、金毛九尾の狐は世界を魔界にして征服しようと企んでいる狐のあやかしです。妲己という妃に乗り移り、妖艶さで魅了し人の欲を引き出していく悪いあやかしなんです。

お稽古が始まったら、細かい設定は藤間勘十郎先生とご相談していきますが、人間ではないあやかしということで、人間とは違う思考や感じ方があると思うんです。人間として感じるのではなく、あやかしとしてお芝居をして何かを感じていけたらと考えております。

――今年はミュージカルの出演が多かったですが、本公演では違うジャンルのものに挑戦されます。どのようなお気持ちですか?

朝月:このお話をいただいたときに、また新しいことに挑戦できるとすごく嬉しかったですし、素晴らしい共演者の皆さまとご一緒できるまたとない機会なので「ぜひ受けさせてください」とお返事しました。皆さんが演じる姿を見て自分がどう感じるのか、新しく感じることも増えると思いますし、それが今から楽しみで仕方がないんです。

ミュージカルは盛り上がってきたら歌で聴かせる部分が大きいと思いますが、今回はよりリアルに自分の心情を演技で表現していかなければいけないと考えています。白石加代子さんをはじめとした皆さんのお芝居が一体どうなるのかと、お稽古が始まるのが楽しみです。

――白石さんとは、すでにお会いしていらっしゃいますか?

朝月:まだなんです。(注:2024年12月取材時)今から楽しみですが、少し緊張もしています(笑)。白石さんも金毛九尾の狐を演じられるので、白石さんと同じ役を演じられる事などこの先はないかと思いますので、このご縁に感謝してしっかりと励んでまいりたいと思います。

――本作では、宝塚の先輩の舞羽美海さんもご出演されます。すでにお話はされましたか?

朝月:美海さんとは、昨年の雪組100周年の公演の時に、2日間だけご一緒させていただきました。雪組トップ娘役の先輩である美海さんと、お芝居で直接絡ませていただくのは初めてなので、すごく心強いですし嬉しいです。

同じ宝塚歌劇団出身として、通じるものや安心感というのがあります。この取材の前も別件でお話をさせていただいて、美海さんが「お互い何かあったら相談しようね」とおっしゃってくださいました。宝塚は絆がすごく強くて信頼感があるので、本当に「ありがとうございます!」と感謝の気持ちがあります。美海さんが演じられる役は私とは真逆ですが、そこも見どころになるのではないかと思います

朝月希和

――2024年もあとわずかですが、今年の総括と来年の目標をお聞かせください。

朝月:宝塚を卒業して2年になり、新しい経験をたくさんさせていただきました。毎回新しいことに挑戦していくたびに高い壁が目の前にそびえ立ち、それを必死に登っていきながら学んでいくことが多い1年でした。本当にあっという間に過ぎてしまいましたね。

来年はもっと一歩一歩着実に、自分の基盤を固めながらいろいろなものを敏感に察知して吸収していく1年になればいいなと思っています。まずは『其噂妖狐譚 -そのうわさだっきものがたり-』のお稽古が1月から始まりますので、たくさんのものを吸収していい1年の幕開けになればいいですね。

――2024年で印象に残ったお仕事はありますか?

朝月:どの作品もすごく印象に残っています。『王様と私』ではタプティムを演じ、名曲を歌わせていただいたのは一生の宝になったと思います。『ライムライト』では、トゥシューズを履きバレエを踊らせていただきました。また『RUNWAY』では、歴代のトップスターの皆さまと一緒に舞台に立たせていただき、貴重な経験ができました。

――改めて本作への意気込みをお願いします。

朝月:金毛九尾の狐の伝説は、インド・中国・日本でも語り継がれている有名な物語でございます。脚本を読み、人の欲・愛・正義、そしてまわりにいる人の大切さなどをじわじわと感じました。皆さまが観終わったあとに何かを感じていただけますように、藤間勘十郎先生の演出のもと、楽しんでいただける作品にしたいと思っています。ぜひ2月京都・東京にお越しいただけたら嬉しいです。

取材・文:咲田真菜
写真:谷中理音

朝月希和
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藤間勘十郎文芸シリーズ 其の五『其噂妖狐譚』ーそのうわさだっきものがたりー 公演概要

上演台本・演出・振付・音楽:藤間勘十郎 
製作:アーティストジャパン

出演:白石加代子
朝月希和、荒井敦史、沢栁優大、白勢未生、冨岡健翔、舞羽美海/三林京子

◆京都公演:2025年2月11日(火・祝) 12:00/16:00 京都芸術劇場 春秋座
料金:S席9,500円 A席7,500円(税込・全席指定)

◆東京公演:2025年2月18日(火)~24日(月・祝) あうるすぽっと
料金:9,500円 A席8500円(税込・全席指定)
チケット発売中

お問合せ:アーティストジャパン 03-6820-3500 
HP:https://artistjapan.co.jp/sonouwasadakkimonogatari_2025/
X:@aj_fk_bungei

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この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

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