沢尻エリカ舞台初主演、伊藤英明ら出演 舞台『欲望という名の電車』公開ゲネプロ観劇感想

左から清水葉月、沢尻エリカ (c)伊藤智美

Google

2024年2月10日(土)~2月18日(日)新国立劇場 中劇場、2月22日(木)~2月25日(日)森ノ宮ピロティホールにて、舞台『欲望という名の電車』が上演される。

アメリカ演劇を代表する劇作家テネシー・ウィリアムズの代表作として知られる本作は、1947年にブロードウェイで初演され、ピューリッツア賞を含むブロードウェイ3大賞を同時受賞。1951年にはヴィヴィアン・リーとマーロン・ブランドで映画化されアカデミー賞を受賞し映画史に残る名作となった。

本作では、数々の名優が演じてきた主演のブランチ役に舞台初出演にして初主演となる沢尻エリカが挑み、ブランチと反発し合うスタンリー役に伊藤英明、ブランチの妹・ステラ役に清水葉月、ブランチに好意を抱くミッチ役に高橋努が出演。4人の複雑な関係がどのような結末を迎えるのか、一時も目が離せない緊迫した舞台となった。

その他、ステラの大家ユーニス役に青木さやか、ユーニスの夫のスティーブ役に福田転球、スタンリーのポーカー仲間でもあるパブロ役に中村まこと、医師役に久保酎吉、看護師役にうらじぬの、コワルスキー家にやってくる集金人の若者役に青木瞭が出演。演出は鄭義信(チョン・ウィシン)が手掛ける。

このたび初日に先立って行われた公開ゲネプロを観劇。筆者は、2001年に青山円形劇場で篠井英介がブランチを演じた『欲望という名の電車』を観ており(ちなみにステラ役は久世星佳、スタンリー役は加勢大周、ミッチ役は田中哲司)実に20年以上ぶりの観劇となった。この記事では演出方法について述べるので、詳細を知りたくない人は注意してほしい。

『欲望という名の電車』あらすじ

アメリカ南部、ニューオーリンズ。「欲望」という名の電車に乗って「墓場」という電車に乗り換えて「天国」と呼ばれる猥雑な下町に降り立ったブランチ・デュボアは、妹のステラ・コワルスキーを訪ねる。二人は南部の地主の家に生まれ、裕福な少女時代を過ごした姉妹だった。しかしブランチは、実家のベル・レーヴ(美しい夢)という名の大農園を失ったことをステラに告げ、妹とその夫スタンリー・コワルスキーが暮らす質素な部屋に身を寄せる。ポーランド系労働者である義弟の野蛮な言動を嫌悪するブランチと、彼女の上流階級然とした振る舞いに我慢がならないスタンリー。二人の軋轢が高まるなか、ブランチはスタンリーの友人ハロルド・ミッチェル(ミッチ)との出会いに最後の幸福をつかもうとする。しかし愛は非情な終わりを迎え、ブランチの精神は壊れてゆく。

雑然とした町の雰囲気を上手く出した舞台セットとなっており、どのような人たちが生活しているか容易に想像ができる。本編が始まる10分前から、町に住む女性たちが下品な笑い声をあげ、それだけで舞台となるニューオーリンズの下町は、粗野な言動やふるまいの人々が多く住んでいることが分かる。本編が始まるといきなり全裸の男性が現れ、それを追いかける女性と乱闘騒ぎになる。これでこの下町がいかに猥雑な地域であるか決定づけられた。

このようなドタバタ騒ぎの中、清楚な白い服を着た一人の女性・ブランチ(沢尻エリカ)が大量の荷物を抱えて登場。優雅な身のこなしのブランチが登場した瞬間、パッと舞台上が明るくなり、雑然とした町の雰囲気が一瞬変化する。ブランチは生まれ育った実家を離れ、この町に住む妹・ステラ(清水葉月)を訪ねてきたのだ。

(左から)沢尻エリカ、清水葉月 (c)伊藤智美

舞台初出演にして、難役といわれるブランチを演じることで話題となっていた沢尻。本作で俳優業に本格復帰するということで、登場するやいなやすべての視線が注がれる。ステラと再会を喜び合うものの、ステラの落ちぶれた生活ぶりを目の当たりにして露骨に落胆する。2人は裕福な少女時代を過ごしたいわゆる「お嬢様」なので、ステラの境遇に我慢ならなかったのだろう。ブランチは、このような荒んだ生活を強いるステラの夫、スタンリー(伊藤英明)への恨み節が止まらない。

ブランチを演じる沢尻は、最初は少し声に力がなく緊張している様子が伺えたが、ステラを演じる清水との息はぴったりで、次第に本領を発揮。生まれの良さを鼻にかける高飛車な雰囲気を上手く表現している。清水が演じるステラは、ブランチに寄り添いつつも夫・スタンリーへの愛情もきめ細やかに表現し、下町でたくましく生きる女性として好演している。

(左から)伊藤英明、清水葉月 (c)伊藤智美
伊藤英明 (c)伊藤智美

ブランチの高飛車な態度を敵視するのが、ステラの夫、スタンリーだ。平気で女性に手をあげるクズ男だが、そんなスタンリーを伊藤は関西弁を駆使し迫力満点に演じる。ちなみにブランチとステラ以外の登場人物はすべて関西弁でせりふを言うのだが、これはブランチとステラの育ちの違いを見せるための鄭ならではの演出手法だろう。

沢尻エリカ (c)伊藤智美

ブランチは精神的に不安定な女性だ。気分がいいときはラジオで音楽を聴きながら陽気に踊ったりするものの、過去に受けた心の傷を思い出すととたんに気分が落ち込み、まわりを巻き込んで大騒ぎする。そんなブランチを心から心配するステラだが、スタンリーのイライラは止まらない。どこまでも子どもっぽいスタンリーは、自分だけのものだったステラの心がブランチに向くのが気に入らない。

清水葉月 (c)伊藤智美

それにしてもスタンリーから暴言を吐かれながらも、ブランチはなぜこの町に留まり続けるのだろう…と観ている側は次第に疑問に思うようになる。理由は次第に明かされていくが、その一つがスタンリーのポーカー仲間のミッチ(高橋努)だ。

高橋努 (c)伊藤智美

ミッチを演じる高橋は、病気の母親を介護する素朴な青年を演じ、都会的な雰囲気のブランチに惹かれていく様をリアルに表現。スタンリーとは対照的で、優しく穏やかな一面を持つミッチにブランチも心を寄せるようになる。病身の母親のために早く結婚したいと考えるミッチと、彼に何かを託そうとするブランチの思惑が一致し、2人は良い雰囲気になっていく。しかし2人の関係がスタンリーの策略で壊れることとなり、ブランチは精神的に崩壊していくのだ。

ブランチの結末がどうなるか多くの人は知っているだろうが、ここであえて述べない。そこに至るまでのブランチの崩壊ぶりを沢尻がどのように表現していくか、観劇予定の人は、じっくりと堪能してほしい。

初日を迎えるにあたり沢尻は「素晴らしいスタッフ・キャストの皆さんと一緒に、鄭さんならではの世界観を表現できるように努めてきましたので、お芝居を通してさまざまな感情に浸っていただけたら嬉しいです」とコメントを寄せている。本作の上演時間は、約3時間15分(途中15分の休憩あり)。

文・咲田真菜
舞台写真:オフィシャル提供

映画『欲望という名の電車』はU-NEXTで見られます!
目次

舞台『欲望という名の電車』公演概要

<東京公演> 2024年2月10日(土)~2月18日(日) ※全12公演
新国立劇場中劇場

<大阪公演> 2024年2月22日(木)~2月25日(日)※全6公演
森ノ宮ピロティホール

【出演】沢尻エリカ/ 伊藤英明
清水葉月 高橋努 青木さやか 福田転球 中村まこと 久保酎吉 うらじぬの 青木瞭 ほか
【作】テネシー・ウィリアムズ
【翻訳】小田島恒志
【演出】鄭義信
“A STREETCAR NAMED DESIRE is presented through special arrangement with The University of
the South, Sewanee, Tennessee.”

【チケット料金】全席指定12,000円(税込)※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。

【企画・製作】エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ
【お問合せ】
(東京公演)キョードー東京0570-550-799(オペレーター平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)
(大阪公演)キョードーインフォメーション:0570-200-888 (平日・土曜11:00~18:00 ※日祝休み)
※新国立劇場、森ノ宮ピロティホールへお問い合わせいただいてもご回答できかねますのでご了承ください。

【公式HP】https://streetcarnameddesire.jp/
【公式X(旧Twitter)】@yokubou2024
【公式Instagram】@yokubou2024
【公式ハッシュタグ】#欲望電車

あわせて読みたい
沢尻エリカ 舞台初主演 伊藤英明らと挑む舞台『欲望という名の電車』上演決定 2024年2月10日(土)~2月18日(日)新国立劇場 中劇場、2月22日(木)~2月25日(日)森ノ宮ピロティホールにて、舞台『欲望という名の電車』の上演が決定した。演出は...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

目次