【韓国ドラマ『財閥×刑事』】あらすじ(第16話最終話まで)・キャスト・感想

Google

2024年1月26日(金)から、ディズニープラス スターにて、韓国ドラマ『財閥×刑事』の配信がスタートした。この記事では、物語の概要、主要キャスト、あらすじ、感想を紹介しよう。

目次

『財閥×刑事』物語概要

問題ばかり引き起こしているハンスグループの御曹司チン・イス(アン・ボヒョン)が、市長選挙に出ようとしているハンスグループ会長の父・ミョンチョル(チャン·ヒョンソン)の出馬会見を台無しにしたことで、カンハ警察署・強力1チームの刑事として勤務をすることになってしまう。カンハ警察署・強力1チームのチーム長、イ・ガンヒョン(パク・ジヒョン)は、金とコネで派手に動き回るイスが目障りで仕方がない。同僚のパク·ジュンヨン(カン·サンジュン)とともに追い出そうとするのだが…。

本作は『悪鬼』のキム·ジェホンが演出、『マイネーム:偽りと復讐』のキム·バダが脚本を手掛ける。『マイネーム:偽りと復讐』で刑事役を演じたアン・ボヒョンが今作でどのような姿を見せるのか、そして『ユミの細胞たち』以来の共演となるパク・ジヒョンとのコンビぶりも楽しみだ。

『財閥×刑事』キャスト

チン·イス(演:アン·ボヒョン)

アン·ボヒョン

ハンスグループの末息子、財閥3世。持っている富と人脈をフルに使い、多数のフォロワーを持つSNSのスター。「暇だから…」という理由で弁護士の資格を取得するなど、能力も高い。幼い頃に母親を事故で亡くしている過去がある。
アン・ボヒョンの主な出演作:『梨泰院クラス』『ユミの細胞たち』『マイネーム: 偽りと復讐』『生まれ変わってもよろしく』

イ·ガンヒョン(演:パク·ジヒョン)

パク·ジヒョン

カンハ警察署強力1チーム長。警察官としてのプライドと責任感が強く仕事一筋。母親からは「あなたが宿直室ではなく彼氏の家に泊まってくるのが私の夢」といわれている。若いのにチーム長となったことをまわりから妬まれている。捜査ミスを責められ、チン・イスを引き受けることになり不満が爆発する。
パク·ジヒョンの主な出演作:『ブラームスは好きですか?』『ユミの細胞たち』

パク·ジュンヨン(演:カン·サンジュン)

カン·サンジュン

カンハ警察署強力1チームの刑事。冷静沈着で、チーム長のガンヒョンをサポートする人物。軽薄なイスが気に入らない。

チェ·ギョンジン (演:キム·シンビ)

キム·シンビ

カンハ警察署強力1チームの刑事。刑事としての仕事はきちんとこなすが、今どきの若者の典型。イスに憧れている。

チン·ミョンチョル (演:チャン·ヒョンソン)

チャン·ヒョンソン

イスの父親で、ハンスグループ会長。市長選への出馬会見をイスに邪魔され激怒。もともと親子関係に溝があったが、さらに深くなる。

チョ·ヒジャ(演:チョン·ヘジン)

チョン·ヘジン

ミョンチョルの妻。実の息子のスンジュには甘いが、イスにはつらくあたる。ヒステリックな女性。

チン·スンジュ(演:クァク·シヤン)

クァク·シヤン

イスの兄で、ハンスグループ副会長。イスとは真逆の父親に従順な人物。イスを信頼しているようだが、本心は分からない。

チェ·ジョンフン(演:キム·ミョンス)

キム·ミョンス

イスの秘書。イスを完璧にサポートする人物。イスからは全幅の信頼を得ている。

イ·ヒョンジュン(演:クォン·ヘヒョ)

ガンヒョンの父で元刑事。ガンヒョンの良き理解者。

コ·ミスク (演:ユン·ユソン)

ユン·ユソン

ガンヒョンの母。仕事ばかりしているガンヒョンにやきもきしている。

『財閥×刑事』あらすじ・感想(第1話~第2話)ネタバレあり

『マイネーム: 偽りと復讐』でアン・ボヒョンがみせたカッコいい刑事の姿が再び!と喜んだ人も多いだろう。筆者も全く同じだが、今のところグータラな財閥3世の姿が印象的だ。しかしグータラぶりを差し引いても、高級車を乗り回す姿が様になり、カッコいい。

能天気で何も考えてないように見せつつ、イスの過去には暗い何かがあるようだ。幼い頃に事故で母親を亡くし、そのときの記憶がトラウマになっていると見受けられる。そして父親や継母のイス対する冷たい態度も今後に影響がありそうだ。

カンハ警察署強力1チームのガンヒョンは、仕事一筋の有能な女性だ。筋の通らないことを嫌い、イスがコネで刑事になったことを不快に感じている。その気持ちは分からなくはないが、イスに対する頑な態度は、いささか無礼にうつる。主人公とヒロインがぶつかるのは、韓国ドラマあるあるだが…。

全体的にコメディータッチで描かれ、今のところ楽しく見ることができる作品だが、イスが刑事としてかっこいい姿を見せるのは、まだまだ先のようだ。着任早々にモデルが殺害される事件が起こり、容疑者として財閥御曹司が浮上した。イスは「犯人を捕まえたら俺を認めろ。捕まえられなかったらおとなしく内勤する」とガンヒョンに宣言する。

コネと人脈を使って捜査を開始したものの、イスとガンヒョンがピンチに遭遇したところで第2話は終了した。今後どのような展開になっていくのか、楽しみたい。

『財閥×刑事』あらすじ・感想(第3話~第4話)ネタバレあり

『財閥×刑事』の第3話~第4話では、本格的にイスが捜査に動き出した。

イスとガンヒョンが乱闘の末、DNグループの三男を無事に連行した。しかしモデルが船で殺害された事件について問いただしても「俺はやっていない!」の一点張り。一緒にいたことを認めたけれど、キスを拒まれたことに腹を立て首をしめて置き去りにしただけだという。「お前みたいなやつがいるから財閥が世間から非難されるんだ!!」と怒鳴るイスの気持ちが痛いほどわかる。

このあとDNグループの長男、次男、そして長男の母親で現会長の前妻、次男、三男の母親で現会長の妻が警察署に現れ、大騒ぎになる。いつも思うが、実際の財閥はこんなにひどいものなのだろうか。

事件を解決する!と宣言したイスは、使えるコネをすべて使ってDNグループの内情に迫っていく。すると現会長が余命いくばくもない重病だと分かり、後継ぎをめぐって息子たちとその母親が争っていることが判明。さらに殺されたモデルは現会長の隠し子だったことが分かり、相続の分け前が減ってしまうことを恐れた現会長の前妻がモデルを殺害した容疑者として浮上する。

ここでまたもやイスの「財閥刑事」としての力が発揮される。逮捕を恐れ、海外逃亡を企てた前妻を追いかけ、なんとヘリコプターで追跡し、逃げる相手の車をヘリコプターで破壊するという、かつての刑事ドラマ『西部警察』のような場面が繰り広げられた。イスに言われるがままヘリコプターに同乗していたガンヒョンも驚くが、そこは有能な刑事なのでヘリから飛び降り、相手の車めがけて射撃し、仕留める。これで無事に前妻と秘書が容疑者として逮捕された。

ところが、ここからさらにどんでん返しがある。実は殺害を実行したのは前妻の実子である長男だったのだ。それに気づいたのがイスで、母親が逮捕されて警察署を訪れた長男が、一瞬微笑みを見せたのを見逃さなかったのだ。イスは、のほほーんとしているが、人をよく観察している有能な人物なのかもしれない。長男が容疑者である証拠を確保するために奔走し、無事に事件を解決する。

ガンヒョンに「俺の手柄だろう!」と無邪気にアピールするが、当のガンヒョンは「財閥の事件だったからでしょ」と冷たくあしらう。しかも事件を解決したお祝いに打ち上げをしようとガンヒョン、ジュンヨン、ギョンジンを誘っても誰もこない。その瞬間のイスの寂しそうな表情が印象的だった。

そんなイスは継母に家を追い出され、引っ越しを余儀なくされる。引っ越し先はイスが幼い頃に母親と住んでいた家なのだが、それはガンヒョンの実家の目の前だった。その家にはいろいろな思い出があるようだが、イスは幼い頃の記憶を一部失っている様子がうかがえる。

そうこうしている間に、新たな事件が勃発。有名な画家が殺された現場にイスが居合わせ、捜査に乗り出す。ここでもイスが財力にものを言わせて、有名画家の絵を購入し、犯人は画家の教え子ではないかとめぼしをつけるが、その人物にイスが襲われたところで第4話は終わった。

今回印象的だったのは、イスの悲しい幼少時代が描かれたことだ。母親と二人で地味だけれど幸せに暮らしていたのに、母親が交通事故にあって亡くなり、ハンスグループ会長である父親に引き取られたことから、孤独な生活が始まってしまった。

腹違いの兄であるスンジュと酒を飲みながら幼い頃の話をするシーンが切ない。「なぜ兄さんは俺に優しくしたの?」というイスに「お前が憎かったけど、冷たくするのは母さんだけでいいと思ったんだ」と語るスンジュ。この二人の間に流れる優しい空気がずっと続くことを願ってやまない。

イスは父親に引き取られてから孤独感とともに劣等感も味わってきたようだ。ガンヒョンに「俺は正当な財閥御曹司ではない」と自虐的に言うシーンでは、彼がそれまで背負ってきたつらい過去が見え隠れした。そしてその言葉を聞いたガンヒョンも、イスが幼い頃に住んでいた家に近所に引っ越してきたことで、彼の過去に何か暗いものがあるのではないかと感じ始める。

イスは、筆者が考えていたほど能天気でグータラな財閥御曹司ではなさそうだ。非常に繊細で能力の高い人物に見受けられるので、まずは少しでも早くカンハ警察署強力1チームの一員として認められることを願いたい。

『財閥×刑事』あらすじ・感想(第5話~第6話)ネタバレあり

画家を殺害した容疑がかかっていた教え子に殴られたイスだが、大事には至らなかった。しかし単独で捜査したことで、ガンヒョンから責められる。「警察は組織」という言葉を何度も聞かされるイスは、財力を武器に事件を解決するだけではダメだと思い知らされる。

イスを襲い自殺を図った画家の教え子を見舞い、犯人につながる事実を知ったイスは、ガンヒョンに知らせる。イスの情報のおかげで、カンハ警察署強力1チームが一丸となって犯人を罠にかけ、無事に真犯人が逮捕される。これまでのイスであれば、単独で行動し解決しようとしたかもしれないが「警察は組織」という言葉をかみしめたのか、仲間とともに解決。イスの刑事としての成長ぶりを見るのが楽しい。

ホッとしたのもつかの間、新たな事件が起こる。特定の地域で一人暮らしのお年寄りが連続して不審死を遂げ、強力1チームは連続殺人事件として捜査を開始する。事故死として処理をしたガンヒョンの先輩刑事は「余計なことをするな!」とガンヒョンを激しく責める。

その様子を見たイスは、カンハ署内でなぜガンヒョンが嫌がらせを受けているのか疑問に思う。そこで唯一の味方であるギョンジンを食事に誘い、彼からガンヒョンの父親、イ・ヒョンジュンがかつて警察官で、退職直前に汚職の疑いをかけられて辞めていたことを知る。

連続殺人事件の被害にあったお年寄りの共通点は、同じ教会へ通っていたことと資産を持っていたことだった。強盗犯は、無料で遺影を撮影するボランティアに扮して家に上がり込み、財産を奪う目的で殺していたのだ。

この強盗犯のうちの一人が、『私の夫と結婚して』でパク・ミニョンに執拗に嫌がらせをするセクハラ上司、キム課長(のちの課長代理)を演じたキム・ジュンヒだ。相変わらず憎らしい雰囲気で強盗犯を演じていたが、この人を見ると不快な気分になり悪い人にしか見えないのは、演技の上手さなのか。

犯人を捕まえるために、ガンヒョンの父親・ヒョンジュンをおとりにして作戦を練る強力1チーム。元刑事のヒョンジュンであれば、不測の事態に対応できるだろうとガンヒョンが協力を願い出たのだ。そして強盗犯を見張るべく、ガンヒョンの家の向いに住むイスの家で張り込む強力1チームの面々。

相変わらず豪華なケータリングを頼むイスだが、今回はガンヒョンも「美味しい!」と食べ、強力1チーム4人でラーメンを共に食べるシーンも見られた。少しずつイスは強力1チームのメンバーとして受け入れられてきたようだ。

ヒョンジュンを襲った強盗犯を無事に逮捕し、めでたく事件は解決した。これまでお疲れ様の食事会に呼ばれなかったイスだが、今回はメンバーに入れてもらい4人で乾杯をする。少しずつ刑事の仕事にやりがいを感じ始めているイスが微笑ましい。

今回、イスとヒョンジュンが初めて言葉を交わすシーンがあった。イスが幼い頃、ヒョンジュンは母親を亡くしたばかりのイスと会ったことがあったようだ。イスの母親の事故とヒョンジュンが汚職の濡れ衣を着せられたことは、何か関係があるのだろうか。

そしてもう一つ、今回の見どころはガンヒョンを演じるパク·ジヒョンが、潜入捜査のためにドレスアップするところだ。いつもボサボサの髪によれよれのジーンズをはいているガンヒョンが、抜群のスタイルを披露してくれる。長身のアン·ボヒョンと並ぶと本当に絵になるので目の保養になるシーンを楽しんでほしい。

『財閥×刑事』あらすじ・感想(第7話~第8話)ネタバレあり

誰もいないオフィスで、上半身裸で絶命した遺体が見つかった。現場に向かったカンハ警察署強力1チーム。被害者はIT業界のレジェンドと呼ばれているチェ・ソヌ。ビジネス誌の表紙モデルになった若き起業家だった。ソヌの死因は脱水症状と判断され、そんな死因は初めて見ると戸惑うガンヒョンたち。

事業が上手くいっていなかったソヌは、精神科にかかっていたと妻が証言。誰かに殺されるかもしれないと言っていたという。イスとガンヒョンは、ソヌがかかっていた精神科の医師と会う段取りをつけた。

国内のVIP患者を受け入れているYK病院に向かったイスとガンヒョン。豪華な病院で精神科の医師として働いていたのは、ソ・ユギョンという女性医師だった。ユギョンはイスを見て一瞬驚いたような表情をしたのをガンヒョンは見逃さなかった。

ソヌが不審な死を遂げたと同時にソヌの会社で顧客管理を担当していたチョ・ソングが、鋭利な刃物で何者かに殺された。2人が言い争いをしているところをとらえたドライブレコーダーがあるため、イスたちは2つの事件に関連があると捜査をする。

イスがチョ・ソングの部屋をしらべているときに犯人と思しき人物が現れ、建物から飛び降り捕まえる。またしても手柄を立てたとガンヒョンに喜びを伝えるイスだが、あまりにも無茶をするイスに対してガンヒョンは本気で心配し怒る。

ガンヒョンは父親のヒョンジュンがかつてイスの母親の事件に関わっていたことを知り、どのような事件だったのか調べていた。ヒョンジュンから「イスにあまり関わるな。ああいう人間はいつか心に亀裂が入る」と言われたことがひっかかっていたからだ。

一方、イスは催眠術をかけて人を殺すことが可能ではないかとユギョンの恩師である韓国大学医学部教授を訪ねていた。不可能ではないと言われ、誰かを実験台としてユギョンに送り込むことにし、ジュンヨンがターゲットとなった。「嫌いな人を1日だけ好きさせてほしい」と頼んだところ、見事に催眠にかかりジュンヨンがイスをお姫様だっこする始末。あまりの効果にガンヒョンたちは息を飲む。

ユギョンは、自分を恐喝してきたチョ・ソングは殺し、仲間のチェ・ソヌを催眠にかけて死に追いやっていたことが分かった。イスとガンヒョンが証拠を確保し、ユギョンを逮捕したが「チン・イスを信じないで」とユギョンはガンヒョンに伝える。

イスが同じ絵をみつめる夢を何度も見るのは、ユギョンの催眠法だということが分かった。拘置所に収監されたユギョンはイスを呼び出し、最後の催眠療法を試みようとする。最初は冗談だと軽く受け流していたが、イスが見る夢を細かく言い当てるユギョンに動揺し、その場を去ろうとするが「あの衝撃的な事件は子どもには耐えられない」というユギョンの言葉に動かされ、催眠療法を受けることにする。

そこでイスが目にしたものは、幼い頃の自分とあとをつける少年の姿で、その先には浴室で絶命している母親の姿だった。

とうとうイスがふたをしてきた自分の過去を見てしまった。一体イスの母親に何があったのか、なぜそこに兄のスンジュらしき少年がいるのか、謎だ。

しかしイスの母親の命日にイスの父親であるミョンチョルが墓を訪れているところをみると、そんなに悪い人物ではないのかも…と思ったりする。逆に兄のスンジュがイスにとって敵になるのでは…という不安がある。さらにイスの母親の事件をかぎまわる記者の存在も不気味だ。ジュンヨンがイスをお姫様だっこするなど、コメディータッチのシーンがあるものの、イスの暗い過去が明らかになりつつあるので気が重い。

複雑な人生を歩んでいるイスに対し、ガンヒョンがイスを見る目が変わってきた。次回の予告では無気力になってしまったイスの姿が映し出され、懸念される。

『財閥×刑事』あらすじ・感想(第9話~第10話)ネタバレあり

母親が交通事故ではなく、自殺したと知ったイスは、父・ミョンチョルへ怒鳴り込みに行く。ミョンチョルは幼いイスの憔悴ぶりを見て、自分が取った方法は間違っていないというが、そんな父親に嫌悪感を抱くイス。自宅へ戻ったものの、イスは家の中に入ることができず玄関先で座り込んでしまった。そんなときガンヒョンが現れ、話を聞くためにイスを誘う。イスは母親が自殺であったこと、自分がいかに未熟でバカな人間かと思い知ったとガンヒョンに言う。ガンヒョンは、過去の事件記録を読んでイスの母親がうつ病を患い睡眠薬の過剰摂取で亡くなったことを伝える。

イスは、一人で自分を育てていた母親はさぞかし大変だったろう、亡くなったのは自分のせいだと責めるが、ガンヒョンは「そんな考え方をしてはダメ。残された人は理由を求めるが答えはない。ただそういうことが起きただけ」と静かに諭す。結局イスは自宅に戻れず、ホテルに滞在することにした。

そんな中、新たな事件が起きた。映画の撮影現場で、人気俳優のハン・ユラ(イ・ナウン)が殺害されたのだ。「事件が起きたよ」とイスに連絡するガンヒョンだが、何もかもやる気をなくしたイスは、警察署に向かおうとしない。

そんなイスの様子を見て心配したジョンフンは、いつもイスの部下として敬語で接しているが、このときばかりは親しいアジョシ(おじさん)として、イスに亡くなった母親の話を聞かせる。

昔、イスの母親はジョンフンの部下で非常に優秀な人物であったこと、イスを授かったことを心から喜んでいたこと、そしてイスという名前の由来は人の役に立つ人になってほしいという意味で名付けたことを語り、イスは刑事の仕事を続けることを決意する。

ハン・ユラ殺害の容疑で、イスの旧友ヨンファン(チェ・ドング)が逮捕された。ヨンファンはイスに無実であることを訴え、なぜ現場にいたのかと問い詰めるイスに薬をやっていたからだと告白する。

ヨンファンにユラを殺す動機がないので犯人は別にいると考えたガンヒョンは、イスとともにスタッフたちから聞き取り調査を始め、容疑者として現場でユラをビンタしたベテラン俳優、ペク・サンヒ(カン・ソンヨン)が浮上する。

ペク・サンヒは、確かにユラをビンタしたが、それはユラから演技指導の一環として頼まれたことだと語る。さらにユラの爪からサンヒのDNAが検出された理由について、湿疹ができていたサンヒの背中にユラが軟膏をぬってくれたからだと説明。冷静な中にも誠実さをサンヒの中に感じたイスもガンヒョンも納得するしかなかった。

ユラがストーカーにあっていた情報をつかんだイスとガンヒョン。ユラのマネジャーであるサンテが、人気俳優のハ・ナムス(チェ・テジュン)がしつこくユラに言い寄っていたと証言したことで、イスとガンヒョンはナムスを訪ねるが、完璧なアリバイが証明されてしまう。

ユラの自宅の防犯カメラの映像を手に入れたイスたちは、何度もユラの自宅に出入りするサンテの行動に不信感を抱く。イスはコネを使ってサンテの部屋に忍び込むと、そこにはユラの写真だらけの異様な光景があった。

サンテこそがユラのストーカーで、犯人だと確信したイスとガンヒョンは、ある作戦を立てる。映画の撮影を再開し、出演者とスタッフを集め、巫女を呼びユラのためにお祓いをすることに。するとそこに赤いドレスを着たユラが現れ、サンテは涙を流しながら自分がユラを殺害したと自供する。ユラの姿をしたガンヒョンに向かって「君を誰よりも愛していたのは僕なんだ!」と叫ぶサンテ。こうしてサンテは逮捕され、連行された。

事件が解決し、協力してくれた巫女にお礼を言うイス。すると巫女はイスに対して「悲しい目をしている」と言う。戸惑うイスは巫女に「亡くなった人にも会えるのでしょうか」と聞くと「まだ母親に会いたいのか。お前の母親はあらゆる煩悩を捨てた。魂を休ませてやるには受け入れるしかない。お前の疑問の答えはいつか分かるときがくる。お前が隠したアメをまず探すのだ」と言われる。

ヨンファンは釈放されたが、イスは麻薬班にヨンファンを引き渡す。「イスのことなんか友だちだと思ったことはない!」と捨て台詞を吐くヨンファンに「俺も同じだ。寂しかっただけだ」と言い放つ。

巫女の言葉を受け止め、イスは自宅に戻り、母親との幸せだった時間を思い出す。一方でガンヒョンは、家族がいる自分がいかに幸せなのか噛みしめるように母親に甘えた。

その夜、ガンヒョンのもとに1本の電話がかかってきた。五輪(オリョン)会の総務、イ・ソンウクと名乗る人物が、すべてを明かすので会えないかというのだ。ソンウクは、かつてガンヒョンの父、ヒョンジュンが追っていた事件の関係者なのだ。父の汚名を晴らしたいガンヒョンは、ソンウクが指定した場所に行くが、ソンウクは何者かに殺されてしまった…。

第9話と第10話では、イスの苦悩と再起が描かれた。母親の死の真実を知り苦しむイスだったが、さりげない言葉でガンヒョンが励まし、常にイスの味方でいてくれるジョンフンが力になった。そして金だけでつながっていたヨンファンとの関係を切る決意もした。イスは刑事になったことで、心の豊かさを次第に取り戻しているように見える。

次回はガンヒョンが過去に立ち向かうことになりそうだ。イスがガンヒョンに協力する姿が予告編で見られたので、どのようにサポートをするのか楽しみだ。

『財閥×刑事』あらすじ・感想(第11話~第12話)ネタバレあり

ガンヒョンは、インチキ宗教団体の五輪(オリョン)会の関係者、イ・ソンウクに呼び出されたものの、待ちぼうけを食らった。なぜならソンウクは、オリョン会の一味に殺されてしまったからだ。同時に漢江で溺死体が見つかり、その人物もオリョン会の関係者だった。2つの事件はなんらかの関連があるとみたガンヒョンだが、それを疎ましく思ったカンハ署長が、ガンヒョンを謹慎処分にする。なぜカンハ署長がそこまでオリョン会を守るのか…。それは教祖のボリ(チェ・ジョンウ)と協力関係にあったからだ。

謹慎処分を受けたガンヒョンは、身分を偽ってオリョン会に潜入捜査をする。そこにはボリに心酔する人たちであふれていた。イスもジョンフン(キム・ミョンス)の助けを借りて、オリョン会を訪れボリに接触しようとする。

ガンヒョンの動きを怪しんだ信者の一人が、ガンヒョンを自分の部屋に連れ込む。その人物は、潜入捜査をしていた記者のジョンヨン(ペク・ソヒ)だった。カンハ署長がガンヒョンの潜入捜査をボリに伝えたことを知ったジョンヨンは、なんとかガンヒョンの身元を隠そうと書類を画策する。しかしジョンヨンも潜入捜査をしている一人だと分かったボリは、ジョンヨンを拉致監禁する。

正体がバレたイスとガンヒョンは、ボリと対峙することになる。これまでオリョン会で起きた自殺事件に関わっていたと自白したボリだったが、床下に隠れていた水槽にイスとガンヒョンは突き落とされ、溺死寸前になる。

実は泳げないガンヒョンがパニックになる中、イスはなんとかガンヒョンを落ち着かせようと水かさが増える水槽で奮闘する。そんな中、イスが手配していたドローンのおかげで、ジュンサン(カン・サンジュン)をはじめとするカンハ署強力1チームと2チームの刑事たちがイスとガンヒョンの居場所を見つけ助け出し、ボリは無事に逮捕される。ガンヒョンの父・ヒョンジュン(クォン・ヘヒョ)を陥れた汚職事件の疑いも晴れ、カンハ署長が更迭され、ヒョンジュンが新しい署長に就任した。

長い間ガンヒョンが追っていた事件がようやく解決した。ガンヒョンを敵視していた強力班2チームのチーム長らが1チームと協力して事件の捜査をする様子を見て、胸が熱くなった。さらに特ダネのためには手段を選ばない記者のギソク(ソ・ドンウォン)が、部下のジョンヨンを思いやる姿を見せ、彼を少し見直した。

そして水槽に突き落とされ、パニックになるガンヒョンを必死に助けようとするイスの姿がかっこよかった。普段有能な刑事であるガンヒョンが泳げないというのも驚きの展開だったが、水かさが増え、恐怖の表情になっていくのをパク・ジヒョンは鬼気迫る演技で見せた。九死に一生を得た者同士となったイスとガンヒョン。イスは、ガンヒョンに対して特別な感情を抱きつつあるようだ。

ガンヒョンの胸のつかえとなっていた事件が解決して良かったが、残り4話で一体何が描かれるのだろうか? 第12話の最後は、瀕死の状態にある男性が、なぜかイスの実家の門をよじ登り、倒れる姿が描かれた。イスの父親でハンスグループ会長のミョンチョル(チャン・ヒョンソン)とどんな関係にあるのだろうか?

オリョン会の捜査で危ない目にあったイスを不器用ながらも気遣った父、ミョンチョル。次回はスポットが当たりそうだが、イスにとって悲しい結末にならなければいいのだが。

『財閥×刑事』あらすじ・感想(第13話~第14話)ネタバレあり

イスの実家の門をよじ登り、倒れて絶命した男性はハン・デフンと名乗る人物だった。瀕死の状態でスマホを手にし、誰かに電話をかけていたが、その相手はイスの兄、スンジュだった。

イスはスンジュがデフンと関係があるのではないかと心配する。しかしスンジュは、出版披露会で名刺をやり取りしただけだと答える。「ヒョン(お兄ちゃん)、隠し事はないよね?」と念を押すイスに「お前に嘘をついたことがあるか?」と笑顔を見せるスンジュ。

市長選に出馬しているイスの父・ミョンチョルにとって、自宅で変死体が見つかったことは大打撃となった。それに追い打ちをかけるようにマスコミがイスを婚外子だと暴露する。イスの自宅前にもマスコミが押し寄せ、呆然とするイス。その時ガンヒョンの母がマスコミを追い払い、ガンヒョンが車でイスを救出する。親子の連携プレイが見事だった。

イスが財閥の婚外子であることを知ったSNSのフォロワーたちは、一斉にイスを叩き始める。そんなフォロワーたちの薄情さを目の当たりにしたイスは、さっさとSNSのアカウントを削除し、気を取り直してガンヒョンたちと事件の捜査に乗り出した。すでにイスは、カンハ署強力班1チームが自分の唯一の居場所だと感じているようだ。

カンハ署強力班1チームの4人は、デフンを殺害した容疑者を尾行し捕まえる。驚いたことに容疑者と一緒にいた人物がイスの兄・スンジュだった。

スンジュは、警察の取り調べに対し「家族を守るためなら何でもやる」と答え、ジッとイスを見つめた。そしてハンスグループお抱えの弁護士らによって無事に釈放されるが、イスはスンジュが何かを隠していると確信する。

スンジュは、今回の事件に母親のヒジャ(チョン・ヘジン)が関わっているのではと懸念していたのだ。そしてヒジャにかかってきた非通知の電話に出て、代わりにデフンを殺害した容疑者と会っていたのだ。

スンジュはデフンと取引をし、多額の現金を渡してデフン殺しを自供させた。そして殺されたデフンが自分の実の父であることに気付く。イスもデフンの遺品の中に少年時代のスンジュの写真があったことで、その事実を知る。

最愛の兄・スンジュが事件に関わっていると知ったイスは、これ以上刑事は続けられないとガンヒョンに辞表を出す。イスは「もう飽きたから」と辞める理由を軽く言うのだが、イスという人間を分かり始めたガンヒョンは、何か重大なことがあるのだとイスの心中を察する。

このまま事件をうやむやにしてしまおうと自宅で酒を飲んでいたイスだが、ふと階段の板がはがれているのを見つける。そこをこじ開けると、幼い頃のイスが隠したおもちゃと一緒にイスの母親が持っていた睡眠薬の瓶が見つかる。すると以前霊媒師に言われた「お前が隠したアメを見つけるのだ」という言葉を思い出し、睡眠薬の過剰摂取で自殺した母親の死因に疑問を持つ。

過去の記憶を少しずつ取り戻したイス。市長選への出馬を取りやめた父親がいる別荘を訪ね、自分の母親に何をしたんだ!と問い詰め、父を振り切り別荘を出る。しかしこれが父との最後の対面となってしまった。

イスの家族の秘密が次々と明かされた第13話と第14話。スンジュの母がイスに対して必要以上に冷たく接していたのは、スンジュがハンスグループ会長であるミョンチョルの実の息子ではないからだと判明した。傷つくスンジュにイスが野球ボールを渡すシーンは胸が熱くなった。

イスが刑事を辞めようとしたのも、スンジュを守るためだったからだろう。ガンヒョンが「あんたは正しいことをする人」と言っていたとおり、イスはまっすぐな人間なのだ。真実を暴けないのなら刑事を辞めるべきだと判断したのだ。

しかし母親の死に不審な点があると知ってしまったイス。睡眠薬を飲むのはやめてと訴えた幼いイスの言う通り、睡眠薬を手放していた母のことを思い出したイスは、事件の真相を暴くべきだと思いなおす。

それにしてもイスと心を通わせることなくミョンチョルが亡くなったのは痛い。一体彼はなぜ死ななければならなかったのか。自殺なのか他殺なのか…。

イスとスンジュに深い溝が入らなければいいのだが…と、このドラマが始まったときに感じたが、やはりそうもいかないようだ。そんなイスをガンヒョンたちが仲間としてどのようにサポートしていくのか、そこが心の拠りどころになりそうだ。

『財閥×刑事』あらすじ・感想(第15話~第16話)ネタバレあり

イスの父・ミョンチョルを殺害したのは、イスの兄・スンジュだった。そしてイスの母親は自殺ではなく、未成年だったスンジュが幼いイスが住む自宅を訪問し、イスの母親のジュースに睡眠薬を入れて殺したことが明らかになった。イスが消された過去の記憶を取り戻した時、深い階段を下っていく先に幼いスンジュが歩いていたのがどうにも気になって仕方がなかったが、嫌な予感が的中した。

母親だけでなく父親までも殺され、その犯人が唯一仲良くしていたスンジュだったというのは、イスにとって残酷な現実だった。

文字通り天涯孤独の身となってしまったのだが、そんなイスをさりげなく食事に誘い、温かくサポートしたのがガンヒョンの母親・ミスクだった。なんてことはない家庭料理をイスに食べさせ「頑張ったね。辛かったね」とまるで母親のように声をかけるミスク。それに対して我慢できずに涙をこぼすイスに胸が張り裂ける想いになった人は多いだろう。

ミスクだけでなくガンヒョンの父でカンハ警察署署長のヒョンジュンは、イスの母親の事件を洗いなおして証拠となるスンジュの指紋をあぶりだした。ガンヒョンはイスの父親殺害の証拠を見つけ出すために奔走し、強力1チームのメンバーであるジュンヨンとギョンジンは、イスのためにガンヒョンとともに力を尽くした。

天涯孤独になったイスだが、信頼できる仲間がイスをサポートし励ます姿に胸を打たれた。特にイスの父親の葬儀に出席した弟分のギョンジンが、イスに抱き着いて号泣するところは観ているこちらもつられて泣いてしまうほどだった。

ヒョンジュンは、当時捜査の担当者だったのにイスの母親の死の真相を暴くことができず、時効を迎えてしまったことをイスに詫びた。そんなヒョンジュンに対して「証拠を見つけてくださってありがとうございました」と感謝するイス。彼は物事の道理と礼儀が分かる人物なのだ。

ハンスグループの会長は、イスが就任するだろうと誰もが思っていた。ガンヒョンは、イスはカンハ署に現れないだろうと思いつつも、イスの机を片付ける気になれなかった。しかしとうとうハンスグループ会長就任会見が行われる日が来て、ガンヒョンは「チン・イスの机を片付けよう」と決意。その矢先にイスがカンハ署に現れる。

ハンスグループの会長には、イスを公私にわたってサポートしてきたチェ理事が就任した。イスは土壇場で父親が言っていた言葉を思い出し、一番信頼できる人物にハンスグループの経営を任せるべきだと判断したからだ。これでめでたくイスは「財閥刑事」を続けられることになった。イスの決断に、ガンヒョンをはじめとして強力1チームのメンバーは笑顔を見せた。

最終回を観終えて、やはりアン・ボヒョンは素晴らしいと感じた。チャラチャラした財閥御曹司として登場したものの、暗い過去を背負い闇を抱えた青年を繊細に演じた。物語の後半はつらい場面が多かったが、時折見せる笑顔に癒されたし、アン・ボヒョンの演技力にのめり込んでいった作品となった。

ガンヒョンを演じるパク·ジヒョンもいい味を出していた。本当はとてもきれいな人だと思うが、全く出さずに敏腕刑事を演じたところに役者魂を感じる。時折サービスショットとしてドレス姿を見せたところは、ファンにとってうれしい誤算だっただろう。

個人的には、この2人が「戦友」同志で終わってくれたのがうれしかった。なんでもかんでも恋愛に発展させるのは好きではないし、このドラマではそこを観たいわけではなかったからだ。お互い憎からず思っているのだろうが、どうかこのままの距離感でいてくれたら…と思う。

『財閥×刑事』のシーズン2の制作が発表されたが、イスがどんな刑事になって帰ってきてくれるか、今から楽しみだ。

ディズニープラス スター『財閥×刑事』

ディズニープラス スターで1月26日(金)より独占配信開始
(C)2024 SBS & Studio S. All rights reserved.
(全16話/毎週金・土曜日2話ずつ配信)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

目次