韓国ドラマ『ビッグマウス』いよいよ折り返しに! イ・ジョンヒョク演じるチャンホの運命は?【おすすめ韓国ドラマコラム】Vol.2

『ビッグマウス』(c) 2022 Disney and related entities

Google

2022年7月29日からディズニープラスで独占配信中の韓国ドラマ『ビッグマウス』が、8月26日(金)配信から後半戦に突入していく。

イ・ジョンヒョクが兵役除隊後、初の主演ドラマということで注目されていた本作。相手役は少女時代のイム・ユナが務め、『愛の不時着』で一躍日本でも人気者となったヤン・ギョンウォンが極悪非道な悪役を演じている。

今回は主要人物と後半戦に向けて注目すべき点について解説したい。(以下、一部ネタバレあり)

あらすじ

パク・チャンホ(イ・ジョンソク)は、勝率が10%の三流弁護士だが、高校時代から付き合ってきた妻のコ・ミホ(イム・ユナ)とミホの父で、チャンホの事務所の事務長を務めるコ・ギグァン(イ・ギヨン)と3人で幸せに暮らしていた。
ところがある日、チャンホは詐欺にあってしまい財産を失うことに。離婚の危機に直面したチャンホは、九川市長で元検事のチェ・ドハ(キム・ジュホン)からある殺人事件の弁護を依頼され、お金に目がくらみ引き受けてしまう。そこから平穏だったチャンホの生活は一変していく。自身に次々と奇妙な出来事が起こり、ついにチャンホは天才詐欺師のビッグマウスにまつりあげられた挙句、逮捕され刑務所送りに。善人など一人もいない刑務所でチャンホを待っていたのは想像を絶する過酷な日々だった…。そしてミホは、夫・チャンホのために真実を追求するため奔走する。

目次

イ・ジョンソクが冷徹なビッグマウスに変貌

市長のドハからの依頼を受けたことで、生活が激変するチャンホ(c) 2022 Disney and related entities

ふたを開けてみると、これがなかなか迫力あるクライムミステリーだ。イ・ジョンソクのファンの皆さんにとっては、見ているのが辛くなるシーンも多々ある。痛めつけられる姿を見ていると「もうやめてーー!」と叫ぶファンの声が聞こえてきそうだ。グロテスクなシーンがあるため、正直言ってしまうと筆者も途中でリタイアしてしまおうかと思った。

ところが第3話あたりから、少しずつ様子が変わっていく。それまで「人が良いだけの軟弱弁護士」だったチャンホが、ミホを守るために変わっていくのだ。つまり天才詐欺師ビッグマウスとして振る舞うことこそが、自分やミホを守る唯一の方法だとチャンホは気付いたからだ。人の良い弁護士から冷徹なビッグマウスへ…。ジョンソクの変貌ぶりは見ていると、ワクワクしてきた。

「ビッグマウス」としてチャンホにも味方がついたとはいえ、超金持ちばかりで組織されているNRフォーラムのリーダーでウジョン日報の社長、コン・ジフン(ヤン・ギョンウォン)をはじめとして、検事や九川刑務所長といった敵がごまんといる。チャンホに有利になっていくか…と思いきや、敵にやられてしまうというシーソーゲームが続き、ハラハラドキドキする。

そんな難しい役柄をジョンソクは感情豊かに演じている。『シークレット・ガーデン』で、ユン・サンヒョンが見出す若手ミュージシャン役で登場した時、その美少年ぶりに驚いたものだったが、本作では端正な顔立ちをボコボコにされてしまったりし完全な汚れ役に。新たなジョンソクの一面を垣間見ることができる。

後半に向けて、本物のビッグマウスと対峙していくわけだが、巨大な黒幕が待ち受けているような予感がする。これまでボコボコにやられてきたジョンヒョクが、果たして表舞台に返り咲くことはできるのか。もうこれ以上やられっぱなしの姿は見たくないだけに、凛々しく戦っていく姿に期待したい。

夫を心から信じる賢妻・ミホを演じるイム・ユナ

夫がビッグマウスだと報じられ、マスコミに追われても気丈に振る舞うミホ(c) 2022 Disney and related entities

チャンホの妻・ミホを演じるのが、少女時代のイム・ユナだ。夫が逮捕されても気丈に振る舞い、ビッグマウスだと報道され、マスコミに追われる身となってもチャンホを信じ続ける賢い妻だ。

高校の同級生だったチャンホとは、お互いに助け合ってきた仲。施設で育ったチャンホと母親がいないミホは、心が通い合い、友人から恋人になり、そして夫婦となった。

チャンホのことを誰よりも理解していると自負しているミホは、チャンホが刑務所に入れられたこと、ビッグマウスだと名乗らざるを得ないことなど、きっと裏に何かあるはずと真相を究明するために奔走する。看護師という立場を利用して、敵方の九川病院に就職をするなど行動力も抜群だ。

九川市長のドハ(キム・ジュホン)を信じ切っているところに少し不安を感じるが、自由に動くことができないチャンホにとっては心強い唯一の味方であり、相棒なのだ。

思えばユナは、2019年に公開された映画『EXIT』でも、チョ・ジョンヒョクとともに有毒ガスに襲われた高層ビルからの脱出劇を体当たりで演じていた。前半部分でもアクション…とはいわないまでも、敵に襲われて身を守るシーンが多々出てきた。後半にかけて、さらなるアクションシーンをみせていくのか、そのあたりにも注目したい。

蹴り飛ばしたくなる悪役を演じるヤン・ギョンウォン

次から次へのチャンホを追い詰めるジフン(c) 2022 Disney and related entities

本作で注目すべき人物の一人が、NRフォーラムのリーダーで、ウジョン日報社長のコン・ジフンを演じているヤン・ギョンウォンだ。

金と権力の力で、警察や検察、刑務所さえも手中に収めてしまうジフン。過去には残忍な犯罪を犯しているものの、逮捕されないのは、こうした汚い人脈が彼には多数あるからなのだ。

ジフンの最大の弱点は、ビッグマウス。ビッグマウスに騙され多額のお金で大損しているため、チャンホがビッグマウスだと名乗るやいなや、死に物狂いでチャンホからお金を取り返そうとする。その手口が残忍で、第8話でチャンホを精神科病院に収容するシーンでは、思わず目を覆いたくなる場面もある。

『愛の不時着』で一躍日本にその名を知らしめたギョンウォン。『愛の不時着』では北朝鮮の兵士を好演し、そのお茶目なキャラクターは人々の心をわしづかみにした。

しかし本作ではお茶目さは全く感じられない。時にアドリブなのか少しおどけるシーンもあるが、残念ながらお茶目には見えず、人を小ばかにした嫌味な人間にしか見えない。おそらく計算しての演技なのだろう。「蹴り飛ばしてやりたい!」と視聴者が思ってしまう時点で、彼の勝ちだ。

チャンホのラスボスにしては小物感がいがめないので、きっと後半のどこかでチャンホとの対決は決着がつくだろうが、いずれにしても残忍で欲深いキャラクターは今後も侮れない。

敵か味方か? つかみどころのない九川市長・ドハを演じるキム・ジュホン

実力だけでのし上がってきたドハが目指す先は…?(c) 2022 Disney and related entities

そしてもう一人注目すべきなのが、九川市長・ドハを演じているキム・ジュホンだ。

そもそもこの人が突然現れ、チャンホに殺人事件を依頼したことから物語は始まった。いわばチャンホの人生を狂わせた張本人といえるだろう。

NRフォーラムの中心人物であり、九川大学病院の院長を務める医師の妻を持つドハ。妻に対してはいつも紳士的に振る舞うも、なぜかそこに愛情は感じない。誰に対しても冷たいまなざしを向けるので、一体何を考えているのか分からない人物だ。

チャンホもミホも、今のところドハを頼らなければどうにもならない面があるものの、本当にこの人物を信じていいものかどうか、悩んでしまう雰囲気がある。政治的野望を持っているドハは一体敵なのか味方なのか。物語が折り返しにきても判断できないところがこの物語の面白いところだ。

Netflixで配信中の『スタートアップ』では、ヒロインの優しい父親役を演じていたが、今回はその面影はない。ドハが物語を引っ張っていきそうな予感がするので、目が離せない。

『ビッグマウス』
ディズニープラス スターにて独占配信中

文・咲田真菜

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

目次