屋比久知奈、唯月ふうかインタビュー 新作ミュージカル『白爪草』「女性2人のミュージカルって面白いんだ! と思ってもらえる作品に」【インタビューVol.45】

左から 唯月ふうか、屋比久知奈(撮影:咲田真菜)

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2026年1月8日(木)~1月22日(木) SUPERNOVA KAWASAKIにて、新作ミュージカル『白爪草』が上演される。

2020年、コロナ禍に電脳少女シロ主演、世界初の全キャストVTuberで演じられた衝撃のワンシチュエーションサスペンス映画「白爪草」。双子の姉妹、花屋、母の死、再会、入れ替わり、そして記憶のねじれ。 心理劇×サスペンス×音楽が融合した、新感覚の2人ミュージカルが誕生する。

音楽は、唯一無二の世界観を持ち国際的にも活躍するシンガーソングライター・ヒグチアイが初めてミュージカル楽曲を手掛け、脚本:福田響志×演出:元吉庸泰といった注目の若手クリエイター陣が新作ミュージカルを作り上げる。

双子の妹・白椿蒼を演じるのは屋比久知奈、双子の姉・白椿紅を演じるのは唯月ふうか。次世代のミュージカル界を背負う2人が、どんな世界観をみせてくれるのか。

このたび屋比久知奈さん、唯月ふうかさんにインタビューを行った。公演にかける意気込みをお二人の仲の良さが伝わる和気あいあいとした雰囲気の中でお話くださった。

【あらすじ】
「その人生、私にちょうだい」花屋で働く静かな日常の中、蒼(屋比久知奈)は“ある人物”を迎える準備をしていた。6年前、母を殺した姉・紅(唯月ふうか)。――決して避けては通れない過去。長い沈黙の果てに訪れた再会の夜、姉が語り出す真実と一つの“提案”。「人生を、入れ替えよう」揺れる記憶、歪む愛情、絡まる罪と赦し。双子の姉妹が、一夜で“すべて”を交わす――二人が紡ぐ濃密なワンシチュエーションでの密室ミュージカルが、あなたの心を撃ち抜く。

左から 唯月ふうか、屋比久知奈(撮影:咲田真菜)

――先ほどお二人の楽しそうな声が聞こえてきて、仲のいい感じが届いてきました。今作は2人ミュージカルということですが、出演が決まった時のお気持ちをお伺いできますか?

屋比久:すごく嬉しかったです。女性だけで、しかも2人のミュージカルはなかなかないですよね。今回機会をいただけたことが純粋に嬉しかったです。しかも相手がふうかです! 「この人と一緒にやっていけばきっと大丈夫!」と思えて、不安は半分になりました。

ただ同時に「どうなるんだろう?」という気持ちもあります。原作が全キャストVTuberの映画で、独特の空気感があります。それをどのようにミュージカルにして、生身の人間が表現できるのかな…と。これは挑戦ですから、その機会をふうかと2人でいただけたのは、嬉しいし、楽しみです。

唯月:私もとにかく嬉しかったです。信頼を寄せているともちゃんと一緒に同じ舞台に立って、いろんな化学反応を起こせることが今から楽しみです。お客様もそうですけど、ミュージカル界の仲間たちから「ふうかちゃんとともちゃんが2人だけでやるんだ! すごい気になる!」と言ってくれる人が多かったので、それも嬉しいですね。

――お仲間からも「楽しみ! 気になる!」という声があるんですね!

屋比久:結構言われましたね。

唯月:(2人は)同じ作品で同じ役をやったことからスタートしてるので…。

屋比久:2人が同じ役をWキャストとしてやるのではなくて、2人だけで上演できることは私たちもうれしいし、まわりからも驚かれて楽しみにしていると言っていただけました。

――確かにお二人は、Wキャストとして同じ役を演じているイメージが強いですよね。これまで共演されたことはありましたか?

屋比久:ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』で共演していますが、一緒にお芝居をする役どころではなかったです。今回もそうですが、その時も私のほうが妹役だったんですよ。私の方が年上なんですけど…。ふうかのほうがしっかりしているからかな(笑)。

唯月:(笑)してない、してない!

屋比久:(笑)。ちゃんと2人で向き合ってお芝居ができる機会を与えていただけて、うれしいですね。

左から 唯月ふうか、屋比久知奈(撮影:咲田真菜)

――本格的なお稽古はこれからだと思いますが、今の段階(10月下旬)で、それぞれどのように役作りをしようと思っていますか?

屋比久:私が演じる蒼は、罪を犯した双子の姉がいるけれど、優等生でいい子なんです。でもそれだけじゃない複雑なものを内に秘め続けている子だと思っています。

これから私の中で役をどんどん詰めていく段階ですので、あまり深くは話せないですが、姉の紅との関係性、2人の間で起きてしまった出来事を通して、蒼という一人の女性がどう作られたのか…という流れを自分の中で丁寧に想像していきたいです。

そして皆さんに「人間的」に観てもらいたいです。VTuberさんのイメージがあると思うのですが、人として存在したかもしれないという、より身近に感じてもらえるようなキャラクターにできたらと思います。そこに至るにはふうかと密に詰めていくことで生まれる何かがきっとあるでしょうし、稽古の中で積み重ねていきたいです。

唯月:今回私が演じる紅は、すごく難しい役柄だと思っています。挙動も言動も読めないし、どちらかというと相手を振り回す人です。でも犯罪者というレッテルを貼って表面だけを見るのではなく、皆さんには彼女を深堀りして観てもらいたいですし、私がそこに至るまでのヒントをポトポト落としていくのを、皆さんには拾って観ていただきたいです。

今の段階で思うのは、この2人の愛が強いからこそ起きてしまったことがあると思います。2人を比較して違いを出していきたいですし、紅の純粋で繊細な部分を皆さんに届けられるようにしたいです。そのために感情の種類を自分の中で増やしていきたいですね。

――今回の役を通じて、ご自身との共通点はありますか?紅を演じる唯月さんはあまりないのかな…とは思うのですが…。

唯月:難しい…(少し考えて)。でも最近「何考えてるのか分かんない」って言われることがあるんですよ。もともと感情の振り幅が広いタイプではないですし、割と冷静というか…

屋比久:確かに! 落ち着いているイメージがある!

唯月:大きくブレないタイプなので、そこがうまく繋がったらいいなって思っています。台本を読んでいて、急に紅の中の無機質な部分が出てくると思ったので、周りから見られてる自分ともしかしたら似てるかも…と感じています。

屋比久:私もいい子でいたいって思って生きてきたタイプなので、蒼の気持ちがすごくわかります。私は姉が一人いるので、姉妹がいるという感覚もわかるのかもしれません。

私の姉はとても穏やかな人でめちゃくちゃ仲が良かったんですが、だからこそムカついてしまう部分もありました。多分それは姉も同じだったと思いますが、そういう家族・姉妹ならではの何かは、紅との関係性を作り上げていく上で役に立つかもしれないと思っています。

――今回注目したいのが、シンガーソングライター・ヒグチアイさんが初めてミュージカル楽曲を手掛けることです。お二人がどんな歌を歌うか楽しみなところですが、どんな感じの曲ですか?

屋比久:面白いです! そして作品にめちゃくちゃ合っています。

唯月:合ってるね。

屋比久:テーマソングっぽい曲が1曲あるんですけど、それが流れてくるだけで、私たちとしては世界観がワーッと上がる感じがあります。きっとそれはお客様にも同じように感じてもらえると思います。

この間、読み合わせをした時にミュージカルとして曲の繋がりがすごくあると感じたのでさすがだなと思っています。(唯月のほうを見て)ね? 難しいけど。

唯月:ね! 難しいですけどね。

――お互いにソロの楽曲があったり、2人ミュージカルだから掛け合いがあったりする感じですか?

屋比久:そうですね。曲数が多いわけじゃないですけど、大事な場面にそれぞれの心情を歌っています。2人の駆け引きの場面は、あまりない感じなので面白いと思います。曲を聞くことでわかることがたくさんあるので、歌と音楽のバランスも含めて稽古しながら作っていきたいと思います。

唯月:曲調がどこか寂し気ですごく印象に残っています。それがこの作品の共通する空気感なのかもしれないです。ヒグチさんの持っている大事なものを私たちも大切にしながら壊さないようにしたいですね。

左から 唯月ふうか、屋比久知奈(撮影:咲田真菜)

――演出は元吉庸泰さんが手掛けられます。お二人は元吉さんが演出される作品に出演した経験はありますか?

屋比久:私はミュージカル『ナイン』で、元吉さんが演出助手として入られていたときにご一緒しました。

唯月:私はミュージカル『ジェイミー』で、日本版演出補として元吉さんが入られていたのでご一緒しました。その際にすごく寄り添ってくださったので、今回本格的にご一緒できるのがすごく嬉しいです。

――役作りをする上で、アドバイスはありましたか?

屋比久:まだ細かいお話はしていないですが、初めて読み合わせをした時、2人が思っている感じで読んでみてくださいとおっしゃってくださいました。きっと一緒に作り上げていってくださるんだろうなと思っています。

唯月:本読みをして終わった後、元吉さんが「見えてくるものがすごくあった」と言ってくださったのでうれしかったです。元吉さんは専門的なお芝居について細かく丁寧に教えてくださいます。役のことを誰よりも愛している方なので、細かいことを聞いても全部返ってくるぐらい役の親みたいな方です。そこは思い切り甘えて、一緒に作っていけたらと思っています。

――今回、楽しみな点と難しいと思う点をそれぞれお聞かせいただけますか?

屋比久: 大人数の作品は、やらなければならないことが散りばめられているので、散っているものをまとめていく時間が必要です。でも今回は2人だけなので、より緻密に濃密に稽古に集中できるところがうれしいです。2人芝居が初めてで、そういう稽古をやった経験がないので、挑戦だけれどそのヒリヒリ感を頑張って楽しみたいです。

作品の空気感を作るのが2人だけなので、そこは頑張らないと…と思います。頑張り方もまだ模索中ですけれど、そういう怖さはあります。

――ファンの方にとっては、大好きなお二人をずっと観ていられる喜びがありますが、出演されるほうは大変ですよね。

屋比久:今回の劇場は、お客様との距離も近いですしね。

唯月:そう、そこが本当に怖い。

屋比久:私たちだけでなくお客様も緊張されると思います。それがいい方向に向いていければいいですよね。

――唯月さんの楽しみな点と難しいと思う点をお聞かせください。

唯月:ともちゃんのお芝居を客席から観ていて本当に素敵だなと思うので、一緒にお芝居ができることがすごく嬉しいですし、声を合わせられるのがとても楽しみです。2人だからこそ、試して壊してというのがいろいろできると思うので、それも楽しみです。

難しいと思う点は、エネルギーをどう出し続け、どういう空気に持っていかなければいけないかというところです。小さな空間でやっていたら、お客様に伝わらないかもしれないので。お芝居以外の部分で考えなくちゃいけないことがきっと多いと思います。そういう部分をうまく消化できたらいいのですが、まだ答えもヒントも何も見つかっていないので、やりながら見つけていきます。

――今回双子の役ということで、もし自分が双子だったら、どんな感じかと考えたりしますか?

屋比久:え…。想像つかないですけど…

唯月:同じ顔で、同じ声が2人いるということだよね? …うるさいかもね!!(笑)

屋比久:(爆笑)。

唯月:一人っ子だから本当に想像がつかなくて…。自分と同じ顔で同じ声の人が2日間ぐらいなら欲しいかも。

屋比久:2日間なんだ!

唯月:でも心強いと思うかもしれない。

屋比久:そんな気もする。わかってくれるもう一人の自分がいる感じで。聞いたり見たりする話だと、双子って感覚を共有してるっていうじゃないですか。好きになる人のタイプも一緒とか、片方が悲しんでいたらわかるとか…。感覚的に繋がってるものがあると聞くと、味方がいる感じなのかと思いますね。

――それでは改めて、公演に向けて意気込みをお聞かせいただけますか?

屋比久:貴重な機会をいただき2人ミュージカルをやらせていただくので、私たちが演じたことでこの先も「女性2人のミュージカルって面白いんだ!」と別の作品ができるきっかけになる一つのマスターピースになればいいなって思います。

今回歌う曲は、私たち2人があまり歌ったことがないタイプのものだと思うので、そこも楽しんでいただきたいです。いろんな作品を観ている方にも新しい作品として楽しんでもらえると思います。

そのためには、自分の今持っている実力以上のものを出せるように頑張りたいですし、お客様には、この作品を楽しんで帰っていただけたら嬉しいです。2人で頑張って稽古をします!

唯月:お客様は構えることなく、楽しみに観に来てもらえたらいいなと思います。観終わったあとに「なんかここが気になるなぁ。もう一回観てみようかなぁ」と何度も足を運んでもらえる作品になったら嬉しいです。「鳥肌立った、震えた」みたいな言葉をいただくと嬉しいので、そういう気持ちになっていただけるように私たちはしっかり表現して届けたいです。

取材・撮影・文:咲田真菜

左から 唯月ふうか、屋比久知奈(撮影:咲田真菜)
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新作ミュージカル『白爪草』公演概要

日程:2026年1月8日(木)~1月22日(木)
会場:SUPERNOVA KAWASAKI

【チケット料金】
全席指定:9,500円
Yシート(20歳以下当日引換券):2,000円*
U-25(25歳以下当日引換券):7,500円
全席指定映画上映会付チケット:10,500円 (1月11日(日)16:00/1月17日(土)16:00のみの取扱い )
*=ホリプロステージのみ取扱
※本公演はワンドリンク制になります。

原案 映画 「白爪草」
音楽・歌詞 ヒグチアイ
脚本・歌詞原案 福田響志
演出 元吉庸泰
音楽監督 竹内 聡
編曲 齋藤優輝
美術 平山正太郎
映像 KENNY
照明 浜崎 亮
音響 山本浩一
衣裳 小田優士
ヘアメイク 水﨑優里(MIG)
振付 塩野拓矢(梅棒)
稽古ピアノ 石川花蓮
舞台監督 松井啓悟

【キャスト】 ※五十音順
屋比久知奈  唯月ふうか  
安蘭けい(声の出演)

主催・企画制作:ホリプロ
公式サイト:https://horipro-stage.jp/stage/sirotsumekusa2026/

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この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

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