『シュレック・ザ・ミュージカル』トライアウト公演 キャストの歌唱に圧倒 子ども心をくすぐる演出にホッコリ 

『シュレック・ザ・ミュージカル』

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2022年8月15日(月)~8月28日(日)東京建物Brillia HALLにて、『シュレック・ザ・ミュージカル』トライアウト公演が上演される。

『シュレック』は、2001年に『マダガスカル』『カンフー・パンダ』など数多くの子ども向けアニメ映画を手掛けてきた、ドリームワークスが制作したアドベンチャーコメディ映画。2008年にブロードウェイでミュージカル化された本作が、このたび日本初上陸となる。

本公演では、メインキャストとアンサンブルキャスト全キャストがオーディションで選ばれた。

シュレック役は、子役時代からキャリアを積み、近年ではミュージカル『オリバー!』や『刀剣乱舞』シリーズなどへ出演するspi、ヒロインのフィオナには、数々の大作ミュージカルにアンサンブルとして出演経験のある福田えり、シュレックの相棒・ドンキーは、有名テーマパークでアクターやシンガーなどを務め、近年ミュージカル作品への出演が多い吉田純也、シュレックとフィオナにとって、ラスボスとなるファークアード卿は、ミュージカル『ミス・サイゴン』のトゥイ役が印象的な泉見洋平が務める。(以下、一部ネタバレあり)

目次

圧倒的な歌唱力のキャスト陣

人里離れた森の沼のほとりに住む怪物・シュレックは、誰に干渉されることもなく、気ままな生活を送っていた。

そんな時、領主であるファークアード卿によって追放されたおとぎ話に登場する人物がシュレックのもとに押し寄せてくる。ピーターパン、ピノキオ、3匹のこぶたなど、顔触れはさまざまだ。

静かな生活を乱されたシュレックは、なんとかしてほしいとファークアード卿のもとを訪れるが、王の座を狙うファークアード卿は、ドラゴンに囚われているフィオナ姫を救い出したらなんとかしてやると条件を出す。静かな生活を取り戻すために、ドンキーとともにフィオナ姫を救い出すため、シュレックは旅に出る…。

物語はいたってシンプルだ。フィオナ姫を救い出すために冒険に出て、ドラゴンと戦い、フィオナ姫を救い出す。一緒に旅をしているうちに、いつしかシュレックとフィオナ姫は心を通わせるようになる。

分かりやすいストーリーの中で、圧倒されるのがキャスト陣の高い歌唱力だ。

シュレックを演じるspiは、存在がシュレックそのものの上に声質がぴったり。滑舌よくせりふがよく理解できる。以前ミュージカル『オリバー!』でspiを観たが、その時よりも格段に歌唱力がアップしたように思う。

福田は、アンサンブルキャストとして数々の舞台をこなしてきただけあって、歌唱に安定感がある。フィオナはヒロインではあるが、なかなか個性的な面もあり、そういったところを巧みな歌唱で演じ分けるところはさすがだ。

ドンキー役の吉田もコメディー担当でありながら、その高い歌唱力を見せ、ファークアード卿役の泉見も同様にふざけたキャラクターを演じつつも甘い歌声は健在だ。

こうした主要キャストのみならず、アンサンブルキャストの歌唱にも心が震えた。ジンジャーブレッドマン役の岡村さやかとドラゴンを演じた須藤香菜の素晴らしいこと! 2人とも見せ場では、顔を見せることなく黒子に徹しているのだが、だからこそ彼女たちの歌声がより一層心に響く。

子ども心をくすぐる巧みな演出

会場の多くは家族連れで、小さい子どもたちが多く観劇していたが、こうした子どもたちの心をつかむ巧みな演出が盛りだくさんであるところも、この作品の魅力だ。

まずは視覚的に子どもたちの興味をとらえて離さない。シュレックは、spiがどういう顔なのか全く分からずシュレックにしか見えないし、ファークアード卿を演じる泉見は、その独特の風貌を見た子どもたちはびっくりするだろう。

おとぎ話のキャラクターたちは子どもたちにとって馴染深い扮装をしており、中でもピノキオの鼻がびよーーんと伸びるシーンで、子どもたちは手を叩いて笑っていた。そしてシュレックが戦うドラゴンもなかなかの迫力だ。プロジェクションマッピングをふんだんに使った舞台装置に、子どもたちは飽きることはないだろう。

楽しかったのが、シュレックとフィオナ姫のデュエットだ。ソウルフルな曲に載って、それぞれの幼少時代の不幸を競い「私の勝ち!」と言い合う場面なのだが、2人の圧倒的な歌唱力に引き込まれた瞬間、突然シュレックがおならをする。それに合わせて、なんとヒロインのフィオナ姫もおならをし「おなら合戦」へ。これに子どもたちは大喜びで、大爆笑だった。

物語は「君はそのままでいいんだよ」という多様性を認める素敵なエンディングを迎える。なんとも爽やかな気分にしてくれる作品ではないか。

上演時間は1時間30分(途中25分間の休憩あり)。子どもたちがグズることなくジッと舞台を見つめているのは、この作品が大人と子どもの心をきちんととらえることができるということの証明になるだろう。きっとこの中から、将来「ミュージカルが大好き!」という子が誕生してくれることだろう。

ぜひ夏の思い出に、家族で足を運んでほしい公演だ。

文・咲田真菜

『シュレック・ザ・ミュージカル』トライアウト公演

■日程:2022年8月15日(月)〜 28日(日)[18公演]
■会場:東京建物 Brillia HALL [豊島区立芸術文化劇場]
■チケット:S席:8,800円 こどもS席:4,000円 A席6,000円
■公式サイト:https://www.shrek-musical.jp/index.html

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この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

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