舞台『オンディーヌ』 ハンス役Wキャスト 小澤亮太、宇野結也インタビュー【インタビューVol.14】

小澤亮太、宇野結也

Google

2022年12月23日(金)~12月25日(日)ウインクあいち大ホール(愛知県産業労働センター)にて、2023年1月6日(金)~1月11日(水)東京芸術劇場シアターウエストにて、舞台『オンディーヌ』が上演される。

本作はフランスを代表する劇作家ジャン・ジロドゥの傑作で、永遠の愛を信じて人間界に入った水の精オンディーヌと、遍歴の騎士ハンスの悲恋を描く。日本では1958年に劇団四季が初演したことで広く知られている。

今回は映像・舞台で数々の名作を手掛けてきた星田良子の上演台本・演出により、「水の精」たちで演じられる新しい世界観の『オンディーヌ』となる。

主演のオンディーヌは、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』のナウシカ役など、歌舞伎界注目の若手女形として挑戦を続ける中村米吉が演じ、騎士のハンスは、舞台で活躍する若手俳優、小澤亮太・宇野結也がWキャストで務める。

このたび小澤亮太さん、宇野結也さんにインタビューを行った。稽古真っ只中で感じていることや、公演にかける意気込みについて語っていただいた。

小澤亮太、宇野結也(オフィシャル提供)

――今回の作品でハンス役をWキャストで演じる小澤さんと宇野さんですが、まずはオンディーヌを演じる中村米吉さんの印象をお聞かせください。

小澤:歌舞伎俳優の方と共演することが初めてなんですが、普段はもちろん違うんですが、稽古場では女性より女性に見えるし「女の子だな~」と感じます。しっかりしてるし、とても素晴らしい方です。

宇野:米吉さんとは数えで同い年になるんですよ。そういう意味で親近感があったんですけれど、一緒にお稽古をしていく中で、自分の役に対してはもちろん、作品全体を俯瞰して見ていらっしゃって、なおかつ作品を観るお客さんのことをすごく考えている方だと思っています。

つけていただく演出を受け取りつつ、自分のアイディアを出したりしているので、それが本当に素敵だなと思って見てます。

――稽古場の雰囲気はいかがですか?

宇野:(演出の)星田さんが全体を巻き込んでグワっとすごく引っ張ってくれる、とてもパワフルな方なんです。米吉さんも同じぐらいパワフルなので、座長と演出家のお二人にみんな感化されて、結構熱い稽古場なんじゃないかなと思います。

小澤:毎日戦いのような稽古をしてますね。(笑)

――星田さんは厳しい稽古をされると聞いたことがありますが…

小澤:芝居について沢山考えさせてくださる方です。こんなに考えたことは最近ないっていうぐらい。うまくいったときの達成感はすごいだろうなと思います。大変ですが、すごく前向きに取り組んでいます。

宇野:星田さんは厳しいんですけれど、自分にない感覚に出会えたと思っています。台本から読み取ったものを稽古場で披露して「違う!」と一蹴されることもあるんです。なかなかそういう経験って少ないんですよ。

星田さんが思い描いている『オンディーヌ』という作品の船に役者たちが乗っていって、船の中に入って楽しんでいるという感じです。

まずはそこに食らいついていかなければならないので、僕と小澤亮太くんが2人で感性をまぜ合わせて作品を理解し、作り上げています。厳しい中ですが、新たな感覚に出会えてる楽しさがありますね。

小澤亮太(オフィシャル提供)

――ハンスという人物について、お二人はどのように捉えていますか?

小澤:すごく人間らしい人だなと。自由に生きているし、現世にもこういう人はいるので気持ちはわかる、みたいな。物語の中では、いけないことをしてしまった部分もあるんですけど、それでも愛嬌がある、憎めない役だと思っています。

宇野:ハンスは確かに憎めないんですけど、女性から見たら本当にむかつくと思うんですよね。 でもむかつくだけで終わらせちゃったら、このお話の根幹となる「オンディーヌが愛した人」という意味がなくなります。

ですから何かしら魅力がないといけなくて、その魅力は何なのかなといったら、真っ直ぐに気持ちを伝えるところなのかなと思います。

言わなくていいことまで言うし、嘘をついてもいいのに本当のことを言ってしまうというのは、亮太くんが言った通り憎めなくてかわいらしいところです。

僕に母性はないんですけど、台本を読んでいるとハンスに対して母性を感じる瞬間があると思うので、そこをいかに表現できるかというのが課題だと思っています。

――お二人は同じ役をやるということで、ライバル心ってあるんでしょうか? それとも役作りに対して話し合ったりしていますか?

小澤:同じ役を演じるといっても、結果的に絶対違う人になるので、2人で切磋琢磨していきたいと僕は思ってます。宇野くんのいいところは俺と全く違うし、考え方も全然違うし。でもゴールは近いところにあるのかなと思っています。宇野くんはどう?

宇野:僕もライバル心は一切ないですね。初めてWキャストでのお芝居で、どういう感じで進んでいくんだろうって不安はありましたが、亮太くんがすごく包容力があって、本当に心の支えですよ。

小澤:俺もだよ(笑)。

宇野:亮太くんが言った通り、同じ思想を持っていたとしても、僕と亮太くんが演じるハンスは同じではないと思いますし、そこがお芝居の面白いところなんだろうなと。

稽古で「なるほどな。こういう捉え方もあるな」というのを、お互いの芝居を見ながら感じることもできるので、Wキャストって贅沢なことだなと思っています。

宇野結也(オフィシャル提供)

――今回はせりふの応酬がたくさんあります。ハードなシーンになるかと思いますが、感触はいかがでしょうか?

小澤:せりふがとにかく沢山あるので、まずは覚えるところから始めてるんですけど…。結構大変ですね。でもフィーリングが合い始めたらすごく楽しくなってくると思っています。こうきたらこういうふうに返そうというのは、馴染めば馴染むほど視野が広くなってくるので。

米吉さんからみたら、ハンスを宇野くんがやって小澤がやって…となるんですけど、それもいい刺激として捉えてもらえたら嬉しいなって思います。

宇野:本当にすごいせりふ量だなと、台本を読んだときに思いました。ここまでせりふ量が多いと、もはや「一言一句間違えずにやってやろう!」って思いますね。こうなったらやるしかないなみたいな(笑)。

古典作品なので、口語とは違うところが出てくるんですよ。普通だったらこんな言葉使わないなというところがあるじゃないですか。そこをどう演じる側が違和感なく届けるかというのは、星田さんから「全部我が事にしろ」と言われています。

我が事にするって、確かに説明のせりふみたいに聞こえるところもあるけれど、そこをいかに今湧き出た感情で話すかということですね。ただ感情のまましゃべろうとすると間延びしちゃうんで、間延びするところをどんどんクイックにしていく作業をしています。

そして、どうしてその言葉が出てきたのかという、裏に流れてる感情や、相手のどのせりふからこの感情が生まれるのかとか…。今、すごく地道なことをやっていますね。

オフィシャル提供

――オンディーヌとは全然違うタイプのベルタという女性とも絡みがあります。和久井優さんが演じるベルタとのやり取りはいかがですか?

小澤:オンディーヌとは違うので対応も変わってきますよね。べルタに対しては、台本の中でいろいろな経過があるので、メリハリをつける事を意識しています。ハンスにとってベルタは、元婚約者でありながら関係性が曖昧で微妙なところもあるし、好きだったり嫌いだったりもして…。稽古を重ねて、会話で踊れるようになったらな…と思いますね。

宇野:会話で踊れるって、いいよね!

小澤:なんか難しい言い方しちゃったけど…(笑)。ハンスは終始右往左往しているので、オンディーヌがいる世界に、ベルタが追加されたときにどうなるか、そういう世界をしっかりと考えてやっていきたいです。

宇野:ベルタとの関係は、オンディーヌと根底は変わらないと思います。オンディーヌは古風な男性が好きな女性像みたいなところがありますよね。「俺が歩いたらついてこい!」というせりふにあるように。「今まで愛したのは俺だけで、神を超えるぐらい俺のことを愛せ」

とか「俺が死ぬときは死んで」みたいな、男の身勝手な要望を具現化したのがオンディーヌなんです。

一方でベルタは、社会的・経済的に生きていく上での最初の形なのかなと。そういう感情の違いはあると思います。でもそこまでハンスは深く考えていないと思うんですよね。周りの反応で彼の対応が若干変わるというか…。

オンディーヌと会ってから結婚すると決めると、ベルタとの間に若干気まずさは出てきますが、やっぱり好きだなと…というところも見えたりして。ベルタへの感情が0でオンディーヌへの想いが100のようにみえて、意外とそうじゃない感じがします。

少し違う出来事が起きるとハンスはフラフラしますから、それがハンスの人間らしいところなのかもしれません。

オフィシャル提供
オフィシャル提供

――そして和楽器が入る音楽にも注目ですね。

宇野:音楽はスッゴイいいですよ。めちゃくちゃいいっすね。

小澤:聞いていて楽しいし。

宇野:音楽があることで、この話がより濃くなると思っています。音楽が作品にガーンとマッチしているし、感情がグワっと持っていかれるところがあります。ぜひ楽しみにしていてほしいです。すごく良い音楽を作ってくださったなと思いますね。

――ファンの方は、今までとは違うお二人の姿を見ることができる公演だと楽しみにしていると思います。こういうところを見て欲しいというアピールポイントがあれば教えてください。

小澤:ハンスは「チャラ男」といいますか、どっちつかずな所もありオンディーヌとベルタに対してあまり良いとは思えない行動を取ってしまう人なんです。

でもオンディーヌへの愛も、ベルタとの愛も僕から見たら純粋です。ですから見た後に「ハンスも悪いやつじゃなかったな」という気持ちになってくれたら嬉しいなと思います。

また、僕自身古典演劇は初めてなので、新たな世界観も楽しんでくれたら嬉しいです。

宇野:後半の4幕に入ると、話が一気に加速するんですよ。ですから4幕がすごく見どころなんじゃないかなと思います。

4幕にいくまでのハンスの気持ちの流れ、オンディーヌの気持ちの流れ、ベルタの気持ちの流れ、3つがグルっと4幕ですごく入り乱れていきます。最終的にハンスが迎える最後を僕は演じていて楽しいと感じています。

それは、星田さんがその感情に気づかせてくださったと思っていて、そこに向けて1幕から3幕まで積み上げていきたいし、また1幕から3幕の濃度が濃くなってくれば、新たな景色が見えるんじゃないかなと思っています。ぜひ楽しみにしていてほしいです。

――古典作品に今取り組んでいて、これからも関わっていきたいと思いますか?

小澤:言葉の解釈など考えることが非常に多いので、そこは辛くともすごく楽しい部分です。古典作品は本当に言葉が難しいけれど、普段の台本より考えさせられるようなことが多いので、すごく大変ではありますが読み解いていくところが楽しいので今後も機会があればぜひ関わりたいです。

宇野:ぜひこれからも古典に関わっていきたいと思いました。2年ぐらい前なんですが、落語をやったときにも感じたんですけれど、何百年も前の作品を2022年に生きている僕が読んで感動したり、新鮮に感じられたりすることってすごいことだなと改めて思います。

パソコンができたりスマホができたり、世の中は進化しているけれど、人間の根本は変わらないところが文学作品から分かるんです。

亮太くんも言ってましたけど、この作品は恋愛のことしか描いていないので、一見そこまで内容が濃くないように思えるんです。

でも中で描かれている感情というのがものすごく濃密で、1文で「こんなこと思ってたんだ」ということが証明されたり、一言一句無駄にできない感じが改めて古典って面白いなって思っています。

今は大変だし苦しいですけど、何とか食らいついて届けたいと思っています。

オフィシャル提供
オフィシャル提供

――ファンの方へメッセージをお願いいたします

宇野:この作品は、米吉さんが歌舞伎以外の舞台に出演する初めての公演です。そして星田さんが「この作品が私は最後になるかもしれない」と冗談っぽくおっしゃっていたんですが、その時に星田さんのこの作品に懸ける熱い思いに触れました。すごい作品に関わっているんだなと。

この作品に全力を注いでどうにかして食らいついて、素晴らしいものにしたいです。古典なので老若男女、皆さんに届けることができると思うんです。最後まで無事にお届けできることを心から願って、本番最後まで取り組んでいきたいと思います。

小澤:今回は歌舞伎の方がいたり、元宝塚の方がいたり、今まで共演してきた方々とはまた違う新たな魅力のあるキャストの方が多いので、内容はもちろんですが、そちらも見どころのひとつだと思います。

星田さんは「古典、古典したくない」とおっしゃっているので、僕たちもお客さまに分かりやすく、好きになってもらえるような作品作りができたらいいなと思ってます。

取材・文:咲田真菜
写真:オフィシャル提供

オフィシャル提供

舞台『オンディーヌ』

【愛知公演】

公演期間:2022年12月23日 (金) ~2022年12月25日 (日)
会場:ウインクあいち 大ホール(愛知県産業労働センター)
料金:S席9,500円 A席8,500円(全席指定・税込)
※未就学児はご入場いただけません。

<アフタートークについて>
対象公演回のチケットをお持ちの方がご覧いただけます。なお登壇者は急きょ変更になる場合もございますので予めご了承ください。

☆登壇者
12月24日(土) 17:30 回 … 中村米吉、宇野結也、和久井優、紫吹淳、MC:我善導
主催 :  サンデーフォークプロモーション / team Geki
共催 : 中日新聞社
お問合せ :サンデーフォークプロモーション 052-320-9100(12:00~18:00)
チケット取扱い :チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット

【東京公演】

公演期間:2023年1月6日 (金) ~1月11日 (水)
会場:東京芸術劇場シアターウエスト
料金:S席9,500円 A席8,500円(バルコニー席)(全席指定・税込)
※未就学児はご入場いただけません。
※Wキャストのスケジュールは公式サイトにてご確認ください。

<アフタートークについて>
対象公演回のチケットをお持ちの方がご覧いただけます。なお登壇者は急きょ変更になる場合もございますので予めご了承ください。

☆登壇者
1月6日(金) 18:30回 … 中村米吉、宇野結也、MC:我善導
1月7日(土) 17:30回 … 中村米吉、小澤亮太、MC:我善導
1月8日(日) 17:30回 … 中村米吉、和久井優、MC:市瀬秀和
1月10日(火) 18:30回 … 中村米吉、紫吹淳、MC:白鳥かすが

チケット取扱い :アーティストジャパン
アーティストジャパンチケットセンター
アーティストジャパン一般前売りフォーム(銀行振込のみ)
東京芸術劇場ボックスオフィス
【窓口】東京芸術劇場1階ボックスオフィス窓口(休館日を除く10:00~19:00)
【電話】0570-010-296(ナビダイヤル/休館日を除く10:00~19:00)
【WEB】https://tmt.pia.jp/(24時間受付(メンテナンス時間を除く))

チケットぴあ
イープラス
ローソンチケット
お問合せ:アーティストジャパン 03-6820-3500(平日11:00~18:00)
※お電話によるチケットお申込みは出来ませんので予めご了承ください。

作:ジャン・ジロドゥ
上演台本・演出:星田良子
企画・製作:アーティストジャパン

オンディーヌ:中村米吉
ハンス【Wキャスト】:小澤亮太/宇野結也
水の精キラ(ベルタ):和久井優
水の精サラ(ベルトラン):佐藤和哉(篠笛)
水の精ユラ(貴婦人):白鳥かすが
水の精ダヤン(国王):加納 明
水の精トン(オーギュスト):我 善導
水の精セラ(ユージェニー):宮川安利
水の精の王(奇術師):市瀬秀和
水の精アリ(王妃イゾルデ):紫吹 淳

■公式サイト:https://artistjapan.co.jp/ondine2022-2023/
■Twitter @aj_ondine


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

目次