【観劇感想】美村里江、内田理央、東 啓介、佐藤アツヒロが出演 舞台『二次会のひとたち』

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2023年4月30日(日)まで、紀伊國屋ホールにて舞台『二次会のひとたち』が上演中だ。

本作は、結婚披露宴に呼ばれていないのに二次会の幹事に抜擢された男女4人の物語。脚本家の岡田惠和と演出家の田村孝裕がタッグを組んだ3作目の作品となる。

5年ぶりの舞台出演となる美村里江、モデルとして活躍する内田理央、昨今ではミュージカルを中心に主要な役を演じている東 啓介、そして舞台俳優としてすでにベテランの風格さえある佐藤アツヒロが出演。1時間55分の会話劇で打打発止のやり取りを見せ、観客を楽しませた。

とあるレストランに集った男女4人。しかしそこに新郎(山口森広)・新婦(うらじぬの)の姿はなく、4人のスマホに能天気な動画が送られてきた。

一方的に二次会の幹事をお願いしたいという強引な動画に新婦の会社同僚・四方田みどり(美村里江)、新婦の大学時代の友人、篠田花(内田理央)、そして新郎の幼馴染、遠山信夫(佐藤アツヒロ)、新郎の会社の後輩、中内啓介(東 啓介)はあきれ返る。

4人はお互いに自己紹介をしたあと、この状況に愚痴りながらも「どうせなら思い切り良い二次会にしましょうよ!」と団結し、準備にいそしむ。いよいよ結婚式当日。果たして二次会は成功するのだろうか…?

(※以下、一部内容に触れる部分あり)

冒頭に登場する、新郎役の山口と新婦役のうらじの強烈な映像に圧倒されながら、美村、内田、東、佐藤の会話劇がスタートする。山口とうらじのインパクトがあまりにも強かったため、出演者4人がどのように存在感をアピールしていくのか非常に興味を持って観劇した。

久しぶりの舞台出演となる美村だが、ブランクを全く感じさせない。立ち姿が美しく、せりふの一つひとつが耳に心地よい。今回「バツ3の陰キャ」という役どころだが、相手を攻撃しつつも全否定しない優しさが美村が演じる四方田みどりにはある。

そして新婦の大学時代の友人、篠田花を演じた内田も予想以上の活躍ぶりだった。物事を斜めから見るちょっとひねくれた女性で、中内啓介の天然ぶりを激しく突っ込む役どころだ。内田の突っ込みが抜群にキレがあり、中内啓介を演じる東とのコンビネーションが完璧だ。

中内啓介を演じる東だが、筆者はミュージカルの舞台でしか彼を観たことがない。しかしこの作品で、こんなに達者な演技ができる人だとは…と感心した。一番の見せどころは、四方田みどり、篠田花、遠山信夫に対してオリジナルのクイズを出題する場面。「ダダーン!」という効果音を出し、大きな体を左右に揺らして「チッチッチッ」と時間を計る姿が面白い。

そして遠山信夫を演じる佐藤は、もはやベテラン舞台俳優の風格。安定感抜群で共演者3人の演技をそのまま受け入れる度量が備わっている。遠山は「売れない漫画家」で、女癖が悪くどうしようもない男なのだが、劇中には遠山が書いた漫画が登場する。なんともいえずホッコリする画風が、遠山のキャラクターとのギャップを感じさせる。この漫画を描いたのがカラテカの矢部太郎だということにも注目したい。

クセのある4人ということで、無茶ぶりをする新郎新婦を罵り、お互いを罵る…という展開を想像していたのだが、全く違っていた。確かに「披露宴に呼ばれないのに、二次会の幹事を押し付けられた」という点で、少なからず不平不満は言うものの、意外にあっさりと現実を受け入れる4人。「どうせなら良い会にしよう!」と奮起するところが、なかなか爽やかでよいのだ。

そして物語の後半は、4人がこれまで背負ってきた過酷な人生が明るみになる。これらのエピソードが結構きつくて重い。しかし4人がそれぞれ自身の過去を吐露することで、彼らの言動や行動に深みが出る。中内啓介の「ダダーン!」がなぜ生まれたのか。それは彼が育ってきた環境に関係があるからだ…と知ることで、「ダダーン!」がいとおしくなる。

心の奥深くに秘めてきた思いを吐き出してしまおう! と思えるほど、2次会の準備を通じて信頼できる関係になった4人。結末はベタだと思うかもしれないが、やっぱりこういう終わり方じゃなくちゃね…とニヤリとしてしまった。

クセのある4人の愚痴を聞き続けなければいけない話なのかな…と思いきや、予想以上に爽やかな気分になれた本作。東京公演は4月30日(日)まで同劇場にて、その後大阪公演は、2023年5月6日(土)~5月7日(日)COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演される。

ぜひお時間のある方は、劇場に足を運んでもらいたい。

文:咲田真菜

舞台『二次会のひとたち』

<東京公演>
日程: 2023年4月14日(金)~4月30日(日)全20回
会場: 紀伊國屋ホール
お問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799 (オペレーター平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)

<大阪公演>
日程: 2023年5月6日(土)~7日(日)全3回
会場: COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
お問い合わせ:キョードーインフォメーション:0570-200-888(平日・土曜11:00~18:00)

作: 岡田惠和
演出: 田村孝裕
出演:

美村里江
内田理央
東 啓介
佐藤アツヒロ

<映像出演>
新郎役=山口森広
新婦役=うらじぬの

<作画協力>矢部太郎

料金: 全席指定 9,000円(税込) ※東京・大阪共通
※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。

主催:エイベックス・エンタテインメント(東京)/リバティ・コンサーツ(大阪)
企画・製作:エイベックス・エンタテインメント

公式サイト:https://nijikai-stage.com/

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この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

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