【インタビューVol.4】劇団SHOW特急公演『真田十勇伝-令和元年』伊達謙一、工藤そのか、弘山和華乃インタビュー

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(左から)弘山和華乃さん、伊達謙一さん、工藤そのかさん

2012年4月に旗揚げ公演を行い、伊達謙一さんを主宰として東京を中心に活動する劇団SHOW特急。第11回公演『旋風峠の仇討ち』が、第30回池袋演劇祭で大賞を受賞するなど活躍が目覚ましい。

2019年9月4日(水)から東京・池袋のあうるすぽっとにて『真田十勇伝-令和元年-』が上演される。劇団の代表作といえる本作品は今回で2度目の再演となる。今回劇団の主宰で脚本・演出を手掛ける伊達謙一さんと、劇団SHOW特急所属の工藤そのかさん、客演として劇団SHOW特急の作品に4度出演している弘山和華乃さんにお話を伺うことができた。9月の公演に向けての意気込みをたっぷり語っていただいたので紹介する。

第30回池袋演劇祭大賞受賞公演として9月に『真田十勇伝-令和元年-』が上演されます。受賞作品は『旋風峠の仇討ち』でしたが、あえて『真田十勇伝』にした理由は何ですか?

 伊達:正直に言ってしまうと、劇場のサイズ感です。『旋風峠の仇討ち』を上演した劇場は小劇場でしたし、宿場町の話だったので、こじんまりとした世界観の作品でした。今回上演するあうるすぽっとの大きさを考えるとあまり合わないのかなと思いました。劇団としても今回の公演のような機会をいただいたことは一つの転換期としてとらえていますし、しかも令和元年という節目の年ですから、自分たちが一番自信を持って届けられる作品で勝負をしたほうがいいのではないかという思いもありました。

『真田十勇伝-令和元年-』でのそれぞれの役どころをお聞かせください。

伊達:僕は、初演と再演では真田幸村を演じたのですが、今回は十勇士の一人である由利鎌之助をやります。今回3度目ということもあって、主宰という立場を捨てて一役者として参加したほうが、他の役者さんたちがやりやすくなるのではないかという思いがありました。そういったことから一歩引いた十勇士の一人として参加しようと思ったのです。その中でも、キャラクターとして一番自分に合っていると思ったのが由利鎌之助でした。

実を言うと、初演と再演で演じた真田幸村はそんなにやりたくなかったんです(笑)。でも真田幸村は十勇士を率いて戦っていく人物、自分も劇団SHOW特急という劇団を率いてこれから戦っていかなきゃいけないという思いがあったので、どこか役とリンクさせていたところがありました。幸村という役に臨んで、皆に示し、成長したいなという思いがあったんです。でも不器用だけどすごく人間くさい由利鎌之介のほうが自分には合っているなと。やっぱり幸村はスーパーヒーローだから、凡人の僕には鎌之介のような役がぴったりきます。

工藤:初演、再演と同じく穴山小助という役をやらせていただきます。小助は不器用で、感情に左右されやすいというか、誰よりもいろんな人のそばにいたかったり、力になりたいという思いがあるので、そういう部分が自分と似ていると感じながら演じてきました。

穴山小助として作品の中で生きるというのはもちろんなのですが、一劇団員として座組全体を真田のためにみんなのためにお客さんのために支えたいという気持ちで今回もやらせていただけたらと思います。

あとは、今回賞を取らせていただいていた作品(『旋風峠の仇討ち』)で主演をやらせていただいて苦手だった殺陣を少しずつ克服してきたので、アクションの部分でもっと成長した部分を見せられたらなと思っております。

男役ということで、男っぽさを出すのにどういう工夫をしていますか?

工藤:今回の穴山小助で言えば、役に近いイメージの役者さんをまず見ます。そして台本とすり合わせていきます。実際にやってみて合わなかったら合わないですし、一緒にやる役者さんが出す感情もあるので、そこは様子を見ながら上手く作っていきます。私はお芝居が上手なほうではないので、いろんな人の芝居を観ながら吸収していけたらなと思っております。

弘山さんはどんな役どころですか?

弘山:私は淀君を演じます。時代劇をずっとやりたくてやってきたのですが、中でも淀君はずっと演じたかった役で、再演に引き続き今回も淀君役で出演させていただきます。

淀は気が強くて悪女でヒステリックですごく嫌な印象が強いんですけど、実際自分の父と母、それから義理の父を殺されたかたきというべき秀吉の側室になって子どもを産みました。「自分の母と同じ道を歩むまい」という思いがあったんじゃないかと思っているんです。ただ、強い淀君というイメージだけでなく、それぞれの場面にテーマを作り、強さだけでなく弱さや悲しさのような感情も出すようにしています。最後の最後に見ているお客さんが「淀君もやっぱり母だったんだ」思っていただけるように演じられたらと思います。

淀君のどんなところに魅力を感じて演じたいと思ったのですか?

弘山:まずは淀君が生きた時代は、時代劇の中で一番面白いと思っています。私は織田信長が好きなんですけれど、それに匹敵するぐらいの強さを持っている女性といえば淀と春日局だと思うんです。日常生活において、ここまで感情を表に出せて、憎しみも全部出せることってないんですよ。本当にやりがいがあるというか、演じていて気持ちがいいですよね。

『真田十勇伝-令和元年』は、歴史が苦手な人にも分かりやすくなっているのでしょうか?

 伊達:かなり分かりやすいと思いますし、歴史好きな人でも楽しんでもらえるような脚本作りを意識しました。例えば言葉の使い方を分かりやすくする一方で、歴史好きな人だけが知っているような単語をちょいちょい織り混ぜてみたりもしました。この話は意外と群像劇のような側面があると思うんです。豊臣家、真田家、徳川家それぞれの中で、人間関係が複雑に絡み合っているので、観る人によって共感できるキャラクターが必ずいると思います。

伊達さんはもともと歴史好きなんですか?

 伊達:そうですね。どうして真田幸村を選んだのかは覚えていないんですけれど、みんなでなんやかんや葛藤するものが書きたかったんです。真田十勇士は映画も一切見たことがなくて、真田家、徳川家、豊臣家の歴史を本を何冊か読んで書いたので、今までにない真田十勇士になったのではないかと思います。例えば年表で調べると、ちょうどこの時期に出雲阿国が生きていたんですよ。そこで十勇士のとあるキャラクターの関係者として絡めてみようとか、いろいろ想像を膨らまして書くことができましたね。

劇団SHOW特急は、時代劇だけでなくいろいろなジャンルの芝居をやっていますが、どういう基準で作品を作っているのですか?

伊達:節操がないだけですね(笑)。基本的に時代劇は好きなんですが、その時々に応じてこういうのが書きたいなというインスピレーションでやっている部分があります。ファンタジーも書きますし、今後やりたいと思っているのは子どもの絵本の世界のようなものです。例えば、魔女とかが出てきたり、どこかの王国があって騎士が出てくるような、そういう世界観を書きたいと思っています。

僕の根底にあるのは「人間を描きたい」ということ。例えば、人間じゃないキャラクターって芝居によく出てくるじゃないですか。そういうのではなくて、あくまで生身の人間を描いていくことは意識しているんです。それさえできればどんな世界観でもいいんですよ。

工藤さんは劇団員としていろいろなジャンルの舞台に出演されていますが、作品によって伊達さんの演出に違いを感じることはありますか?

工藤:時代劇の舞台を演出しているときの伊達さんは、いつも以上に熱さがすごいです。乗り出すぐらいの感じで演出されるので。ファンタジーの時は引いているわけではないですが、作品全体に熱さがあるというより、一部分にドラマを作って書かれていると感じますね。

弘山さんは劇団SHOW特急に4回出演されていますが、作品ごとに違いを感じますか?

弘山:まず演出家が何を求めているのかということが大切ですので、自分の考えがあってもやれと言われたらやるのが役者ですから、それに寄り添うように頑張っています。

伊達さんは役者に役のイメージをきっちり伝えるほうですか?

伊達:そうでもないと思います。「ここはどうしても」というところは言いますけど、最近は基本的に役者さんが作ってくるものを見て、それをどうやったらより面白くできるかなということを考えるようにしています。こっちから枠にはめることはあんまりしないかな。

ただ、どうしても作品として必要な部分、この人はこれが欲しいというような引けないものもあるので、そこだけは微調整をさせてもらいます。それ以外は基本的に役者のやりたいようにやってもらっています。役者がクリエイティブにやってその中で化学反応みたいなものが出れば面白いんじゃないかなと思うので。

改めて『真田十勇伝-令和元年-』の見どころをお願いいたします。

伊達:見どころと言っていいか分からないんですけど、僕が作品作りにおいてすごく意識しているのがアナログにこだわるというところです。もちろん今回も全くの新作のつもりでやるぜっていう1つの指標があるんですけど、一貫して見せたいのは演劇の本質の部分といったらおこがましいかもしれないですけど、役者の体一つで世界観を伝えていくことです。そこにすごくこだわりがあるんですよ。

近年だと映像を使って表現したりしますよね。もちろんそれにはそれの良さがありますが、よりお客さんに直接訴えかけるものはやっぱり人間の表現だと思うんです。特に時代劇は僕らが知らない世界だし生きていなかった世界だから、だからこそリアリティーを持って伝えなければいけないんです。そういう時はデジタルに頼るのではなく、一切そういったものを省いて、役者たちの表現力と肉体だけで勝負したいというのがあります。だからこそ肉体で表現する限界を見どころとして言いたいですね。

工藤:ほぼ伊達さんが伝えたいことは言ってくれましたが…。伊達さんが言ったようにお客さんに伝えていくことを意識して、出演者一人ひとりの生き方が見に来て下さった人それぞれに響いていけばいいな、伝わっていけばいいなと思います。

今回殺陣ができる方が数名いるんですけど、そういう方々の力を借りて、しっかりと斬り合っている部分を見せていきますので、そこもぜひ注目して欲しいなと思いますね。

伊達:殺陣に関しては無骨なだけではだめですが、リアリティーがなければいけません。派手さだけじゃなくてしっかりとしたリアリティーがある上で決めるところはちょっと派手に演出して決めるというバランスを目指しています。だからお客さんに納得してもらえるような殺陣になっていると思います。

工藤:お客さんの時間とお金を頂いているわけですから、見に来て良かったというのを感じて欲しいので、伊達さん自身が演出の部分でそこは出してくださっていますが、みんなで意識して作っていければと思っています。

弘山:『旋風峠の仇討ち』のときは、仇討ちなのに出演者が誰も死なないんですよ。「誰も死なないのが清々しい」というお客さんの評価があったのですが、今回はものすごく出演者が死ぬんです。だけど、それも清々しいんですよ。それが劇団SHOW特急さんの特徴だと思うんですね。死んでも死ななくても、見たあとにお客さんが清々しい気持ちで帰れる作品だということ。今回もそういう作品を伊達さんは目指していると思うので、それが見どころの一つだと思います。

先ほど殺陣の話がありましたけれど、時代劇全盛期や黒澤明監督の映画で表現されていたのは、血と血の争い、生死を争う土の匂いがするような殺陣です。今はダンスのような美しい殺陣をやる人もいますが、どちらがこの作品に合うのかといったら、やはり土の匂いがするような殺陣なんですよ。それをお客さんは求めていると思いますし、出演者の皆さんはやってくれる方々なのでそれを期待していただければなと思います。

劇団SHOW特急をこれからどういう方向に導いていきたいと思いますか?

 伊達:皆目検討もつきません(笑)。でもやりたいようにやればいいのではないかと思います。根底にあるのは、お客さんに共感してもらいたいということ。背伸びすると大変なので、無理をしないで、ちょっとずつ成長させてもらえればいいかなと思います。世界を目指していきますとか、そんな大きいことは言いません。地に足をつけて、お客さんが見に来てちょっとした旅行に来たような気持ちになれるような、プチ贅沢みたいなものをお渡しできるような団体になっていきたい。今は演劇離れということが結構あると思うので、舞台をもっと身近に感じてもらえるような作品作りができる団体になっていけばいいなと思いますね。

取材・文・撮影:咲田真菜

 

第30回池袋演劇祭 大賞 受賞公演
劇団SHOW特急 第12回公演『真田十勇伝-令和元年-』

■公演日程:2019年9月4日(水)~8日(日)
■会場:あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)
東京メトロ有楽町線「東池袋駅」6・7番出口より直結
JR他「池袋駅」東口よりグリーン大通りを直進、徒歩10分
都電荒川線「東池袋四丁目」より徒歩2分

■チケット情報:
○前売り指定席(S席)¥6,000(S席のみ前売取り扱い/枚数限定)
○前売自由席(A席) ¥4,000 (当日券+500円)
○豊島区民割引(A席のみ)  ¥3,000(在住・在勤・在学/としまチケットセンターのみ前売取り扱い、要証明書提示/枚数限定)
※未就学児童の入場はお断りさせて頂きます。予めご了承ください。(金曜マチネ回、土曜マチネ回のみ託児サービス有)

■チケット予約:https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=53024&
※豊島区民割引に関しては「としまチケットセンター」へお問い合わせ下さいませ。

■脚本・演出:伊達謙一
■CAST:
木村 敦(DHプロダクション)
金 すんら
中山 貴裕(ゲキバカ)
谷沢 龍馬(スタッフ・ワン)
髙木 薫(オフィス・エイツー)
石橋 寛仁(スカンクランチャー)
大熊 祐我
渡辺 竜尚

<赤文銭>
今川 宇宙(サンミュージックプロダクション)
仲本 詩菜
加藤 雄太(日本橋龍馬会)
松本 さえ子
工藤 そのか(劇団SHOW特急)
本間 健大(office ENDLESS)
寺島 八雲
西田 海斗
伊達 謙一(劇団SHOW特急)
黒田 勇樹
満尾 麻花(劇団ステージウイング)
小川 諒子
神山 一郎(演技集団オムニプレゼンス)
弘山 和華乃

<青文銭>

西園 みすず(サンミュージックプロダクション)
夕  瑛
坂井芳伸(遊兎宴)
櫻井 結花
相澤 香純
佐竹 正充(リアライズエンターテイメント)
栁沢 成人
石渡 弘徳
網切 幸大(ニコラシカ)
小田 洋輔(劇団わ)
菅野 奈都美(エヴォルヴ社)
鹿島田 織恵(ピヨピヨXXX)
北川 雅一(cinerama)
藤本 しの(芝居三昧)

<dancer&ensemble>
KAORI
三田村 真帆
濱中 彩恵
菊池 明香
SATSUKI
松本 真里奈
小山 千尋
谷田 藍
藤 哲平(劇団SHOW特急)
西畑 証宣
武島 悠介

9月4日 (水)
19:00〜 (赤)

9月5日 (木)
19:00〜 (青)

9月6日 (金)
14:00〜 (赤) ★
19:00〜 (青)

9月7日 (土)
14:00〜 (青)★
19:00〜 (赤)

9月8日(日)
13:00〜 (赤)
17:00~ (青)

※一部ダブルキャストの全8回公演
(ダンサー、殺陣キャストに関しては全公演出演)
※★回は、託児サービス有り。要事前申し込み。
※一部指定席(S席)・自由席(A席・豊島区民割引)となります。
※受付開始・ホワイエ開場は開演の60分前、客席開場は30分前となります。
※上演時間は約二時間前後(途中休憩なし)を予定しております。
※開演時間までに御来場頂けない場合、当日キャンセルとさせて頂く場合がございます。時間には余裕を持って御来場下さい。

■企画・制作:劇団SHOW特急
■主催:劇団SHOW特急/あうるすぽっと(公益財団法人としま未来文化財団)/豊島区
■助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会

 

 

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