2024年4月20日(土)~5月7日(火)新国立劇場 中劇場において、丸美屋食品ミュージカル『アニー』が上演される。
日本テレビが上演を始めて今年で39年目となる本作。大恐慌のアメリカを舞台に、孤児院で暮らすアニーが逆境にくじけず明るい未来を信じてたくましく生きる様は、さまざまな世代に共感を与えている。1986年に日本版の上演がスタートしてから東京と全国各地で上演を続け、およそ191万人が来場し、劇中にアニーが歌う「TOMORROW」は誰もが知る名曲だ。
このたび2月6日(火)東京都内において、丸美屋食品ミュージカル『アニー』の製作発表会見が開催された。歌、ダンス、演技、表現などの厳しいオーディションを経て選ばれた2人のアニー、岡田悠李(チーム・バケツ)と絢田祐生(チーム・モップ)、そして大人キャストとして、ウォーバックス役の藤本隆宏、ハニガン役の須藤理彩、グレース役の笠松はる、ルースター役の財木琢磨、リリー役の天翔愛、そして7回目の演出となる山田和也が登壇。それぞれ『アニー』への意気込みを語った製作発表会見の模様を紹介しよう。
大人キャストに続き、名前を呼ばれて元気にアニー役の岡田と絢田が登場して、会見がスタート。まずは、本製作発表で解禁されたメインビジュアルがスクリーンに映し出され、岡田と絢田は大喜び! 出来上がったメインビジュアルを見て感想を聞かれた岡田は「写真を撮っていたときは白いバックグラウンドで、どういう画面になるのかわからなかったんですけど、 今見てすごい豪華なバックグラウンドと、大人のキャストさんの写真も入ってたので、すっごくびっくりしたし、すっごく嬉しいです!」とコメント。
絢田は「今、綺麗で可愛くて、びっくりしすぎて泣きそうなんですけど、最近あんまりサンディ(劇中でアニーの相棒となる犬)がいなかったんですよ。でも今年はサンディがいて、わんちゃんと一緒に写れたなって思ってすごく嬉しいです」と興奮気味にコメント。数年ぶりにメインビジュアルに復活したサンディに喜びを隠し切れなかった。
藤本は「我々も完成版を見たのは初めて。すごく楽しそうなポスターで、アニーが初めてウォーバックス邸に来た時のような笑顔に見えるし、グリーンと赤のコンストラストが、クリスマスのイメージですごく素敵だなと思います」と語った。
アニーをいじめるハニガンを演じる須藤だが「みんな笑顔で、私も仲間に入れてもらえるんじゃないかなって感じがしてしまいそうな…」と会場を笑わせ、一人だけ不機嫌そうな表情をしているルースターを演じる財木が「一人だけ何かをやらかしそうな顔をしていますね…」とコメントした。
メインビジュアル初公開の興奮も冷めやらぬ中、登壇者ひとり一人に質問がなされた。以下、やり取りを紹介する。
ーー藤本さんは、今年が2年連続6度目のご出演となります。「ミスターウォーバックス」と言われていますが、役への思いと意気込みをお聞かせください。
藤本:とにかく楽しみにしています。元気なアニーの2人とはクリスマスコンサートで会っているんですけど、その時は泣きそうな顔をしていてすごく緊張していました。でも今日はすごく元気だね! 2人は舞台のキャリアがあるがゆえに、その怖さを知っていると思うので、交流しながら芝居ができるかなと思っています。(アニー役の2人に向かって)どうぞよろしくお願いします。
岡田・絢田:よろしくお願いします!!
藤本:それから須藤さんは去年ドラマで共演していまして、須藤さんがハニガン役をやると聞いて、ぴったりだなと思いました。なぜかというと共演したドラマで須藤さんは犯罪の濡れ衣を着せられた役を演じられたんです。
須藤:そうなんですよ。藤本さんが冤罪の濡れ衣を私にかけて、私は獄中死するという悲惨な役でしたね。(会場で笑いが起きる)
藤本:須藤さんが演じる役の人が住んでいるアパートにマスコミの方々が来て写真を撮り「どうしてそういうことをやったんですか!」といわれるシーンがあって、その時に須藤さんは炭酸が入ったペットボトルを振って記者の方にぶっかけたんです。それを見てハニガンがぴったりだなと思いました。
須藤:1年後にこんなご縁があるとは…(深々とお辞儀をして)よろしくお願いいたします。
藤本:ミュージカルが大好きだとおっしゃっているので、どんなハニガンが見られるのか楽しみにしています。
そして天翔さんですが、実は弟さんの藤岡真威人くんとは、先日まで舞台で共演していまして「姉がミュージカル大好きなんですよ。アニーが大好きなんですよ」って話を聞いていまして。楽屋に来ていただいた時もその話をして、まさか共演するとは思わなくて…。
天翔:私は去年『アニー』を劇場で観客として見させていただいたので、この作品に参加できることがとても嬉しくて楽しみです。
藤本:新しいキャスト2人とどのような化学反応が起きるかということ、そして笠松さんは劇団出身でミュージカル畑の方と思いがちですけれども、芝居が素晴らしいんです。新しい芝居をどう作り上げていくことができるか、そしてルースターの財木くんとはあまり絡みはないですけれども、楽しく芝居ができるんじゃないかと思っておりますので、(演出の山田に向けて)山田さんどうぞよろしくお願いします。素敵なミュージカルになるように精一杯頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします。
ーー須藤さんは、舞台で初となる悪役を演じられますが、ハニガンに対する思い、意気込みを教えてください。
須藤:今、藤本さんが全部説明してくださったような気がしますが(笑)、私は去年初めて本格的なミュージカルに挑戦しまして、今回2回目でこのように多くの方が知っている名作『アニー』に出させていただけるなんて、まだ夢を見ているような感覚ですし身の引き締まる思いです。
最初、演出の山田先生とお話しさせていただいたときに、とにかくハニガン先生はアニーを含め、子どもたちにとってとても怖い存在であってほしいということを力強く言われました。私は優しいお母さんみたいな役を多く演じてきましたが、普段家にいるときはハニガンですよという話をさせていただきました(笑)。これまで数多くの名女優さんがハニガン役をやっていらして、厳しく怖いだけじゃない、強さの裏に弱さがあったり、色気があったり、可愛らしい部分があったり、いろんな表情が見られる女性でもあると思うので、そこは表現豊かに一生懸命頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします
ーーウォーバックスの秘書、グレイス役の笠松はるさんは、4年目となるグレイス役ですが、今年の思いと意気込みをお聞かせください。
笠松:4度目ということで、本当に『アニー』という作品は私の人生においてとても大切なものになっているなと感じています。グレースは、登場した時は、ちょっと真面目で固い印象のある女性なんですけども、物語が進んでいくにつれてアニーと触れ合って、心がどんどんほどけていき、いい意味で型から少しずつはみ出していきます。人間味に余白が出てくるところが、グレースのやりがいであって魅力なので、そこを大切に今年も稽古をしたいなと思っています。 またグレースの初めての登場シーンは、アニーとハニガンさんとの3人のシーンになりますので、今年初めて共演させていただきますお三方からたくさんのものをいただいて、またグレースのスタート地点が大きく変わってくるのではないかなと、私自身もとても楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。
ーー続いてハニガンの弟、ルースター役の財木琢磨さんは、前回からの続投3年目を迎えるルースター役として、表現したいこと、そして意気込みをお答えください。
財木:3年目ということなんですけれども、やはり緊張します。とにかく新しくまたルースターを作り上げる気持ちで、1年目という気持ちでフレッシュに頑張って、子どもたちに負けないように頑張ります! よろしくお願いします。
ーールースターの恋人、リリー役の天翔愛さんは、初めて『アニー』への参加となります。どのように演じていきたいかなど、意気込みをお聞かせください。
天翔:世界中で愛されている名作の『アニー』という作品に、今回出演させていただけること、本当に嬉しく光栄に感じております。このリリーという役は、アニーに少し企みを持つ役で、私にとっては今まで演じたことのない役なんです。最初、山田先生とお話しさせていただいたときに、アニーが生きる時代を必死に生き抜いた強い女性でもあると言われました。そうした部分を私が初めてアニーという作品を見たときに感じた感動をそのままお客さんにお届けできるように、 私らしい新生リリーでいけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
ーーそれではアニーのお二人にお聞きします。まずはそれぞれ自己紹介をしていただきます。
岡田:チームバケツ、アニー役、岡田悠李です。よろしくお願いします。
絢田:チームモップ、アニー役、絢田祐生です。よろしくお願いします。
ーー元気いっぱいのご挨拶で元気をいただきました。 まずアニー役が決まったとき、 どんな気持ちだったかをお聞かせください。
岡田:最初名前を呼ばれたときは、まさか自分が選ばれるとは思っていなくて、呼ばれた瞬間は、ただただすごく嬉しかったし、びっくりしました。最初は、自分が本当にアニーをやると感じてはいなかったんですけれども、だんだん周りの方々がニュースを見たりSNSで合格発表を見て応援してくださったりしたので、本当にアニーになったんだなって思いました。初めて写真を撮るとき、今まで家で着ていたコスプレのかつらと衣装じゃなくて、本物をかぶれたり着れたりしたのですごく嬉しかったです。
ーー今日も本物を着て、とても嬉しい気持ちですね。続いて絢田さんどんな気持ちでしたか?
絢田:とても嬉しかったです。3回私はオーディションを受けているのですが、2回目は最終で落ちてしまって悲しくて、近くの公園で友達と励まし合ってなんとか泣き止んで帰りました。今年も最後の最後まで呼ばれなかったので、また公園コースかと思ったんです。でも呼ばれたので、まさかのハッピーコースだったので、とても嬉しかったです。
ーーハッピーコースでよかったですね。 続いてもう一つ質問をします。お二人はどんなアニーを目指していますか?
岡田:どんなアニーになるか真剣に考えている途中なんですが、なかなかパーフェクトな答えにたどり着けなくて…。でも公演が始まる前には、私らしくポジティブで明るく、自分に合っているアニーを演じられるように頑張ります。
絢田:アニーを見てくれたお客様の心も体もハッピーに包まれて、そのお客様のお友達やご家族の方もハッピーに包まれて、ハッピーが広がっていくようなアニーになりたいです。
ーーありがとうございます。最後に演出家の山田さんに伺います。来年40周年を前に、今年の『アニー』公演の抱負をお願いします。
山田:ご承知のように『アニー』は1986年から脈々と上演されていて、僕が演出を担当したのは2017年からですが、その前にすでに30年を超える歴史を持った作品です。来年40周年ですが、その間、毎年のようにこの作品を待っていてくださったお客様がいらっしゃいます。お客様がいらっしゃったからこそ、この作品が続いていると思っているので、まずお客様に感謝し、今年の『アニー』を楽しみにしてくださっているお客様に、最高の『アニー』をお届けしたいと思っています。ここにいる才能あるあふれる皆さんの力で最高の『アニー』を今年も用意したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
このあと質疑応答の時間が設けられ、演出を手掛ける山田に対して、今年のアニーの2人に期待することは何かと質問が寄せられた。山田は「アニーは決してお行儀のいい子ではありません。お父さんとお母さんに会いたい一心で、抜け目なく生き抜いていきます。お行儀がよくなりすぎないアニーでいてくれたらいいなと思います。(大人キャストに向けて)みんなもお行儀よくなりすぎちゃダメだよ」と答えた。
さらにバレンタインデーにちなみ、『アニー』の舞台となるアメリカでは、男性から女性にチョコレートを渡す習慣があるということで、藤本、財木、山田に対し『アニー』に出演している女性のキャラクターの中で、誰にチョコレートをあげたいか質問がされた。藤本は「なんと答えたらいいか分かりませんけど…(きっぱりと)グレースさんです!」、財木は「僕ですか…どうしよう…。やはり彼女のリリーに渡したいけど、姉のハニガンに怒られるといけないので、姉にも渡します。それが正解かな…と思ったんです」、山田は「もちろんアニーの2人です。間違いありません!」とそれぞれから楽しい答えが聞けた。
さらにアニーの2人に対して、アニーと似ているところがあるかという質問に対して、岡田は「辛かったり悲しくても、生きる強い力が2人ともあると思います」と答え、絢田は「私はポジティブなところがアニーと似ていると思います。なぜかというと友達にも『祐生ちゃんってポジティブだよね』って言われるし、自分でもいつでもポジティブにいきたいって思うからです。だいたい悲しいことがあっても、一晩寝るか、おいしいものを食べるかするとすぐ元気になれます!」と元気いっぱいに答えた。
最後に大人キャスト5名に向けて、アニーはとても元気な子どもだが、自身はどのような子どもだったかという質問が寄せられた。天翔は「勉強よりも、学校に友達に会いに行くことがすごく楽しくて、修学旅行や学校行事が好きな元気な子どもでした」、笠松は「食い意地の張った子どもだったんです。家に食パンが一斤あったんですけど、真ん中の白いところだけを食べたくて…。ちょっとずつ真ん中をこっそり食べていったらすごいトンネルができちゃって、これは怒られると思い、パンをひっくり返して裏側にして小棚に置いておいたら、食べようとした父が『うわーっ!』と言って、結局叱られました。パンの白いところが好きな食い意地の張った子どもでした」と楽しいエピソードを披露した。
藤本は「とてもシャイな子どもで、人前に出るのがダメでした。でもそれを直さなきゃと思って、体育委員長をやって朝礼の時に体操したりしました。今も人前に出るのは苦手で、なんでこの仕事をやっているんだと思うんですけど…。でも体育委員長をやったとき『気持ち良かった』と思った部分もあったので、それが今に影響しているのかな」と答えた。
須藤は「物心つく前からすごく足が速くて、とてもおてんばで活発な子どもだったんですけれども、一方で藤本さんと同じで、私も実は人見知りがあったりしました。 覚えてるのは七五三の時に、着飾って近所の方に『わー!可愛いね』って言われた瞬間に、見られてる恥ずかしさで泣き出してしまったことがありました。私もよくこんな所にいられるなっていうくらいの子どもでした」と笑顔で答えた。
財木は「僕はちょうどアニーぐらいの年齢の時はドッジボールしかしてなかったですね。骨折をしたのに気づかず、1週間ぐらいドッジボールやってたぐらいです。骨折したので毎日病院に行かないといけなかったんですが、ドッジボールをするので砂ぼこりがついたギプスをして怒られていましたね」とやんちゃな子ども時代を思わせるエピソードを語った。
ここで藤本が「山田さんの子ども時代の話も聞きたいですね。山田さんのニックネームはタラちゃんなんですけど、なんでタラちゃんなんですか?」と質問をふると、山田は「大学を卒業して今の会社に入った時、当時の上司だった人に『タラちゃんそっくりだな』と言われ、このニックネームは定着しないと思ったのに、定着したわけです。そして子どもの頃は引っ込み思案でした」と語り、笑わせた。
丸美屋食品ミュージカル『アニー』は、2024年4月20日(土)~5月7日(火)新国立劇場 中劇場にて上演。その後、夏のツアー公演も予定している。チケットは2月10日(土)10時から販売開始予定だ。
取材・文・撮影:咲田真菜
丸美屋食品ミュージカル『アニー』
日程:2024年4月20日(土)~5月7日(火)
会場:新国立劇場 中劇場
出演:岡田悠李(オカダ ユリ)、絢田祐生(アヤタ ユウキ)、藤本隆宏、須藤理彩、笠松はる、財木琢磨、天翔愛 他
演出:山田和也
夏のツアー公演:呉公演 大阪公演 仙台公演 名古屋公演
チケット一般発売:2024年2月10日(土)
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/annie/
東京公演主催/製作:日本テレビ放送網 協賛:丸美屋食品工業