2024年10月11日(金)よりPrime Videoにて、韓国ドラマ『愛のあとにくるもの』が見放題独占配信される。本作は、辻仁成とコン・ジヨンによる小説を原作に、韓国でも人気を誇る坂口健太郎と韓国ドラマ『赤い袖先』などで活躍するイ・セヨンをW主演に迎えて描く純愛ラブストーリーだ。
このたび配信を記念して9月24日(火)、ヒロインのチェ・ホンを演じたイ・セヨンと監督を務めたムン・ヒョンソン監督が来日し、潤吾役の坂口とともに来日記者発表イベントが開催された。日本と韓国で行われたロケの想い出や、切ないラブストーリーを描いた本作のテーマにちなんで「愛」に対する考え方を語る貴重な機会となった。
シックな黒いスーツに身を包んだ潤吾役の坂口、秋らしいブラウンのワンピースを身にまとったヒロインのチェ・ホン役のイ・セヨン、そして笑顔が魅力的なムン・ヒョンソン監督が登場した。まずはフォトセッションからスタート。続けて登壇者が順番に挨拶をし、イ・セヨンは少しはにかみながら日本語で「イ・セヨンです。たくさん緊張しています(笑)。また日本に来られてうれしいです」と語って会場を沸かせた。
本作で韓国ドラマに初出演となった坂口は「初めて韓国のチームと撮影したので、最初はすこし不安な気持ちもあったんです。言葉もそうですが、今まで培ってきた経験みたいなものが通用しないんじゃないかっていう不安があったんですけど、監督や彼女(イ・セヨン)と一つのシーンを丁寧に作り上げていく時間をもらえたので、台本という道しるべがあったら文化や言葉の差っていうのはほとんど関係ないんだと思いました。日本の方にもたくさん見てほしいと思っていたので、日本での配信が決まったと聞いた時は本当に嬉しかったです」と韓国ドラマ出演への想いを語った。
現在の冬の韓国と5年前の春の日本を舞台にした本作は、日本と韓国それぞれでロケ撮影を敢行。劇中ではホンと潤吾の思い出の場所である井の頭公園、2人がデートを重ねた吉祥寺の街など、あたたかな春の日本で過ごした幸せな2人の姿が映し出される。
撮影での想い出を問われると、イ・セヨンは「一番記憶に残っているのは井の頭公園です。去年の冬にムン監督と一緒に初めて井の頭公園に行ったんです。その時に本当に美しくて広くて自然な印象がありました。地味ながら華やかというか、そういう景観を目の当たりにして公園というのはこんなに美しいのかと思いました。またこの公園に来たいな、ここで撮影できたらなと思っていたのですが、実際に撮影場所として行ったときもやはり美しくて、いちばん記憶に残っています」と笑顔で語った。
坂口は「セヨンが日本のロケ地についておっしゃったので、僕は韓国のロケ地について…」と前置きをし、「韓国のヨルトン公園でクランクインしたんです。この作品の中では2人の間には5年という時間が開いているので、再会する時ってどうしても関係が冷えたところから始まるんです。5年後、2人の仲がすこし冷えてしまっている中での冬の寒いヨルトン公園でのシーンだったので、2人の関係にすごくあっていて…。空気はとっても澄んでいたけど、木々が枯れていたり、どこか悲しい印象を与えてくれる場所だったので、印象に残っています」と、ロケ地の雰囲気がよく伝わる言葉で語った。
W主演を務めた坂口とイ・セヨンは、文化や言葉の壁はありつつも撮影現場では和気あいあいとした雰囲気だったという。それは今回の会見でも随所で分かり、イ・セヨンが「健太郎さんは日本語が本当に上手です」と韓国語というところを言い間違えてしまい照れていると、坂口は「あなたのほうが会うたびにどんどん日本語が上達しているしアップデートしている。現場では見せない苦労をたくさんされているだろうけど、現場にはポジティブな風を持ち込んでくれたのですごく助かった」と優しくフォローした。
韓国での撮影中、坂口はその日覚えた韓国語を現場で披露することが日課になっていたという。「毎日撮影が終わると、トランシーバーで言っていました。いつの間にか定例化していて、途中からは撮影の最後のカットには助監督さんがトランシーバーを持って待機してくれていたんです(笑)」と、撮影中の微笑ましいコミュニケーションについて明かした。
そんな坂口についてムン・ヒョンソン監督は「キャスティングをする前に悩んだけれど、悩んでいた時間は長くなくて、満場一致で『愛のあとにくるもの』の主役は坂口健太郎さんにお願いするべきだと大原則が出来上がりました。それ以来本格的な準備をひとつひとつ進めることになりました。これもすべて坂口さんのおかげです。心から感謝していますし、私にとっては恩人です」と絶賛した。
監督から称賛の言葉を聞き、坂口は照れながらも「言葉が堪能ではない僕を潤吾役に選んでくれて、作品を作っていくのに少しずつ加わらせてもらいました。彼女も現場でとっても明るい雰囲気を持ってくださる方だったので、その中に僕がポンと入るだけでよかったんです。セヨンとムン監督と仕事ができて、僕のほうこそ『ありがとうございます』と思いますし、恩人だという気持ちがあります」と感謝の言葉を返した。
ドラマのテーマにちなんで「変わらない愛があると信じますか?」という質問がされると、坂口は少し考えて「終わりはないと思うんですけど、愛は変化していくものだなと思います。出会ったころの愛の熱量や色や形と、時間が経って交わしている愛の形って、目に見えないけど色も質量も違うと思うんです」と語った。
一方でイ・セヨンは「変わらない愛があると信じます!」と断言。その様子がかわいらしく、会場が大いに沸いた。続けて「愛は変わらないと思うけど、人は変わることがあると思います。愛そのものは変わらないと思いますし、運命的な愛もあると信じています」と語った。
ムン・ヒョンソン監督は「その問いについては皆それぞれ違う考えを持っていると思うんです。個人的には変わらない愛も愛だし、変わるものも愛だと思います。作品の中では、簡単に愛を定義したりなにかを否定したりしないようにしようと思っていました。沢山の愛を見せたいと思いましたし、愛にまつわる様々な感情をあちこちに溶け込ませて演出しました」と語り、幼い頃からラブストーリーを好んで観てきたという監督らしく、本作に込めた思いを明かした。
このあと坂口は好きな韓国語を、イ・セヨンとムン・ヒョンソン監督は好きな日本語をフリップに書いて発表した。
ムン・ヒョンソン監督は【キレイ】と記し「本作では、主人公たちが『キレイ』と言いあうシーンがあるんです。そのシーンを撮っている時、2人を見て文字通り『キレイだな』と自然に思ったんです。作品を観ていただいた方にも私と同じように『キレイだな』という気持ちを共感してほしいです」と明かした。
イ・セヨンの好きな日本語は【アイタイ】だそうで「共演した俳優の皆さんに会いたいと思っていました。『会いたい』の“あい”には挨拶の“あい”にもなりますし、愛の“あい”もなりますよね。いろいろな意味があるのはいいなと思います。(カンナ役の)中村アンさんにも会いたいなと恋しい気持ちがあったので、よく“会いたい”とメッセージも送っています」と語り、はにかんだ。
坂口は「お二人が【キレイ】と【アイタイ】を取り上げたあとにあれなんですけど…」と笑いながら、自転車が通りますを意味する【チャジャンゴチナガムニダ】という韓国語を紹介。「撮影でよく聞いた言葉なんです。最初はどういう意味なんだろうと思ってたんですけど、日本の潤吾の家の近くも自転車が多かったので…(笑)。思いやりのある言葉だなと思います」と取り上げた理由を語った。
最後に日本のファンへ向けて3人からメッセージが贈られた。
ムン・ヒョンソン監督は「本作では、本当にさまざまな感情が美しく描かれています。この秋は『愛のあとにくるもの』を観て感性豊かな時間を過ごしていただけたら嬉しいです」と語った。
イ・セヨンは「日本でもたくさんの方に観ていただきたいです!」と日本語で挨拶をしたあと「この作品を通して、新しいことに挑戦したいという思いが強くなりました。もちろん日本語での演技は難しかったところもありましたが、とても幸せでした。日本で2カ月撮影ができて良かったです。大勢の人に作品を観ていただき、共感してもらえると嬉しいです」とメッセージを贈った。
坂口は「日本と韓国のそれぞれの強い想いとエネルギーがあわさって、みなさんにお届けできた作品だと思います。日本の四季や韓国の冬の美しさもあるんですが、4人の登場人物の中でいろんな愛が動いているので、その瞬間を皆さんに見ていただけたらと思っています」と呼びかけ、イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。
取材・文・撮影:咲田真菜
『愛のあとにくるもの』
2024年10月11日(金)よりPrime Videoにて見放題独占配信開始(全6話)
出演:坂口健太郎、イ・セヨン ほか
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