『ヴィンチェンツォ』のソン・ジュンギが出演 映画『このろくでもない世界で』あらすじ・感想

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2024年7月26日(金)より、TOHOシネマズシャンテほか全国公開で公開されている、映画『このろくでもない世界で』。本作は、貧困とDVにあえぐ少年・ヨンギュと裏社会に生きる孤独な男・チゴンが出会う韓国ノワール作品だ。

ヨンギュを演じるのは、この役を勝ち取るまでに3度のオーディションを経た、映画初主演のホン・サビン。そしてチゴン役は、ドラマヴィンチェンツォ』で鮮やかなアクションを見せて話題となったソン・ジュンギが務め、監督は本作が長編デビュー作となるキム・ チャンフンが手掛ける。

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あらすじ
継父のDVに怯える18歳のヨンギュ(ホン・サビン)は、義理の妹ハヤン(キム・ヒョンソ)を守るために暴力沙汰を起こして高校を停学、その上、示談金を求められる。生き抜く術のないヨンギュは、地元の犯罪組織のリーダー、チゴン(ソン・ジュンギ)の門戸を叩くほかなかった。仕事という名の“盗み”を働き、徐々に憧れのチゴンに認められていくが、ある日、組織の非情な掟に背いてしまい……。
このろくでもない世界で、ほんの一瞬でも彼らに陽が注ぐことはあるのだろうか?

目次

映画『このろくでもない世界で』登場人物

ヨンギュ:ホン・サビン

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チゴン(地元の犯罪組織のリーダー):ソン・ジュンギ

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ハヤン(ヨンギュの義妹)キム・ヒョンソ

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スンム(チゴンの手下):チョン・ジェグァン

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モギョン(ヨンギュの母):パク・ボギョン

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中華料理店の主人:チョン・マンシク

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映画『このろくでもない世界で』感想

物語は、高校生のヨンギュが同級生を石で殴りつけ、大けがを負わせるシーンからスタート。生きることに絶望している目つきから、ヨンギュが置かれている過酷な環境が容易に想像できる。学校に呼び出された実母は生活に疲れ切っており、ヨンギュが義理の妹のハヤンのためにやったのだと必死に訴えても聞く耳を持たない。家に帰れば、働かずに酒を飲んでいる義父に激しく殴られる。誰も頼ることができないヨンギュは、中華料理店のアルバイトをしながらわずかなバイト代をためて孤独に耐えている。

ある日、ヨンギュが中華料理店の店主に示談金を工面するためにバイト代の前借りを頼んでいるところを、地元の犯罪組織のリーダー・チゴンが目にした。「お前、貧乏なのか?」とヨンギュに問いかけるチゴンだが、その後示談金を手下のスンムに託してヨンギュを助ける。

韓国社会の格差を描いた映画やドラマはたくさんあるが、本作は一度貧困生活に身を置いたものは簡単に這い上がれないこと、そして這い上がるための唯一の手段は何も考えずに犯罪に手を染めることが描かれる。「お前、貧乏なのか?」とチゴンがヨンギュにいうせりふはあまりにもストレートなのだが、チゴンがヨンギュの姿をかつての自分に重ねたため、思わず発した言葉だった。

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ヨンギュを演じるホン・サビンは、憂いのある目つきがなんとも雰囲気がある。映画初主演とは思えない熱演で、観ている側はぐいぐい引き込まれるが、短気でその場しのぎの短絡的な思考で行動するため、次から次へと問題を起こしヒヤヒヤさせられどおしだ。正義感はあるのだが、貧困による絶望感が彼を間違った方向にいつも向かわせてしまう。

チゴンを演じるソン・ジュンギは、さすがの存在感を発揮。色白で貴公子然とした風貌の彼だが、今回は犯罪組織のリーダーらしくワイルドな雰囲気で魅了する。韓国ドラマや映画でおなじみとなったが、スラッとした体型からは想像できない鍛え上げられたソン・ジュンギの肉体も披露される。「俺のところに来るな」と最初はヨンギュを拒絶するチゴンだったが、一方で簡単に貧困からは脱出できないと知っているチゴンは、助けを乞うヨンギュを仲間に入れる。

お互いに心を通わせるヨンギュとチゴンだが、短絡的なヨンギュは予想通り問題を起こす。中途半端に正義感が捨てられないヨンギュは、最終的にチゴンと対立して悲劇的な展開となっていく。

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ホン・サビンソン・ジュンギに負けないぐらい本作で存在感を放っているのが、ハヤン役を演じたキム・ヒョンソだ。本作で2024年百想芸術大賞・新人演技賞に輝いた彼女は、BIBIという活動名で広く知られるシンガーで、熾烈なオーディションを勝ち抜きハヤン役に抜擢された。ドラマ『最悪の悪』で貫録ある演技を見せつけられ驚いたものだが、今作でも彼女の射るような視線にくぎ付けになった。

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最後、ヨンギュとハヤンが直面した現実はつらいものだったが、憎まれ口を叩き合いながらもお互いを思いやっている2人。ろくでもない世界から逃げようとする2人の行く先に幸あれと願わずにいられない。

映画『このろくでもない世界で』概要

2024年7月26日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

監督・脚本:キム・チャンフン(初長編監督作品)
出演:ホン・サビン、ソン・ジュンギ、キム・ヒョンソ(BIBI)
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ

公式HP:happinet-phantom.com/hopeless
X:@hopeless_movie

2023年/韓国/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:화란/英題:HOPELESS/123分/字幕翻訳:本田恵子/R15+
※原題:화란 漢字表記:和蘭(読み:ファラン/意味:オランダ)

映画祭出品&賞情報

第76回 カンヌ国際映画祭 「ある視点」部門正式出品
第28回 釜山国際映画祭  「Korean Cinema Today – Special Premiere」
第60回 百想芸術大賞 映画部門 
受賞 <新人演技賞(女性)>:キム・ヒョンソ
ノミネート<助演賞(男性)>:ソン・ジュンギ
<新人演技賞(男性)>:ホン・サビン
<新人監督賞>:キム・チャンフン>

第44回 青龍映画賞 受賞 <人気スター賞>:ソン・ジュンギ <新人男優賞>:ホン・サビン>
第22回 ディレクターズ・カット・アワーズ 受賞 <新人男優賞>:ホン・サビン

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この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

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