韓国映画『ターゲット―出品者は殺人鬼―』レビュー シン・ヘソンを執拗に攻撃する殺人鬼 衝撃の結末は?

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2024年6月21日(金)、韓国映画『ターゲット―出品者は殺人鬼―』が公開された。

『ターゲットー出品者は殺人鬼ー』は、身近になったインターネットでの中古品の売買というごく現実的な題材に、映画的な想像描写を加えてスリラーに仕立てた作品だ。近年、社会問題となっている中古品取引詐欺に焦点を当て、パク・ヒゴン監督が初のスリラー作品に挑む。

STORY
スマホで買っただけなのに…
次の取引(ターゲット)相手はあなたかも!?
誰しもが利用するフリマサービスに潜む闇…
些細なやり取りから巻き起こるサスペンススリラー

私は今日、殺人鬼から物を買ったー
スヒョン(シン・ヘソン)は、新居に引っ越しフリマサービスで中古の洗濯機を買ったが、後日壊れた洗濯機が届き、詐欺にあったことに気づく。警察に相談するが、捜査までは時間がかかると告げられたスヒョンは自ら犯人に連絡することを思いつく。売り手のアカウントを再び見つけ出し、スヒョンは返金を要求するが、相手にされず、感情的になったスヒョンは相手に怒りに満ちたメッセージを送る。しかしそれ以来、スヒョンの身に恐ろしいことが起こり始める。スヒョンは再び警察に相談し、捜査が始まり販売者の家を訪れるがそこには、思いもよらない事態が待ち受けていた………。

フリマサービスでの中古品購入がきっかけで犯人に狙われるスヒョン役を演じるのは、『生まれ変わってもよろしく』のシン・ヘソン、スヒョンが詐欺被害を相談するサイバー犯罪捜査部のチュ刑事を演じるのは、『離婚弁護士新・ソンハン』のキム・ソンギュン、サイバー犯罪捜査部の若手刑事で、チュ刑事の部下、ナ刑事を『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のカン・テオ、スヒョンの職場の先輩で良き相談相手のオ・ダルジャを映画『毒戦 BELIEVER』のイ・ジュヨン、スヒョンの職場の上司を『涙の女王』のイム・チョルスが演じる。

目次

『ターゲットー出品者は殺人鬼ー』感想(ネタバレあり)

シン・ヘソンの高い演技力に魅せられファンになり、そして2024年3月に除隊したばかりのカン・テオが出演するということで、楽しみにしていた本作。現代なら誰にでも起こり得る背筋が凍るような内容だった。それもそのはず、パク・ヒゴン監督は本作を製作するにあたり、現役の警察官や刑事から話を聞き、犯人逮捕のプロセスやその過程で直面する課題について学んだそうで、描かれている内容が非常にリアルだったからだ。

内装会社でチームリーダーとして働くスヒョン(シン・ヘソン)は、建設現場でも職人たちと対等にやり合う少し気の強い女性だ。引っ越したばかりだというのに洗濯機が壊れたりして最近ついていない。職場の先輩、ダルジャ(イ・ジュヨン)の勧めでフリマアプリで中古の洗濯機を購入したが、詐欺にあってしまった。腹が立って仕方がないスヒョンは、出品者のIDを突き止め徹底的に弾劾する。それに逆ギレした出品者が、スヒョンをターゲットにしてありとあらゆる嫌がらせを始める…。

現代ではフリマアプリで中古品を購入するのは、珍しいことではない。誰でも一度は経験したことがあるだろう。ほとんどの取引は問題なく行われるが、中にはなかなか商品を送ってくれなかったり、購入代金を振り込んでくれなかったり、嫌な目にあった人もいるかもしれない。本作の主人公であるスヒョンは、まさしくそういう目にあったわけだが、だまって引っ込むような性格ではないところが災いしてしまった。

スヒョン役のシン・ヘソン

詐欺を働く輩を野放しにできない!!という正義感から「この人は詐欺をしているから、絶対に買わないで!」と書き込みをしたことから、スヒョンの生活が一変する。相手とメッセージのやり取りをする中、エキサイトしてケンカとなり、スヒョンは売り言葉に買い言葉で挑発的なことを言ってしまう。相手がIDからスヒョンの名前や住所を特定し、嫌がらせの電話がかかってくるように仕向けたり、頼んでもいないチキンやピザが大量に届けられたり嫌がらせが続く。

スヒョンは電話番号を変更したりして対策を講じるのだが、相手の嫌がらせはエスカレートするばかり。見知らぬ男性が夜中に突然訪ねてきたりして、スヒョンはノイローゼ寸前になる。

ヒロインに対して畳みかけるように嫌がらせをしていく相手は、なかなか手ごわい。フリマアプリを通じて取引をした男子大学生を殺害し、その人物のモノを次々と出品して稼ぐ手法と取っていたのだ。何やらただ事ではないことに気付いたスヒョンは警察に相談するが、「受け付けた順番に調査するので…」と答えるチュ刑事(キム・ソンギュン)とナ刑事(カン・テオ)にイライラするばかりだ。

(左から ナ刑事役のカン・テオ、チュ刑事役のキム・ソンギュン)

次第にスヒョンは孤立していくので、登場人物すべてが黒幕なのではないかと疑ってしまうよう話の流れになっている。しかし物語の後半で、殺害された男子大学生の遺体が発見されたことをきっかけに、チュ刑事とナ刑事もこの事件に関わっていくようになる。

姿を現さなかった相手がとうとうスヒョンの目の前に現れ、スヒョンが連れ去られた際にそれを追いかけるナ刑事とチュ刑事のカーチェイスが迫力満点だ。暴走していく3台の車は最終的に大事故を起こし、ナ刑事は亡くなってしまう。「えーー!カン・テオくん、ここでいなくなるの~!」とファンはがっかりするだろう。

さすがのスヒョンもしばらくは抜け殻のようになるのだが、ナ刑事の無念を晴らそうとして、敵をおびき出す作戦をチュ刑事に提案。躊躇するチュ刑事だが、可愛がっていたナ刑事の死に怒り心頭だったため、スヒョンの提案を受け入れる。敵が姿を現し、直接対決となったのだがその結末は唖然とするものだった…。

なんとも恐ろしい話だったが、どんな役も自在にこなすシン・ヘソンの高い演技力が本作でも際立った。怒りに打ち震えるところや恐怖におびえるときの表情はさすがだ。出演シーンは短いものの、カン・テオは初の刑事役を魅力的にかつ持ち前の爽やかさで魅せた。そしてチュ刑事を演じたキム・ソンギュンは、激しいアクションシーンもこなす活躍ぶりだった。

どうしてこのような結末になったのか…と賛否両論ありそうだが、ぜひ3人の俳優たちの熱演を堪能してほしい。

文・咲田真菜

公開日直前の2024年6月20日(木)に30歳の誕生日を迎えたカン・テオのビハインド写真も公開されている。

『ターゲットー出品者は殺人鬼ー』

TGT_poster © 2023 PLUS M ENTERTAINMENT, STUDIO PIEONA ALL RIGHTS RESERVED.

監督:パク・ヒゴン
出演:シン・ヘソン、キム・ソンギュン、イム・チョルス、イ・ジュヨン、カン・テオ
2023|韓国|101 分|ビスタ|5.1ch|原題:소울메이트|英題: Don’t Buy the Seller|
字幕翻訳:福留友子|配給:TCエンタテインメント|R15
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この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

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