【韓国映画『別れる決心』】パク・チャヌク監督最新作 2023年2月17日公開 パク・ヘイル&タン・ウェイの静かな愛に吸い込まれる作品

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『オールド・ボーイ』『お嬢さん』のパク・チャヌク監督の最新作『別れる決心』が、2023年2月17日(金)より全国ロードショーされる。

本作は、第75 回 カンヌ国際映画祭 監督賞受賞、第95回アカデミー賞 ® 国際長編部門 韓国代表など、サスペンスロマンスとして公開前から注目されている作品だ。

STORY
岩山の頂から転落した男の事件を追う刑事ヘジュン(パク・ヘイル)は、被害者の妻ソレ(タン・ウェイ)を容疑者として監視する中で、次第に彼女に特別な感情を抱き始める。捜査を続けていく中で少しずつ距離を縮めていくふたり。やがて事件解決の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった……。

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刑事ヘジュンを演じるのは、『グエムル -漢江の怪物-』や『天命の城』などで知られる演技派、パク・ヘイル。本作では捜査に全力を注ぎ、不眠症になってしまうほど厳格な刑事が、容疑者となるひとりの女性との出会いをきっかけに心が乱れ、それまでの自分を崩壊させ深みにハマっていく過程を繊細な演技で描いていく。

そして物語のカギを握る女ソレを演じるのはタン・ウェイ。アン・リー監督の『ラスト、コーション』で全世界の注目を集め、マイケル・マン監督の『ブラックハット』ではクリス・ヘムズワースと共演した彼女が、謎めいた過去を背負いながら、刑事ヘジュンと出会い、どんどん彼に惹かれていくことで変化していく女性の心の内を渾身の演技でみせる。

歳の離れた夫が、岩山から陥落して死亡する事故が起こる。妻のソレは呆然としながらも「いつかはこんな時がくると感じていた」と淡々と話していた。そんな彼女の様子に刑事のヘジュン、部下のスワン(コ・ギョンピョ)は、夫からDVにあっていたソレの犯行ではないかと疑う。しかしソレを見張っているうちに、ヘジュンはソレのミステリアスな部分に惹かれていってしまう。

物語は全体的に静かに流れていく。何が現実で、何が幻なのか、時折分からなくなるようなカメラワークでミステリアスな雰囲気を演出。それがヘジュンとソレの心の動きと、二人が惹かれ合っていく様をうまく表現していた。

ソレ© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED

夫を殺したのでは…と疑いをかけられるソレは、したたかな女性だと感じた。最初に警察に出頭を促された時に「韓国語が上手く話せない」と伝え、ヘジュンらを自分のペースに巻き込んでいこうとする。老人介護の仕事をしている彼女は、担当している老人たちの評判も上々で、あら捜しをしようとするヘジュンや部下のスワンは、肩透かしをくらうことになる。

スワン© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED

ソレを演じるタン・ウェイは、女性である筆者から見ても目が離せない独特の雰囲気を出す俳優だと感じた。複雑な事情を抱え可哀そうな女性なのか、はたまた男性を手玉に取る悪女なのか…。見かけは清純なイメージがあるのに妙に官能的に見えることもある、不思議なキャラクター、ソレを印象深く演じた。

ヘジュン© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED

ヘジュンを演じるパク・ヘイルは、刑事という職業にプライドを持つ真面目な男性だ。週末婚の妻・ジョンアン(イ・ジョンヒョン)ともなんとなく上手くやっている。

ジョンアンとヘジュン© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED

しかしソレと出会うことで、彼女の不思議な魅力に惹かれていき自身のアイデンティティーを崩される。そんな繊細な男心をさすがの演技力で披露した。

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本作に官能的なシーンはあまりない。しかし筆者は、ソレとヘジュンを見ているとなぜかドキドキしてしまった。特にヘジュンがソレを連行していくシーンが印象的だったのだが、手錠でつながれた2人を見ていると、ただのラブシーンを見るよりも色っぽさを感じてしまう。お互いに触れることなく、手錠でつながれているだけの2人の手を見ていると、距離を保とうとしながらもどうにもできない感情の高ぶりをジワジワと感じられるのだ。

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ヘジュンは一度はソレから離れようとするのだが、運命のいたずらか、ソレの策略なのか、2人は再会してしまう。物語の最後、ソレがアッと驚く行動に出るのだが、その行動をどう感じるのかは見る人によって意見は割れることだろう。

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何度も繰り返し見て、主人公たちの心の動きを確かめたくなる本作。物語を彩る音楽も素晴らしく、特にソレが面倒を見ている老人が気に入っている韓国の懐メロが妙に耳に残るので、そこにも注目してほしい。

文・咲田真菜

『別れる決心』

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2023年2月17日(金)より
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

監督:パク・チャヌク
脚本:チョン・ソギョン、パク・チャヌク
出演:パク・ヘイル、タン・ウェイ、イ・ジョンヒョン、コ・ギョンピョ
提供:ハピネットファントム・スタジオ、WOWOW
配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題:헤어질 결심|2022年|韓国映画|シネマスコープ|上映時間:138分|映画の区分:G

配給:ハピネットファントム・スタジオ
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■公式サイト:https://happinet-phantom.com/wakare-movie/

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この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

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