ミュージカル『SHOWMAN〜4番目の影武者』MV公開! 座談会実施 「本当の自分って何だろう」――キャスト・演出家が語る、“演じる”ことと生きること

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2026年9月1日(火)から9月13日(日)まで、新国立劇場 小劇場にて上演されるミュージカル『SHOWMAN~4番目の影武者~』。第7回韓国ミュージカルアワーズにおいて大賞・脚本賞・主演男優賞の三冠を受賞し、音楽賞にもノミネートされた話題作だ。

エンタテインメント性、芸術性、社会性を兼ね備えた作品として高い評価を受け、韓国ミュージカル界を代表する傑作として注目を集め。物語は、独裁者の“4番目の影武者”として生きた過去を持つ老人ネブラと、過去の傷を抱えながら生きる若い女性スアの出会いを軸に展開。二人の交流を通して、「自分が自分自身であるとは何か」という普遍的なテーマを問いかけ、観る者の心に深い余韻を残す。

作品の代表曲である「海の底に立つ人生」のMVを公開。個性あふれる6人の歌声、その贅沢なコーラスワークを一足先にお届けする。

「本当の自分って何だろう」。

座談会で何度も繰り返されたその問いは、ミュージカル『SHOWMAN〜4番目の影武者』が描くテーマそのもの。稽古を前に、松岡充、潤花、藤岡正明、万里紗、福井晶一、福室莉音ら総勢6名のキャストと、演出のシライケイタが座談会に集結。作品の印象からそれぞれの人生観に至るまで、じっくりと言葉を交わしてもらった。

大統領の影武者として生きてきた老人・ネブラと、彼の人生を記録する女性・スア。二人の交流を軸に描かれる本作は、“演じる”ことと生きることの境界を見つめながら、「自分とは何か」を静かに問いかける。

難しいけど実はシンプルな物語

――まずは台本を読んだ率直な感想を聞かせてください。

松岡:率直な感想でいうと、難しい作品だなと思いました。もっと台本を読み込んでいかないと、この作品が何を表現したいのかを真に理解することはできないだろうなと。さらっと読んだだけでわかるような作品ではないと感じましたね。みなさんはどうですか?

福室:私としては……。

藤岡:お、いいねえ! 風穴開けちゃってください(笑)。

福室:一番年下なのにすみません(笑)。私は台本から暗い印象も受けましたが、作品の根底にあるものは、私くらいの若い世代が感じていることに通ずるなと思いました。自分の友人にも積極的に観てもらいたい作品です。

万里紗:根底にあるものっていうのは?

福室:“自分は何者なのか”ということです。そんなメッセージを台本からひしひしと感じました。私自身が感じていることでもあるし、友人とも「自分らしいってなんだろうね」という話をよくするんです。その答えを掴む糸口になる作品なんじゃないかな、という淡い期待を抱いています。

万里紗:私もすごく面白いと思いました。現代に生きる私たちは、わかりやすい言葉につい飛びついてしまいますよね。考えない方が楽だから、どんどん流されていってしまう。そういう恐ろしさも表現されているので、今やることにとても意義がある作品だと感じました。独裁政権を批判する風刺劇的な要素もありつつ、そこからさらに一歩踏み込んでいるような気もしています。それがどういうことなのかは、まだ探している最中です。初めて触れるタイプの作品なので、とても楽しみです。

藤岡:僕は「これをミュージカルにするんだなあ」というのが率直な感想。最初に台本を読んだ時点では、ミュージカルじゃなくても成り立つ作品のように感じました。重いテーマをあえてミュージカルにして、しかもミュージカル初挑戦のシライ(ケイタ)さんが演出をされる。一体どんな化学反応が起きるんだろうなと。社会性やメッセージ性を持っているこの物語を、どうやって昇華していくのかが楽しみです。自由度を持って健全に作っていきたいので、今は自分の中で答え合わせをしないようにしています。最初の本読みのときに、みなさんの声を聞いてからがスタートだなって。

福井:台本を読んだときの最初の印象は、僕も難しいなあと感じました。でもconSeptさんが取り上げる作品なので、ミュージカルでありながらも、しっかりドラマを届けることができる作品なんだろうなと期待しています。出演のお話をいただいたときは、松岡(充)さんをはじめとするキャスト陣の名前を聞いて「これは面白くなるだろうな」と直感しました。難しいことには、きっと変わりないんですけどね(笑)。

潤:最近はAIも発達していますし、人と人との関わりが段々薄くなってきている気がします。そんな時代の中で人が本質的に変わるということは、決して簡単なことではないと思うんです。けれどこの物語では、ネブラの人生に触れたスアが、自分自身を変えていく姿が描かれています。人は変わることができるんだということを、この作品を通して伝えることができるんじゃないかなと思いました。私もひとりで台本を読み込み過ぎず、みなさんと一緒に作っていきたいです。

シライ:この作品は一見複雑に見えるかもしれないけれど、実はすごくシンプルなんですよね。ある老人と若い女性が出会って、老人が自分の生い立ちを話していき、その姿を女性が写真に収めていく。このものすごくシンプルな物語の中に、ネブラとスアの孤独が浮かび上がってくるんです。

僕自身も脚本を書くことがあるのですが、こんなささやかなドラマの描き方があるのかと驚きました。物語を書くときはつい大きな出来事を起こそうとしてしまいますが、この作品では大きな事件は起きません。ネブラが大統領の影武者だったという特殊な設定こそあるけれど、人間の普遍的な部分をシンプルに描いているんです。だから僕も、決して複雑なことをやろうとは思っていないんですよ。

物語を膨らませる音楽の力

――本作の音楽は曲だけで成立させるのではなく、物語に寄り添っているように感じました。音楽によって作品がどう広がっていくのかも見どころになってくると思いますが、みなさんはどう感じましたか?

福井:すごくかっこいいなあという印象を受けました。言葉でどう表現したらいいのかわからないのですが、とても不思議な魅力があります。聴いていて、まるで自分が音楽の中に迷い込んでいくような感覚がありました。これまでのミュージカルとは、ひと味違った面白さがある気がしています。

万里紗:面白くてかっこいい音楽ですよね。シライさんが訳された歌詞も素晴らしいなあと思いました。すごく想像の幅が広がる訳詞をされていらっしゃったので。

藤岡:僕、ミュージカルにはリスクとリターンがあると思うんです。例えばミュージカルは、「私はあの人のことが好きなんだ」という登場人物の心情を、歌でいとも容易く吐露できてしまいます。そこにはお客様の想像をシャットアウトしてしまうリスクがある。一方で、音楽によって作品や役そのものが大きく羽ばたくことができるというリターンもある。その両極端な要素を持っているのが、ミュージカルなのかなって。

シライ:まさに音楽は、きちんと使うことができれば作品を何倍にも強化してくれるものですよね。逆に、うまく使えないと音楽だけが先行して上滑りしてしまう。でもこの作品の音楽は、ちゃんと物語を膨らませてくれています。

僕がミュージカルを演出するのは初めてなので「シライがミュージカルをやるのか」と、いろんな人から言われています(笑)。ただ、今のところはストレートプレイを作るときと同じように作っていこうと思っているんです。物語の登場人物と、それを演じる俳優さんたちがいかに魅力的に舞台上で生きられるか。そのことを大切にしながら、これまでずっとやってきたつもりです。みなさんのお力をお借りして、6人の人生が舞台上に浮き上がるような作品にしたいと思っています。

誰かを演じ続けてきた、ネブラとスア

――大統領の影武者として生きてきたネブラを、どういう人物だと捉えていますか?

松岡:僕が演じるネブラは、若い頃に劇団で俳優をやっていたんです。そのときに、先輩俳優たちから「演技とは」という話をされるシーンがあります。「まず、君自身を消さなければならない」「まず、あなた自身を知らなければならない」と。これ、言っていることが正反対ですよね。でも、僕はここで語られていることが、物語のテーマそのものなんじゃないかと思っているんです。

この作品は、誰かを演じて自分を消すことが俳優としての生きる術だと思い込んでいたネブラが、人生の終わりが見えてきたときに「ちょっと待てよ」と自分の人生を初めて顧みたタイミングのお話なんですね。ネブラはずっと「僕は何者なんだ、僕の人生ってこんなものなのか」という想いを抱えて生きてきました。影武者として生き、自分を権力者と同化させることで自尊心を保っていた。けれど次第に「自分らしさとは?」という問いが、彼の中で沸々と湧き上がっていくんです。

万里紗:ネブラが自分の死が近いことを感じて「僕の人生は一体何だったんだ」となることに、俳優としてすごく共感できます。俳優って、実は自分のことが嫌いだという人も意外といると思うんです。役の人生を借りて生きているときだけ、本当に呼吸ができるというか。私はそういうタイプなので、自分も死ぬ間際に「本当の私って何だろう」と振り返ってしまうんじゃないかって。それはすごく恐ろしいなと思いました。

潤:一般のお客様でさえ、普段の人生を演じているのかもしれないですよね。人って、接する相手によって態度が変わることがあるじゃないですか。そうなったときに「本当の自分ってなんだろう」と。今ここにいる自分でさえ、誰かを演じているのかなと思っちゃいますよね。

藤岡:そういうことは誰しもありますよね。誰だって演じているし、嘘をつくことだってあるでしょう。

――まさにそれを体現しているのが、本作におけるスアなのかなと思いました。スアは役者ではありませんが、誰かの代わりを演じ続ける人生を送っています。

松岡:(スア役の潤さんに)嘘、ついていますか?

潤:ついていないです(笑)。

松岡:じゃあ、嘘をついていない本当の自分って何だろうと考えたときに、わかりますか?

潤:わからない……です。例えば、場の雰囲気をよくするために頑張って明るく振る舞うということですら、頑張っている時点で嘘をついていることになっちゃうわけですよね。

松岡:そうかもしれないですね。「嘘」という言葉がネガティブに受け取られちゃうかもしれないけれど、人って嘘がないと前向きになれないと思うんですよ。生きているということは、死に向かっているということ。でも死ぬと思っていたらつまらないから、どこかで自分を騙さなきゃいけない。人生には素晴らしいことも辛いこともあるけれど、それらを全て取っ払ったときに何が残るのか、何も残らないのか。そういうことも問いかけている作品なのかなと思います。

万里紗:そこからのスアの物語のエンディングが、胸に響くんですよねえ。スアの人生で残ったものは果たして何だったのかとなったときに……あ〜思い出しただけで感動しちゃう!

一同:(笑)。

万里紗:スアが経験する日常の中に潜む差別やイライラは、きっと共感を呼ぶと思うんです。スアというひとりの女性の物語として、お客様に刺さる部分があるんじゃないかなあ。

松岡:スアはきっと難しい役ですよね。ネブラの全部を受け取って、全部を曝け出さなきゃいけないから。

藤岡:思いを吐き出すのも辛いし、受け止め続けるのも辛いし、お二人(松岡&潤)とも精神的にきついところがある役なんだろうなと思います。

シライ:スアはネブラとの出会いを通して、自分自身を見つめ直すことができるんじゃないかな。ここまで何度か出てきた「自分とは何なのか」という問いって、ひとりで考えていても絶対に答えを出すことはできないんですよね。人は合わせ鏡のようになっていて、他者が自分を映す鏡だから。その象徴として、舞台上には大きな鏡を置くつもりです。人は人と出会うことによって変わることができる、そんなメッセージが込められている作品なのかなと思います。

韓国発祥の“マルチマン”という役割

――ネブラを演じる松岡さんとスアを演じる潤さん以外は、ひとりで4〜5役を担うんですよね。

藤岡:そうやって主演やヒロインと別に、複数の役を担う俳優のポジションを“マルチマン”と呼ぶんです。これは韓国ミュージカル発祥のものなんですよ。

一同:へえ〜!

藤岡:日本ではプリンシパルとアンサンブルという分け方をしていることが多いけれど、それとはちょっと違う存在です。最近はこのマルチマンに特化した俳優さんもいるとかいないとか。面白いですよね。

福井:じゃあ今回の場合、我々4人(藤岡・万里紗・福室・福井)がマルチマンということですね。

藤岡:そうですね。マルチマンとマルチ“レディ”って言うのかな? 「マルチ1」「マルチ2」という言い方をされることが多いですね。

シライ:今回の台本では、「4番目の俳優」がいないんですよ。きっとネブラが「4番目の影武者」だったことに由来しているんだろうなと。なかなか洒落ているなと思いました。今回キャストは6人だけなので、みなさん大忙しですからね。休んでいる暇はないので、覚悟しておいてください(笑)。

――最後に、みなさんが本作で担う役割や意気込みをお願いします。

藤岡:僕はいくつかの役がある中で、ネブラを影武者へと引っ張っていく幹部の役を演じます。正義か悪かと聞かれたら、悪になるのかな。僕はその人物がどう生きてきたのかに思いを馳せることに、俳優という仕事の面白さを感じています。だからどの役に関しても、ステレオタイプな人物を演じるのではなく、役の思考を掘り下げながら演じていきたいです。演歌歌手のような役もあるので、ちょっとネタも入れていきたいなあ(笑)。重いテーマを扱っているからこそ、カンパニーとしては和気藹々とやっていきたいですね。

万里紗:この作品での私の役割は、スアに負荷を与えることだと思っています。悪役なりの正義を持ちながら、恥じずにしっかり生々しく立ち上げられたらといいなと。スアには血が繋がっていない妹がいて、彼女は障害を持っています。私自身も障害を持つ兄弟がいるので、スアの立場もよくわかりますし、「自分の人生って何だろう」と思う感覚にも共感できるんです。今回は現実と違う立場の役をやるので、心理的には役に共感しにくい部分もありますが、その共感できなさに挑めることを楽しみにしています。

福井:僕はミュージカルに出演するときは、「この曲を歌いたいからこの役をやりたい」という想いを大事にしてきました。だからこの作品のオファーをいただいたときに、実はちょっと迷いがあったんです。けれど今は、ネブラとスアの人生を支えていく側に徹したいという想いがあります。自分の役を掘り下げていくというよりも、いかに役を切り替え、ネブラとスアに影響を与えることができるかを大事にしていきたい。みんなで生み出すコーラスもきっと素敵なものになると思うので、どんなハーモニーが生まれるのか、楽しみにしていただければと思います。

福室:私が演じる中では、ベリタスとジェーンという2つの役が大きい存在になるだろうなと感じています。発達障害を持つジェーンの役作りについては、ひとつの型が必要になってくると思うので、みなさんと相談しながら作っていけたらいいなと。マルチマンを務めるのは初めてなので、ネブラとスアのために精一杯役を生き抜きたいです。今日の座談会でみなさんのお話を聞いて、より稽古が楽しみになりました。

潤:お稽古が始まる前の時点で座談会があると聞いたときは、どんな感じになるんだろうと思っていたんです。でもこうしてみなさんとじっくりお話をすることで、素敵な考えや言葉をたくさん聞くことができて、私も稽古がとても楽しみになりました。このメンバーで一体どんな化学反応が起きるのか、ワクワクしています。年齢や職業など、幅広い層のお客様に刺さる作品になるんじゃないかなと思います。スアとしてしっかり尽力できるよう、頑張りたいです。

松岡:僕としては、スア以外は僕が演じるネブラも含めて全員マルチマンの役割を担っているんじゃないかなと思っています。この作品を通して伝えたいのは、多分「答えがない」ということなんじゃないかな。わかりやすく言うと「人は揺れている」ということが、ひとつの真理だということです。だからといって、ネブラの揺れを“作る”のではなく、僕自身の心が本当に揺れないと、真にネブラを表現することはできないと思っています。作品のイメージとして重たい印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、作品が持っているのは基本的にはポジティブなメッセージです。この物語はきっと、誰かの勇気や希望に繋がっていくと思います。劇場で体感していただけたら嬉しいです。

シライ:俳優さんって、基本的にはいつもキラキラして魅力的に見える人たちだと思うんですけど、この作品では「生きるって何だろう」という本質的な問いかけに、俳優さん自身が手を伸ばし、舞台上でもがいて生きることになります。他者を求める切実な想いや苦しみといった、人生におけるキラキラしていない部分が垣間見えないといけない作品だと思うんです。それを描くのではなく、僕たちがそういう人生を舞台上で生きることになります。演出家は板の上にはいませんが、僕もみなさんと一緒に生きるつもりです。6人とひとりで、一生懸命に生きる姿をお客様にお届けできたらいいなと思っています。

取材・文=松村蘭(らんねえ)]

目次

ミュージカル『SHOWMAN~4番目の影武者~』 公演概要

【出演】 松岡充 潤花 藤岡正明 万里紗 福井晶一 福室莉音
【脚本・作詞】 ハン・ジョンソク  【作曲】 イ・ソニョン 【翻訳】 宋元燮
【上演台本・訳詞・演出】 シライケイタ  【音楽監督】 国広和毅

【公演日時・会場】 9月1日(火)~9月13(日) 全17公演
新国立劇場 小劇場

【チケット料金】 全席指定:12,800円(税込)/ バルコニー席:11,800円(税込)

【チケット発売プレイガイド】    
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/showman2026/
イープラス:https://eplus.jp/showman2026/
ローソンチケット:https://l-tike.com/showman2026/

【公式HP】 https://consept-s.com/showman

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