加藤和樹、渡辺大輔インタビュー 「9パターン、全部観て!」ミュージカル『最後の事件』【インタビューVol.48】

(左から 加藤和樹、渡辺大輔 撮影:咲田真菜) 

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2026 年2 月7 日(土)~3 月8 日(日)東京・博品館劇場、3 月13 日(金)~3 月16 日(月)大阪・サンケイホールブリーゼにて、ミュージカル『最後の事件』が上演される。

本作は、アーサー・コナン・ドイルが1893 年に発表した短編集『シャーロック・ホームズの回想』の「最後の事件」をモチーフに創作された2人芝居。世界一有名な探偵のひとり「シャーロック・ホームズ」を生み出した作家アーサー・コナン・ドイルの知られざる心の内面と苦悩、そして彼にまつわる隠れた実話をもとに、ミュージカルとして新たに創作された作品だ。日本初演にあたっては、新曲1曲、アレンジ変更2曲が追加されるのも楽しみな点となる。

本公演では、アーサー・コナン・ドイル役(加藤和樹、矢崎 広、髙橋 颯)とシャーロック・ホームズ役(渡辺大輔、太田基裕、糸川耀士郎)がそれぞれ3 名の俳優が演じる。このたびアーサー・コナン・ドイル役の加藤和樹さんとシャーロック・ホームズ役の渡辺大輔さんにお話を伺うことができた。旧知の仲の二人が初めての2人芝居にどう挑むのか、熱く語ってくださった。

(左から 加藤和樹、渡辺大輔 撮影:咲田真菜)

――ミュージカル『最後の事件』に出演が決まった時の率直な感想から伺えますか?

渡辺:(加藤)和樹の名前がポンと目に入ってきて、ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』2018年の再演以来の共演だなと思いました。韓国ミュージカルで、かつ日本初上演、しかも2人芝居というところにすごく興味がありました。「これを和樹とやったらどうなるのだろう」と思いましたし、8年間それぞれが違う現場で頑張ってきたので、自分たちが出せるものをぶつけ合って化学反応がドンと起こったら、お客様に喜んでいただけると思いました。すごくワクワクしています。

加藤:僕は2023年、『最後の事件』を『K-Musical Roadshow in TOKYO』で拝見しました。日本で初上演すると聞いて、参加できることにワクワクしました。

大ちゃん(渡辺大輔)が言ったように、僕らは『テニスの王子様』その後『1789 -バスティーユの恋人たち-』で共演し、歳を重ねてきました。今回は2人芝居での共演、しかも僕自身2人芝居は初めてです。集中力が必要だし、今まで培ってきたものをぶつけ合う役どころでもあるので、そこが非常に楽しみです。(トリプルキャストなので)他のメンバーも知っている方が多いですし、組み合わせが変わっていくのも楽しみですね。

――お二人は、現時点で本作をどのような作品と捉えていらっしゃいますか?

渡辺:「こうなるのか!」という面白い作品だと思いました。意外だったのは、割と早い段階で2人の熱い応酬が始まるところですね。

加藤:歌も一曲一曲が長いよね。

渡辺:歌でつないでいく感覚が強いね。アーサー・コナン・ドイルは天才作家と言われているけど、彼もやっぱり一人の人間だったんだ、と感じました。

加藤:この作品で描かれているのはアーサー・コナン・ドイルの苦悩です。自分が生み出したキャラクターであるシャーロック・ホームズで作家として成功したけれど、小説の世界と現実が入り混じり、その存在に苦しめられている。彼は本当は歴史小説家になりたいのに、ホームズが最大の壁になって立ちはだかります。

それなのにホームズは「事件を解決したい」「相棒が欲しい」など、ドイルにいろいろな要求をしてきます。男2人の熱い戦いでもあるし、ドイルは複数の役を演じ分けるので、演じるほうも観るほうも集中力が必要ですし、息つく暇がない作品だと思います。

渡辺:今回は3人×3人で9パターンがあるので、絶対それぞれが違うものになると思います。お話をいただいた時に「絶対やってみたい」と思ったのは、そこが大きいですね。

(左から 加藤和樹、渡辺大輔 撮影:咲田真菜)

――楽曲はどのような感じですか?

加藤:すごくかっこいいものが多くて、物語を伝えるために歌う重要性を感じます。派手さはないけれど、シンプルだからこそ届くかっこよさがあると思います。

渡辺:グランドミュージカルのように歌い上げる感じの曲ではないけどね。

加藤:2人が歌声を重ねるパターンが多いかな。

渡辺:2人が真逆のことを同じメロディーで歌っていたりもするので、面白いと思います。

――加藤さんは『K-Musical Roadshow in TOKYO』をご覧になっているとのことで、そのときのイメージや印象をお聞かせください。また渡辺さんには、韓国発のミュージカルに対して、どんなイメージをお持ちか伺いたいです。

加藤: 2023年『K-Musical Roadshow in TOKYO』で、ミュージカル『最後の事件』のダイジェスト版ではありますが拝見しました。役者さんのエネルギーがすごかったですし、出演者お二人の熱量が歌を通してぶつかり合っていたのが印象に残っています。これは日本で絶対受けるだろうなと感じました。僕自身も含めて、日本のお客様も好きな物語だと思います。男性2人だけのミュージカルは少ないと言われている中で、これだけ男同士が歌い合うのは大劇場で上演される作品とは違う良さがあると思います。

渡辺:僕は韓国でミュージカル『フランケンシュタイン』を観ましたし、韓国発のミュージカル『ベートーヴェン』に出演しています。韓国発のミュージカルは、感情表現をあやふやにしない演出方法が印象に残っています。思い悩むというよりは、感情が急にドーンと爆発するので、「助走はどこにあったんだ?」と起伏の激しさを感じます。そこが日本人の感覚と違うので、面白いですね。今回も演出はソン・ジェジュンさんが手掛けられるので、ミュージカル『ベートーヴェン』での経験も踏まえつつ、和樹が見てきたものをカンパニー全体で共有できたらまた違う世界が広がると思います。

――今の段階で、それぞれの役をどのようなイメージを持って準備をされているかお聞かせください。

加藤:ダイジェスト版とはいえ一応観ているので、作品の世界観はなんとなく掴んでいます。日本で上演するにあたって変わる部分はあると思いますが、ベースは変わらないと思います。ドイルがホームズを生み出すに至った経緯、生み出したがゆえの苦悩、やりたいことと相反して人気が高まり自分でも収拾がつかなくなりホームズという名探偵をどう収めようとするのか…。ドイルは何役も演じ分けるので、その演じ分けをどうするか、そこを考えていかなければいけないと思っています。

渡辺:この作品はタイトルを「アーサー・コナン・ドイルの苦悩」にしてもおかしくないと思っています。そんなドイルをもてあそんで、ちょっと先を行くのがホームズです。ホームズは少し傲慢でちょっと鼻につくぐらいがいいのかなと現時点では考えています。でも何回か台本に目を通すと、最終的にホームズはドイルに合わせています。「ホームズは面白がっているし、結局のところドイルに感謝しているのかな?」とも感じます。

――トリプルキャストで2人芝居を演じるにあたって、感じていることをお聞かせください。

加藤:正直、大変だと思います。

渡辺:同意見です!

加藤:それぞれ呼吸・テンポ・芝居の作り方が違いますからね。でもそれすら楽しめるようになりたいです。稽古でペアを変えながら作っていかないといけないですが、展開が読めないところが面白さの一つだと思いますね。

渡辺:東京の初日と大阪の千秋楽では全く違うものになると思います。しかも大阪公演では、和樹と組むのは初日かつ千秋楽になるんだよね。

加藤:やれる回数が限られてくるからね。

渡辺:稽古場はすごいことになるだろうなと思いますし、正解がありません。お客様には先入観なく観ていただきたいし、ドキドキしてほしいです。

――今回上演する2つの劇場は、比較的お客さんとの距離が近い劇場です。楽しみなことはありますか?

加藤:この作品は、劇場が狭ければ狭いほど集中して観られると思います。2人芝居でセットも大きく変わらない中で表現しなければいけません。演者とお客様、双方の集中力がすごく大事になると思います。緊張の糸がゆるんでしまうとお客様が集中できなくなってしまうので、そのさじ加減が上手くできるのが、今回上演する劇場のサイズだと思っています。

渡辺:お客様との距離が近いのはいいよね。僕はシアタークリエに出演することが多いけど、距離が近いと一体感がすごい。特に今回は2人芝居なので、お客様との距離が近いほうが、より集中して観ていただけると思います。

(左から 加藤和樹、渡辺大輔 撮影:咲田真菜)

――今回の作品は、シャーロック・ホームズファンが楽しめる内容だと感じています。日頃ミュージカルをあまり観ないシャーロック・ホームズ好きの人が、本作を楽しむコツを教えください。

加藤:正直言うと、僕は最初ミュージカルが苦手だったので、ミュージカルを観ない人の気持ちがものすごく分かります。でも歌でしか届かない、歌だからこそ伝えられる想いがあるんだと気付きました。

ミュージカルの歌をお芝居の一部だと思って観ていただくと「突然歌い出す」という違和感は少しなくなると思います。歌の中に重要なせりふや状況の説明があったりします。特にこの作品は歌でほとんど綴られていきますので、僕たちも稽古を重ねて、歌で想いを伝えられるように努力します。この点を少しでも理解していただけるとハマると思います。

この作品は、シャーロック・ホームズをよく知っている人にとって、すごく面白い内容だと感じます。ドイル自身が他の人を演じることでこの物語の面白みが一層出てくるし、なるほど! と思っていただけると思います。

渡辺:ミュージカルが苦手な人は、何度観ても苦手でしょうし、ミュージカルに出演する役者の頭の中には常に「ミュージカルって敷居が高いのかな。急に歌い出すもんね」という思いはあります。これは永遠のテーマでしょうね。

でも和樹が言ったように、歌はお芝居の一環だと思って観ていただけるといいと思います。今回の作品は、歌い上げて盛大な拍手が起こる…という感じではありません。自分は今こういう気持ちだけど、君はどうなんだ…と音楽に乗せて感情を吐露する場面が多いです。そういう感覚で見ていただけると「急に歌いだす」というよりは、心情を言い始めたなという感覚で観ていただけると思います。

――それぞれの役に一言声をかけるとしたら、どんな言葉をかけますか?

渡辺:「楽しめよ!」ですね。シャーロック・ホームズは悩んじゃだめだよって思います。

加藤:「頑張れ!」ですね(一同笑い)。それしかない。

渡辺:ホームズからドイルに声をかけるなら「自分を信じろ!」だよね。ドイルは自分を信じればいいのに迷っちゃうから…。

――この作品を多くの方に観ていただくためのアピールポイントをお願いします。

渡辺:トリプルキャストなので9パターンあること、日本初演の韓国ミュージカル、交わるはずのない2人が交わること、展開の早さなど、ワクワクするポイントがたくさんあります。お客様には何回でも観て、自分なりの答えを探して楽しんでいただきたいです。

加藤:アーサー・コナン・ドイル、シャーロック・ホームズについて詳しく知らなくても、名前は聞いたことがある人がほとんどだと思います。登場人物の名前を知っているだけでも楽しめるし、事件名をかじっておくと面白さが2倍、3倍になると思います。日本初上演の『最後の事件』の濃密さを楽しんでいただけたらと思います。

取材・文・撮影:咲田真菜

加藤和樹ヘアメイク 村田樹
加藤和樹スタイリスト 立山功
ジャケット¥572,000-、ニット¥37,400-、ベルト¥27,500-、  靴¥99,000-/Yohji Yamamoto POUR HOMME(ヨウジヤマモトプレスルーム tel 03-5463-1500)、パンツ¥101,200-/Y’s for men(ワイズプレスルーム tel 03-5463-1540)

渡辺大輔ヘアメイク 高橋純子
渡辺大輔スタイリスト 吉田ナオキ

(左から 加藤和樹、渡辺大輔 撮影:咲田真菜)
目次

ミュージカル『最後の事件』公演概要

東京公演:2026 年2 月7 日(土)~3 月8 日(日) 銀座 博品館劇場
大阪公演:2026 年3 月13 日(金)~3 月16 日(月) サンケイホールブリーゼ

脚本・作詞・演出:ソン・ジェジュン
作曲:ホン・ジョンイ
翻訳・訳詞・演出補:福田響志
音楽監督:岩崎 廉
振付:松田尚子
美術:伊藤雅子
照明:杉田諒士
音響:佐藤日出夫
衣裳:小西 翔
ヘアメイク:水﨑優里
歌唱指導:吉田純也
アクション:冨田昌則
稽古ピアノ:treetop (栗山梢、豊住舞、久保奈津実 )
通訳:シンユ
演出助手:坂本聖子
舞台監督:仲里 良

キャスト:
アーサー・コナン・ドイル:加藤和樹、矢崎 広、髙橋 颯
シャーロック・ホームズ:渡辺大輔、太田基裕、糸川耀士郎

演奏(ピアノ):treetop (栗山梢、豊住舞、久保奈津実)

チケット価格:全席指定 ¥11,000(税込)
※未就学児不可

問い合わせ先:東京 チケットスペース 03-3234-9999 (10:00-15:00/休業日を除く)
大阪 ブリーゼチケットセンター 06-6341-8888(11:00~15:00)

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この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

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