平野良インタビュー『時をかけ・る~LOSER~2』「他では見れない俳優たちの顔を作るのが僕のテーマ」【インタビューVol.40】

平野良(撮影:咲田真菜)

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2025年10月30日(木)~11月4日(火)品川プリンスホテル Club eXにて『時をかけ・る~LOSER~2』が上演される。

歴史を学べる「祭シリーズ」を上演してきたる・ひまわりが新たに誕生させた歴史シリーズ「時をかけ・る」待望の第二弾で、今作のテーマは「幕末・維新」。歴史のヒーローたちの裏で消えていった「敗者」たちの物語をオムニバス形式で上演する。

出演は第一弾と同様に安西慎太郎、木ノ本嶺浩、松田岳、前川優希、内藤大希、平野良が決定しており、脚本は赤澤ムック、演出は平野良が手掛ける。

<内容>
近未来。政府機関からの依頼で、『これからの人類における、より良い生き方の考察』、人類の『より良い生き方』を追求するため、歴史的負け組の調査・検証を行っている研究所の研究チーム。彼らは年に1度、研究テーマを与えられ、その時代にタイムスリップし、研究対象者に接触。対象者の「真実」を纏め、学会で発表を行っている。今回も、研究員たちによる、研究学会が開かれる。今学会のテーマは「幕末・維新」。研究員たちは、自身が目にしたLOSERたちによる“真実“に、何を思うのか―。先人たちの想いを繋ぐヒストリカル浪漫。

このたび演出を手掛ける平野良さんにインタビューする機会に恵まれた。第二弾にかける想いや挑戦したいことについて語っていただいた。

平野良(撮影:咲田真菜)

『時をかけ・る~LOSER~2』上演の決定を聞いた時のお気持ちをお聞かせください。

ありがたいことに前回の公演が大変好評でしたが、今回は第2弾なりの苦しみがあるだろうし、違った戦いがあるのかなという感じがします。

前回の公演が好評だった要因は何だと思いますか?

る・ひまわりさんが積み上げてきた年末シリーズのファンという土台がしっかりあったところだと思います。それに加えて出演者が年末シリーズのメンバーなので、大所帯の年末シリーズでは観ることができない細かい芝居が観られる作品なので、そのあたりも好評だった要因だと思います。

今回の舞台は、前回より時代が進んで 幕末維新です。これから稽古が始まると思いますけど、どんな公演になりそうですか?

劇場が違うとガラッと雰囲気が変わると思うんですよ。第1弾は新国立劇場で上演させていただいて、厳かな雰囲気がありました。今回は品川プリンスホテル CLUB exなので、結構ポップな雰囲気になると思います。

劇場に合わせて作品作りをするのは演劇の醍醐味ですから、CLUB exが持っているポップさ、派手さ、クラブっぽさを無視して時代劇に特化しても相性が悪いと思っています。全体的にポップに作って、その中にダークな雰囲気をドンと入れるパターンを構想しています。

負け組をターゲットにした作品を演出する上で、注力したことはありますか?

僕は歴史に詳しいわけではないので、前回はプロデューサーや脚本の(赤澤)ムックさんに「これはこういうことでいいのかな?」と結構質問をしました。史実はどうなのか、この作品の「もし~だったら?」はどこにあるのか? 作品の中に「もしも~」がある楽しみはどこにあるのか…ということは、キャストも含めみんなが分かっていないといけないですからね。出演者の人数も少ないので、共通認識をみんなで取りましたね。

今回も演出を手掛けてキャストとしても重要な役を担われます。特に坂本龍馬に注目してしまいますが…?

いやー、そうなんですよね。どう見えてるか、どう演じたほうがいいか、スタッフに聞いていくスタイルにする予定です。なんとなく「こういう感じかな」というイメージは頭にありますけど …。演出助手の中島くんが頼りになるので、周りの方々の力をお借りしながら役を作っていけたらと思います。

せりふも土佐弁のエッセンスを入れながらも、あまりそこにとらわれ過ぎないようにしようと思っています。僕の中で龍馬といえば、ドラマ『JIN-仁-』で演じられた内野(聖陽)さんのイメージが強すぎるんですよ。龍馬を研究している人たちが、内野さんの演技を絶賛したっていいますからね。

演出を手掛ける一方でキャストとして出演されるのは、 難しいのでは?

演出と演者は、使う脳みそが違うんです。ですので、まずは演出家として全体を作って、僕が演じるところは代役に入ってもらいます。演出をつけた後に僕がキャストとして入りますので、稽古に後から合流する感覚ですね。

平野良(撮影:咲田真菜)

今回も前回と同じキャストが勢ぞろいしました。楽しみにしていることや新たに挑戦したいことはありますか?

きっとこのメンバーは、あれやこれや考えてるんじゃなかろうかと思っています。前回を踏まえて「良さん、これでいいですか?」みたいに持ち込んできそうな雰囲気を感じています。それが楽しみですね。

前回は僕も含めてどんな感じになるの? とか、こんなに大変なのとか、追われる作業でした。そうした過程を経たので、結構持ち込んでくるものも多いだろうなぁと。ミネ(木ノ本嶺浩)と、この前ちょっと話をしたんですが、もうドシンとしていましたね。「ミネ、こういう感じになりそうだよ」と言ったら「OKです!」って(笑)。

頼もしいですね! 今作で平野さんが特に推したいところはどんなところですか?

今回登場する人物は、みんな面白いのですが、木ノ本さんが役作りに関してドシンと「はい、わかりました。OKです!」と言ったことは、どういうことなのだろうと思って楽しみにしています(笑)。

また、蓋を開けてみたらどうなるんだろう…と思うのは、3.5次元ミュージカルです。作品としては一本筋の通った真面目なお話が軸になっていますが、乙女ゲームの実写化ということで、大真面目だけど笑っちゃう感じになればいいなと思います。

最後に公演を楽しみにしている方に向けて、メッセージをお願いいたします。

今は怖さと楽しみな気持ちが入り混じっています。ふんわりとしたビジョンのまま稽古に入りますからジャズじゃないけど、その場のセッションでどんどん作っていけたらと思います。

1公演しか観られない方がいっぱいいらっしゃると思いますが、本当は6本全部観て欲しいです。1本もはずれがないものを作っていくつもりですし、組み合わせによって後味が違うと思います。1回だけでも面白いですし、全部観ても面白いものを目指していきます。

皆さんそれぞれ推し俳優がいらっしゃると思いますが、他では見れない推し俳優の顔を作るのが僕のテーマでもあります。そんな彼らの表情を頑張って作っていくので、期待していただけたらと思います。

取材・撮影・文:咲田真菜

平野良(撮影:咲田真菜)
目次

『時をかけ・る~LOSER~2』公演概要

<劇場> 品川プリンスホテル CLUB ex
<日時> 2025年10月30日(木)~11月4日(火)

<脚本>赤澤ムック
<演出>平野良
<出演>安西慎太郎 木ノ本嶺浩 松田岳  前川優希 / 内藤大希  平野良

<チケット料金> 全席指定11,000円(税込)
<問い合わせ> tokiru_info@le-himawari.co.jp
<企画・製作> る・ひまわり

公式サイト:https://toki-wo-kakeru.com/

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この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

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