平岡祐太インタビュー 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』「平岡ハリー、ヤバいなと思ってもらえるように演じたい」【インタビューVol.39】

平岡祐太(撮影:咲田真菜)

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TBS赤坂ACTシアターにてロングラン上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』。2022年に開幕した東京公演が総観客数120万人を突破、さらに通算公演数1200回を達成し、日々観客を魅了し続けている。

2025年8月から新たにハリー・ポッター役として平岡祐太の出演が決定した。2003年の俳優デビュー以来、大河ドラマ『龍馬伝』、ドラマ『東京タラレバ娘』、連続テレビ小説『べっぴんさん』、近年では、ドラマ「放課後カルテ」、ドラマ「マイ・ワンナイト・ルール」、映画「夏目アラタの結婚」など、大ヒット映画・ドラマに多数出演、常に新しい役に挑戦し続け、活躍の場を広げている。

このたび稽古場で平岡さんにインタビューすることが叶った。ハリー役に決定した時のお気持ちや稽古のエピソードについて語ってくださった。

平岡祐太(撮影:咲田真菜)

――ハリー・ポッター役に決まった時の気持ちをお聞かせください。

僕はハリー・ポッターを観客として観て、出演したい!と思い、オーディションを受けて合格できました。自分がやりたいと思える役に恵まれる機会はめったにないので、すごく嬉しかったですね。

――ご自身で「オーディションはないんですか?」とお聞きになったとか…?

ロングランということもあって、オーディションが行われているらしいという噂を耳にして、参加させていただきました。タイミングが良かったですね。

――もともとハリー・ポッターのファンだったのですか?

この舞台を見て、昔ハリー・ポッターが好きだったことを思い出しました。映画も全部観ていたのでその時の気持ちを呼び起こされた感じです。劇場に観に行ったことをきっかけに再び興味がわいてきて、キャラクターたちの生い立ちをもっと知りたくなりました。

――稽古が始まって1ヶ月ほど経ったとお聞きしていますが、稽古場の雰囲気はいかがですか?

まるでホグワーツ魔法魔術学校(以下、ホグワーツ)の授業を受けてるような感じです。例えばハリー・ポッターがホグワーツを卒業したのは何年でしょうとか、座学で授業を受けています。それぞれのキャラクターの追い立ちについて、史実をもとに学んでいく授業が多いです。

――稽古場でのエピソードは何かありますか?

最近は週6日稽古があるんですが、毎日30分間 筋力トレーニングをしています。HIITやヨガ、サルサなどを混ぜ合わせていろいろやりながら、トレーニングします。すごく大変ですが癖になってしまって、それがないと物足りない感じになります。

稽古場にいる人全員でやるので、仲間同士の連帯感ができるんですよ。部活で苦しいことを耐え抜いた感じに似ていて、良い雰囲気になります。稽古が終わったあとも集まれる人だけで集まって、居残り稽古をしたりしますが、そういうところが舞台っていいなあと思います。

――ハリーを演じるにあたり、役作りで苦労しているところはありますか?

最近すごく感じるのは、演じる人によってハリーの印象が全然違うことです。自分はどういうハリー・ポッターを演じていくのかということを考え中ですね。

――どういう違いを出そうと考えていらっしゃいますか?

エンタメ性と人間物語の両立を目指したいです。どちらかというと演劇に寄り過ぎず、エンタメ側に寄せたいと思っています。

――平岡さんからみてハリーはどんな人物だと思いますか?

今作は『ハリー・ポッターと死の秘宝』の出来事から19年後という設定です。ハリーは父親になって、息子との向き合い方にすごく苦労している人物です。この話は家族愛の物語ですが、みんな相手を思いやるあまり、すれ違ってしまいます。

ハリーは息子とどう接していいか分からず、悪戦苦闘している父親ですね。ハリー自身がすごくかわいそうな生い立ちで、ダーズリー家でひどい扱いを受けてきました。自分がいざ親になってお手本になる父親がいないので、どうしていいかわからない…という感じです。

――ハリーの父親としてもどかしい気持ちも分かるし、偉大なお父さんを持ってしまったアルバスの葛藤も理解できます。平岡さんご自身はどちらへの思いが強いですか?

僕はハリーにすごく共感できます。今まさしく自分自身もそういう状況ですから。

ハリーとアルバスからは少しはずれますが、ダンブルドア先生にも共感します。ダンブルドア先生はハリーに対して、見守りながら時に助言を与えるものの、助けてくれるわけではなく姿を消してしまいます。僕は、日常生活ではダンブルドア先生と同じような気持ちでいたいと思ってます。

――ダンブルドア先生の話が出ましたが、平岡さんの好きなキャラクターはスネイプ先生だとお聞きしていましたが……?

スネイプ先生も好きなんですけど、最近ダンブルドア先生もすごくいいなあと思うようになりました。この舞台で泣かされるのは、ダンブルドア先生の格言や名言だと思います。

――「こういうハリーでいこう!」という役作りの方向性は固まりそうですか?

どうなるかわからないところがありますが、僕が演じるハリーに感動してもらいたいという思いがすごくあります。ハリー・ポッターという世界観がありつつ、どうやったらお客さんがのめり込んでくれるかということを考えています。

平岡祐太(撮影:咲田真菜)

――ハリー役はアクロバティックなシーンもありますが、体力的に大変なのでは……?

アクロバティックなシーンだけでなく、舞台全体を通してエネルギーが爆発してないと最後までやっていけない役だと思っています。冷静にお芝居をしながらも冷静になりすぎてはいけないと心掛けています。常にエネルギーに満ちた状態でみんなを引っ張っていかないと、お客様もテンションが上がりきらないと思うんですよ。

それぐらいハリーを演じる役者によって、舞台が大きく変わってくると思います。僕は、全体を通してエネルギーに満ちたハリーでいたいという心持ちでいます。

この作品は、役者の力量がすごく試される作品です。油断をするとお客様が離れていってしまう気がするので、頑張らなくては!! と思っています。

――平岡さんが最初に観られたのは、どなたが演じたハリーですか?

僕が最初に観たのは吉沢悠さんのハリーでしたが、演技に引き込まれて食い入るように観ました。吉沢さんのハリーは僕が思っていたハリーと違っていたので、「なんでハリーがこんなことになっちゃってるの??」という気持ちになり、引き込まれました。

平方元基さんのハリーも拝見しましたが、やはり全然違いました。お二人のハリーを観て、自分が演じるハリーは違うものにしたいと思いましたし、自然に違うものになっていくと思います。

――本作では舞台上でさまざまな魔法が披露されます。言える範囲で構いませんので、見どころを教えていただけますか?

魔法が凄すぎて何が起こっているか分からないと思うんですよね……。

――私も実際に観て「これはどういう仕掛けなんだ??」と考え込んでしまいました。

いや、仕掛けじゃなくて「魔法」なんです(笑)。

その魔法を使うにあたっては、こちらもすごく努力しているんですよ。この間、海外で上演しているハリー・ポッターのアクロバティックシーンを見せてもらったんです。そしたら日本のものと少し違っていて、それを取り入れたいな…と思ってしまいました。『呪いの子』は世界中で上演されているので、世界から学ぶところもありますね。いいものを見つけると「これ、もらおう!」って思います。

魔法の掛け方もいろいろな方法があるので、研究する価値があると感じています。例えば杖を当てるだけじゃなくて、当てた後にはらうとか。トレーニングコーチと話し合って独自のものを作っていきたいですが、この間提案したら「まずは普通のものができるようになってからにしよう」と言われてしまいました(笑)。今後、魔法が上達していったら、変わっていくかもしれないので、ぜひそのあたりも見ていただきたいです。

――平岡さんご自身が魔法を使えたら、どんなことをしてみたいですか?

実用的に欲しいのは、お掃除魔法ですね。僕は毎日皿洗いをする係なので、稽古が終わってから皿洗いするのは大変なんです。それを魔法でできれば最高ですね。ハリー・ポッターの映画では、料理を作ってくれる魔法が出てきます。料理をつくる魔法があるなら、皿洗いのように片付ける魔法もあるといいですよね(笑)。

もう一つ、役者としては、誰かの記憶に残る魔法があったらいいかもしれません。ハーマイオニーは記憶を忘れさせる魔法をよく使いますが、その逆で記憶を植え付ける魔法があってもいいかなと思います。きっと僕が演じるハリーを観に来てくださったら、そういう魔法にかかると思いますよ!

――最後にファンの方へメッセージをお願いいたします。

一生に一度の想い出の舞台になると思います。「平岡ハリー、ヤバイな」と思ってもらえるように一生懸命稽古をしていきますので、ぜひ劇場に体感しに来てください。

取材・撮影・文:咲田真菜

ヘアメイク:菅野綾香
スタイリスト:石橋修一

平岡祐太(撮影:咲田真菜)
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舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公演概要

[日程]上演中~2026年1月31日(土)
[会場]TBS赤坂ACTシアター
[上演時間]3時間40分 ※休憩あり

【主催】TBS ホリプロ ATG Entertainment
【特別協賛】東海東京フィナンシャル・グループ
With thanks to TOHO
In association with John Gore Organization

【舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式Webサイト】
https://www.harrypotter-stage.jp

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この記事を書いた人

国家公務員・一般企業勤務を経てフリーランスのライターになる。高校時代に観た映画『コーラスライン』に衝撃を受け、ミュージカルファンとなり、以来30年以上舞台観劇をしている。最近はストレートプレイも積極的に観劇。さらに第一次韓流ブームから、韓流ドラマを好んで視聴。最近のお気に入りはキム・ドンウク。

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