「配達されたい私たち」観劇

先日先代犬のお墓参りのお供に持っていた本「配達されたい私たち」の
舞台公演を観てきた。

場所はJR中野駅から歩いて10分ほどの「中野ザ・ポケット」。
久しぶりの小劇場観劇にワクワクする。

私は舞台を観に行く際に、あまり原作本を読んでいかない主義なのだが
今回はなぜか興味をひかれ、一気に読んでしまった。

正直、この話をどう舞台化するんだろうと期待と不安があった。
物語の最後が、非常にもやもやする終わり方だからだ。

幕が上がると、いきなり原作本の最後のシーンから始まった。
なるほど、そうきたか!と。

主人公は、うつ病を患った32歳の男性だ。
自殺を決意し廃墟と化した映画館を訪れたときに、郵便配達員が

捨てたとみられる手紙の束を見つける。
消印を見ると7年前のもので、その中から7つの手紙を選び、自分自身が

配達員となって届け、すべて終わったら自殺を決行しようと決意する。
7つの手紙があるのだから、7つのストーリーが登場する。

もちろん主人公自身のストーリーもある。
オムニバス形式にするのかと思いきや、それらのストーリーが同時進行で
演じられていくのだ。

場面が変わるときは、白い幕がサッとおり、メリハリがある。
幕が上がった瞬間の良い意味での裏切りが、ここにもあった。

配達されなかった手紙たちの受け取り人は、手紙を受け取らなかったことに
よって180度人生が変わってしまった人たちばかりだった。

ああ、人生ってなんて残酷なんだろうと思ってしまうエピソードもあれば
そのときに手紙を受け取らなくても、人生はたんたんと進んでいくんだなと
思うエピソードもある。

ただひとつひとつがとっても深いのだ。
主人公の男性は、彼ら彼女らに接することによって、自殺を思いとどまる
わけではない。確かに少しづつ心境の変化はあるのだが、結局は自殺を
決行し、しかしながら一命を取り留める。

そんな中途半端な自分に嫌気がさすものの、意識を回復していく段階で
手紙を配達することによって知り合った彼ら彼女らを思い、自らがどうしたいのか初めて気付いていくのだ。

原作でもやもやしたのは、結局主人公の男性が目覚めたのかどうかが曖昧なまま終わっていたからだ。しかし舞台でははっきりと主人公が目覚め、妻のもとに戻っていくさまが描かれた。とても救われた気分になった。

キャストの皆さんの中に、元宝塚娘役トップスターの麻乃佳世さんがいらっしゃり個人的には興味深々だった。

宝塚では、天海祐希さんの相手役として活躍していた方だが、今回は主人公の妻役で存在感のある演技をされていた。かわいらしい風貌は相変わらず。

タカラジェンヌが、演技力が試される舞台で活躍されているのを見ると
宝塚ファンとしてとてもうれしい。

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