内博貴、藤本隆宏出演 音楽劇『海の上のピアニスト』開幕 

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2021年9月16日(木)東京芸術劇場シアターイーストにて音楽劇『海の上のピアニスト』が開幕した。初日を前にゲネプロと記者会見が行われ、出演者の内博貴、藤本隆宏、ピアノ演奏の西尾周祐が現在の心境を語った。

(左から)西尾周祐、内博貴、藤本隆宏  (C)2021.海の上のピアニスト(撮影:咲田真菜)

初日を迎えるにあたり内は、「いよいよ始まるな…という気持ちです」と感慨深げに一言。

対して藤本は「こういうご時世なのでどうなるか分かりませんでしたが、ここまでこれてよかったです。実際にお客様の前で演じてみて、どういうふうに観てくださるのか、それを感じながら演じることを楽しみにしている。精一杯やりたいです」と熱く語った。

西尾は「もう明日が本番か…とあっという間でした。毎日稽古をして楽しかったので、稽古が終わってしまった寂しさもあります」と語った。

天才ピアニストのノヴェチェントを演じる内は、役に対して意識していることを問われると「僕はもともとそんなに難しく考えるタイプではないので、ナチュラルに演じられるように…と思っています。演出の星田さんとディスカッションしながら作り上げたので、「これっ!」という意識はないです」と。

内博貴 (C)2021.海の上のピアニスト(写真:山副圭吾)

ノヴェチェントの親友・トランぺッターを演じる藤本は「内さんが演じるノヴェチェントのことを大好きになる役なので、そういうところを意識しなければいけないかなと思ったんですが、稽古場から(内さんのことが)大好きになっちゃって。かっこいいんですよ。ドキドキして素敵で。その気持ちを忘れないように演じていきたいです」と、照れる内の横で語り、会場を沸かせた。

藤本隆宏  (C)2021.海の上のピアニスト(写真:山副圭吾)

劇中、舞台の中央でピアノ演奏をする西尾は「もう一人のノヴェチェントという意識を持っているので、自分以外のピアニストを演じることを楽しんでいます」と本作への意気込みを語った。

会見中、突如藤本が「内さんは作品の中ではノヴェチェントそのものだけど、実際はどんな感じなんですか? もっとチャラい感じ?」と質問をすると、「その質問、さっき終わったのに掘り返すんですか?」と突っ込みながらも「違いますよ! チャラいところ見せましたっけ?」と返すなど、和気あいあいとした雰囲気が垣間見えた。

そんな中、内は「今回の作品に関しては、僕よりも藤本さんのほうが大変。僕がレベル1なら、藤本さんはレベル100。トランぺッター役というのもそうですし、今回藤本さんはトランぺッター以外にもいろいろな役を演じられます。番組で言ったらMCをやりながらひな壇もやるという感じ(一同笑い)。僕はどちらかというとずっとひな壇に座っている感じなんです」と、藤本をいたわった。

二人が熱演する舞台で、終始演奏をする西尾は、二人の印象について「藤本さんはみんなのお兄さんという感じでムードメーカーです。場の雰囲気をよくしてくださる方ですね。内さんは彫刻です! 立ち姿もすごくきれいで。年齢が同じなので、今距離を縮めているところです」とにこやかに語ると、内は「距離、縮まっているよ~」と答えていた。

西尾周祐(C)2021.海の上のピアニスト(写真:山副圭吾)

改めて本作の見どころについて内は、「僕自身、こういうタイプの作品に携わったことがなくて、不思議な舞台なんです。ピアノは素晴らしいですし、藤本さんのせりふ量も…。観ていろいろなものを感じられる作品になっているので、不思議な空間になっている舞台になっていると思います」と語った。

藤本が「私たちが演じているミュージカルは、芝居に音楽があとからついてくることが多いのですが、音楽主体で私たちが芝居を作り上げていくところが、難しかったです。そして音楽がいいんですよね。本当に素敵なので演じながら心を動かされています。見どころは、最後の内さんの長せりふと歌ですね」と語ると、内は藤本に向けて「もう、やめてくださいよ。ちょいちょいハードルが上がっているんで…」と会場の笑いを誘った。

そして西尾は「ピアニストが主役の舞台なので、ピアノをずっと弾いているというのは、ピアニストとしてこれ以上ない舞台だと思います。最初に流れるメインテーマがあり、それが繰り返し何度もいろいろなシーンで出てきます。ジャズピアニストとノヴェチェントの対決シーンが聴きどころです」と語った。

最後に内が「このご時世にもかかわらず、こうやって舞台ができることは本当に幸せなことです。感染症対策はバッチリの状態で皆さまをお迎えして、楽しんでいただきたいという気持ちでいっぱいです。いろいろ感じてもらえるような作品になっていると思いますし、僕の勝手なイメージですが、本当に船に乗っているような気分になれる作品になっていると思いますので、ご覧になられる方々に楽しんでいただけたらと思っています」と締めた。

ここからはゲネプロの模様をお伝えしよう。

音楽劇『海の上のピアニスト』ゲネプロより (C)2021.海の上のピアニスト(撮影:咲田真菜)

豪華客船の中で生まれ、生涯を船で過ごした天才ピアニスト・ノヴェチェントの物語を美しい音楽とともに描く本作の舞台は、豪華客船ヴァージニアン号。

舞台の中央にはピアノが1台。シンプルな舞台装置で船の上を表現している。ストーリーテラーでもある藤本が登場すると、ノヴェチェントの生い立ちについて語り出す。

音楽劇『海の上のピアニスト』ゲネプロより (C)2021.海の上のピアニスト(撮影:咲田真菜)

本作は2人芝居ではあるが、いわゆる内と藤本がせりふを言い合うシーンはあまりない。藤本が状況説明をしている横で、内が自身の心情を詩的に語る…というシーンが多いがゆえに、なおさら内と藤本が二人で語り合うシーンが、作品の中で際立つ。

音楽劇『海の上のピアニスト』ゲネプロより (C)2021.海の上のピアニスト(撮影:咲田真菜)

そこに西尾が奏でる美しいピアノの音色が重なり、なんとも心地よい。ノヴェチェントの生涯を追っていく…というよりも、ノヴェチェントの生き様を、絵のように切り取りそれを音楽にのせて表現していく舞台だ。

ノヴェチェントを演じる内は、少年時代から青年時代にかけて、声色をうまく使い分けている。共演者の藤本が「かっこいい」を連発していたように、スーツをシュッと着こなし、ピアノの前に座る姿はとても華がある。

そして一度も船を降りなかった心情を吐露するラストシーンは、身を乗り出して聞き入ってしまうほどの熱演だ。

藤本は、トランぺッター役だけでなくストーリーテラーなど複数の役割を担い、大熱演。前評判どおりせりふ量がとても多く、以前お話いただいたインタビュー時に「大きな挑戦」と語っていたことは、間違いないだろう。

美しいピアノ演奏とともに紡いでいく本作。「芝居は苦手…」という人でも、音楽を聴きに行く気分で観劇でき、あっという間に船の上の旅をしているような気分にさせる作品だと感じた。

本作は、9月20日(月・祝)まで東京芸術劇場シアターイーストにて上演。その後栃木、富山、石川、大阪にて上演を予定している。

取材・文・撮影:咲田真菜

音楽劇『海の上のピアニスト』

作:アレッサンドロ・バリッコ
上演台本・演出:星田良子
訳:草皆伸子(白水社 刊)
作曲:音楽監督:中村匡宏
製作:アーティストジャパン

出演:内博貴、藤本隆宏
ピアノ演奏:西尾周祐、宮川知子(富山公演のみ)

【東京公演】

■日程:2021年9月16日(木)~20日(月・祝)
■会場:東京芸術劇場 シアターイースト
■料金:S席9,500円 A席8,500円(全席指定・税込)

【栃木公演】

■日程:2021年9月23日(木・祝)
■会場:栃木県総合文化センター サブホール
■料金:S席4,000円 A席3,000円(A学生1,500円)(全席指定・税込)

【富山公演】

■日程:2021年9月25日(土)
■会場:富山県教育文化会館
■料金:S席9,500円 A席8,500円(全席指定・税込)

【石川公演】

■日程:2021年10月7日(木)・8日(金)
■会場:北國新聞 赤羽ホール
■料金:8,800円(全席指定・税込)

【大阪公演】

■日程:2021年10月9日(土)・10日(日)
■会場:大阪市中央公会堂 大集会室
■料金:S席9,500円 A席8,500円(全席指定・税込)

■公式サイト:https://artistjapan.co.jp/novecento-1900/
■Twitter:@aj_novecento
■お問い合わせ:アーティストジャパン 03-6820-3500

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