2022年2月19日(土)『歌劇とレビューで読み解く 美しき宝塚の世界』(石坂安希 著)が発売された。
100年以上の歴史を持ち、兵庫県の宝塚市と東京の日比谷に専用劇場を所有する宝塚歌劇。本書では、その目玉のひとつである「レビュー」をキーワードに、宝塚研究で博士号を取得した著者が宝塚歌劇を様々な角度から深く掘り下げ、その魅力の真髄に迫っていく。
劇団の歴史や美学、演出の特徴などを知ることで、観劇のきっかけとなり、また観る前の予習としても使える1冊。巻末には「宝塚名作紹介」として、『ベルサイユのばら』『エリザベート』など、歴代の傑作をじっくり取り上げている。
『歌劇とレビューで読み解く 美しき宝塚の世界』
石坂安希 著
定価1,980円(本体1,800円+税10%)
仕様:四六判/272ページ
ISBN:978-4-8456-3712-6
商品情報ページ
URL:http://rittorsha.jp/items/18317419.html
【目次】
1 「夢の世界 タカラヅカ」の誕生
・夢の世界への招待
「ムラ」の魅力/「フェアリー」と呼ばれるタカラジェンヌ
・宝塚少女歌劇の結成
小林一三による阪急電鉄事業/プールを劇場に/「観客ファースト」の舞台作り
・レビュー時代の到来
大劇場に適した演目を求めて/日本初のレビュー《モン・パリ》/レビューの行き詰まり/レビューの王様・白井鐵造/レビュー革命の始まり/宝塚独自の演出/陶酔できるレビュー
・宝塚歌劇らしさをめぐって
少女歌劇の限界/乙女の園における男性加入問題/「宝塚的レビュー」が生まれるまで/スターの育成
2 「演劇」としての宝塚歌劇
・西のムラ、東の東宝
東西の劇場における雰囲気の違い/宝塚の東京進出/東京宝塚劇場の役割
・国民劇とは何か
宝塚歌劇の根底にあるもの/新作主義と独自の演出
・潤色ミュージカルと宝塚
小池修一郎によるミュージカル《エリザベート −愛と死の輪舞−》/トートとエリザベートのラブストーリーへ/宝塚版のために書き下ろされた〈愛と死の輪舞〉/ウィーン版のエンディング/日本人が好むエンディングへ
・《ロミオとジュリエット》の愛と死
小池修一郎によるミュージカル《ロミオとジュリエット》/死後の結びつきを描いた宝塚版/日本人の情念に訴えかける演出
3 《ベルサイユのばら》の衝撃
・《ベルサイユのばら》舞台化への道
「古典」になった《ベルばら》/池田理代子による『ベルサイユのばら』/宝塚歌劇の再起を賭けて
・宝塚版《ベルばら》の演出技法
《ベルばら》独自の様式美/様々な宝塚版《ベルばら》/宝塚版のアントワネット/プロローグとフィナーレ/国民劇を体現した作品
・《ベルばら》から派生する世界
《ベルばら》と《ルパン三世》/ルパンが惚れたアントワネット/《ベルばら》と《1789 −バスティーユの恋人たち−》/運命に立ち向かうヒロイン
・作品に込められたメッセージ
戦争体験が反映された作品/平和への願い
4 レビューとタカラジェンヌ
・宝塚とレビューの関係
TAKARAZUKA REVUE/レビューの系譜/偉大なるマンネリズム
・レビューと演出
レビューの見所/ラインダンス(ロケット)/デュエットダンス/パレード
・タカラジェンヌの輝き
虚構の美しさ/「男役10年」ということ/男役の美学/娘役の美しさ/ヒロインたちの存在感
・トップスター、そして退団
トップスターという存在/リミットがあるからこそ美しい
付録 宝塚名作紹介