2026年4月3日(金)~4月26日(日)に東京芸術劇場シアターイースト、5月に松下IMPホールにて、舞台『岸辺のアルバム』の上演が決定した。
本公演の原作となるドラマの脚本は、数々の名作ドラマを世に残した山田太一。山田が原作・脚本を務め、1977年に放送されたドラマ「岸辺のアルバム」は、1974年9月に発生した多摩川水害がモチーフとなっている。母親の不倫から始まる家族の崩壊というリアルでセンセーショナルなストーリーは、当時のホームドラマの概念を覆した。昭和を代表する名作ドラマが、モチロンプロデュースの舞台作品として蘇る。倉持裕脚色×木野花演出のコンビは、2022年に向田邦子作「阿修羅のごとく」を舞台化し、第30回読売演劇賞優秀作品賞、優秀演出家賞、優秀スタッフ賞の3冠を受賞した最強コンビだ。
■あらすじ
多摩川の土手沿いに一軒家のマイホームを構える田島家は、一見平和で平凡な四人家族だ。
母・則子(小林聡美)は専業主婦。日々の家事に追われ、家族とのやり取り以外は殆どない毎日を送っている。とある日中、家に一人でいると無言電話がかかってくる。単なるいたずら電話と思いつつも、度重なる電話に、やがてその相手(田辺誠一)と会話するようになる。
父・謙作(杉本哲太)は仕事一筋の商社マン。仕事中心の生活はやがて家族との溝が広がっていくことに。
娘・律子(芋生悠)は大学で英会話を学ぶことに夢中。プライドが高く家族に対しても虚勢を張って生きている。
受験を控える高校生の息子・繁(細田佳央太)はなかなか勉強に身が入らないが、あるとき意図せず家族3人の隠された事情を知ってしまい大いに混乱する。若い正義感で何とかしようと奔走するのだが…
やがて各々の問題が浮き彫りになり、崩壊寸前の田島家。そこに台風が近づいてきて――。
田島則子役に映画『紙の月』で多くの助演女優賞を受賞し、近年は映画『まる』やドラマ「団地のふたり」に出演、倉持×木野タッグの舞台『阿修羅のごとく』にも出演した小林聡美。
田島謙作役に映画『白蛇抄』で日本アカデミー賞新人賞を受賞し、近年は映画『お嬢と番犬くん』や『366日』、ドラマ「スティンガース 警視庁おとり捜査検証室」などに出演の杉本哲太。田島繁役に大河ドラマ「どうする家康」や連続テレビ小説「あんぱん」に出演、2023年には舞台『メルセデス・アイスMERCEDES ICE』で主演を務めた細田佳央太。
田島律子役に短編映画『ヒゲとレインコート』にてSHORTS SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2019 ベストアクトレスを受賞し、4月に公開した『解放』では監督・脚本・主演を務めあげた芋生悠。
繁の担任・堀先生役にPARCO PRODUCE 2024『リア王』や連続テレビ小説「あんぱん」、ドラマ「スクープのたまご」などに出演の前原滉。
謙作の同僚の妻・川田時江、謙作の部下・秋山絢子の二役に舞台『Wife is miracle~世界で一番アツい嫁~』や『狂人なおもて往生をとぐー昔、僕達は愛した』に出演の伊勢志摩。
謙作の部下・中田敏雄役にドラマ「御上先生」や「完全無罪」に出演し、現在放送中の「恋する警護24時 season2」や「25時、赤坂で Season2」にも出演中の夏生大湖。
田島家に突然電話をかけてくる謎の男・北川徹役に多くの映画賞を受賞し、近年はドラマ「Dr.アシュラ」や「法廷のドラゴン」に出演、倉持演出の舞台『誰か席に着いて』では主演を務めた田辺誠一。実力派俳優たちがそろい踏み、田島家とそれを取り巻く人々の関係を豊かに浮かび上がらせる。
コメント
倉持裕(脚色)
山田太一作品には幼い頃から触れてきましたが、今回改めて脚本を読んでみて、登場人物たちが、映像で観ていた印象よりも実際ははるかにしつこく、粘り強く語り合っていたことに驚きました。対面はおろか電話ですら敬遠される現代から見ると、信じられないほどの接近戦、肉弾戦の連続です。全15話のテレビドラマを舞台に置き換えるのは至難の業ですが、その痛みや生傷は決して省かずに脚色したいと思います。
木野花(演出)
本作『岸辺のアルバム』は一見家庭劇のようですが、ひとりひとりの人間像や生き様をきちんと書き込んでいて、ただの家庭劇というよりも「どうやって生きていくのか」を問う人生劇のようにも受けとれます。今作に出てくるのは高校生から働き盛りの中年までですが、それぞれがその世代の人生を必死に生きているのが非常にドラマチックです。ひとつの家庭の中でそれぞれが台風の目を持っていて、いつ台風が発生するのかという怖さを抱えながら毎日を生きています。最後には本物の大自然の台風が襲ってきて、家族の台風との戦いになるわけですが、それをいかに演劇的に舞台に乗せられるかが今回の挑戦の一つです。また、この作品は 50 年以上前の時代を描いていますが、昭和という時代を振り返る事で、今、私達がどういう時代を生きているのか、改めて発見できる事に気づかされます。台風と戦う家族が、令和の私たちに何を伝えられるか、リアルに届けられたら幸いです。『岸辺のアルバム』、満を持しての舞台化です。素晴らしい名作に、魅力的な役者たちが花を開かせます。演出も全力で挑戦する覚悟です。どうぞ皆さまもご期待ください。
小林聡美
誰よりも熱い演劇人木野花さんの演出、圧倒的信頼の倉持裕さんの脚色、そして、期待感しかない昭和平成混合キャスト。そんな面々で、山田太一さんの代表作のひとつ「岸辺のアルバム」を、舞台の上でどんなふうに表現できるのか今から楽しみにしています。思いもよらぬ波紋にもがく家族とそれを取り巻く人々の、人間臭さ、愛。まさに舞台に台風が巻き起こります!昭和のひとつの家族のドラマから、いろいろなメッセージを感じていただけますように。
杉本哲太
山田太一先生の作品は1995年の「切ない春」というドラマに出演させていただきました。先生の台本はとても綿密に計算されていて素晴らしく、行間の「…。」に何が込められているのか想像して演じるのは、スリリングで緊張感がありつつ芝居をすることの楽しさや面白さを感じられたことを今でも鮮明に覚えています。
私の演じる田島謙作は、ザ・昭和のど真ん中に生きているお父さんです。真っ直ぐで、愚直で、不器用な頑固おやじ。誰よりも馬鹿純粋なんじゃないかと思っています。これから少しずつそのお父さん像を作っていきたいです。
小林聡美さんとは約30年ぶりの夫婦役になります。そして私自身は10年ぶりの舞台、木野さんの演出を受けるのは初めてになりますので、緊張もしていますがとても楽しみです。皆さんも是非楽しみにしていてください。
細田佳央太
田島繁を演じます、細田佳央太です。
今回、これだけのベテランの方々に囲まれて舞台という場でお芝居をできることが本当に楽しみです。約50年近く前に放送されたドラマの舞台化ということで、非常にワクワクとした気持ちがありますし、時代が変わったからこそ新たに見えてくる家族像があると思っています。
舞台という場所での経験値はまだまだ足りておらず至らない点もあるかと思いますが、多くを吸収しながら、より良い作品をお届けできる様頑張ります。
芋生悠
律子という役にこれから出会えること、
そして、ずっとご一緒したかった木野花さんの演出のもと、素敵な演者の皆さまと同じ空気を吸いながら、あらゆる可能性を探っていけることが楽しみでなりません。
日々変化する感触を大切に、この身体のすべてで体現できるよう努めます。
“家族”の在り方を断言できないように、田島家がどんな景色を見据えるのかは未知数ですが、だからこそ、その計り知れなさに賭けてみたいと思っています。
行く末を見届けていただけたら幸いです。
前原滉
堀先生役を務めさせていただく前原滉です。
舞台のお仕事で日本の方の演出を受けた経験があまりなく、初舞台のような気持ちでとても緊張します。
演出の木野花さんをはじめ、キャストの皆様も素敵な方々ばかりでワクワクと不安と恐怖といろんな感情がごちゃ混ぜになっております。
まだ始まってないのに。始まったらどうなってしまうんでしょうか。
とにかく頑張ります。是非劇場に見に来てくださいませ。
伊勢志摩
ドラマが放送されていた当時、母親は見ていたような気がします。テーマ曲の「Will You Dance?」もこのドラマで初めて耳にしたのか?スタンダードだからか?自分でもこのドラマを見たことがあるのか、ないのか?再放送だったのか?もうよくわからないけれど知っていて、なんだか自分の中では馴染んでいました。
舞台のお話が決まったとき、改めて全話観ました。号泣でした。55歳にして泣けました。今見直してよかった、今、演れてよかったです。
夏生大湖
ついに!!!と思いました。やってみたかったけど臆病な僕はどこか避けたかった舞台でのお芝居。
その初めてがついにきたか、と思いました。テイク2の無いその場、その時限りのお芝居をお客様に届けることが怖くもあり楽しみです。初舞台なので初めてだらけですが、今の全力を出してより成長していけたらと思っています。
不安は大きいですが、初めてだから仕方がない!と腹を括り、たくさん吸収していきたいと思います。
頑張ります!!!
田辺誠一
子供の頃は多摩川の河川敷で釣りをしたり野球をしたり自転車に乗ったりして遊んでいました。その僕の地元から上流に自転車で15分走ると、その場所があります。51年前の1974年の出来事、1977年のドラマですが、今でもその現場近くを車で通ると、必ずその出来事を思い出します。人生とは、家族とは、幸せの種類、いろんな感情が湧き上がる色褪せない物語を、素晴らしいキャスト・スタッフと共に作りあげるのが今から楽しみです。
『岸辺のアルバム』公演概要
作:山田太一
脚色:倉持裕
演出:木野花
出演:小林聡美、杉本哲太、細田佳央太、芋生悠、前原滉、伊勢志摩、夏生大湖、田辺誠一
東京公演:2026年4月3日(金)~4月26日(日) 東京芸術劇場シアターイースト
大阪公演:2026年5月 松下IMPホール
公式HP:https://otonakeikaku.net/stage/6934/
企画製作:モチロン

