6月7日に初日を迎えたミュージカル『エリザベート』。すでに2公演を観て、両トートを堪能した。
観劇したキャストは上記のとおり。ルドルフもお二人堪能したことになる。
帝国劇場内に飾ってあるキャストの写真を見ると、エリザベートを中心にトート、ルキーニが写っている。以前はフランツもいたような気がしたのだが……。宝塚版ではたいてい男役2番手がフランツ・ヨーゼフを演じているけれど、トートとルキーニがじわじわとエリザベートに迫っていくのが『エリザベート』という話の大事な部分なのだろうから、そういう意味でフランツよりもルキーニにスポットを当てるのは当然かもしれない。
ちゃぴさん(愛希さんの愛称)のエリザベートは宝塚時代に拝見しているが、その時に歴代のエリザベートの中で一番好き!と感じた。私はエリザベートを演じる人が最初の『パパにみたいに』をどのように歌うかということをチェックするのだが、ちゃぴさんは実にうまい。この曲はものすごく難しい上に少女らしさを出さなければいけないから大変だろうに、きっちりやってのけている。そして王宮に入って戸惑いながらも皇后として自信をつけた時に醸し出すオーラ、傷心で各国を放浪するうつろな表情にいたるまで、ちゃぴさんが演じるエリザベートに魂を感じる。
そのエリザベートを追い続ける2人のトート。古川さんがトートを演じると決まった時に、そのお顔立ちのせいもあるけれどクールなトートになるのではないかと想像していた。実際に拝見してみると予想以上で、エリザベートを愛して追いかけているのだろうけど、その眼差しはどこまでも冷たい。人間ではなく死なのだということをものすごく意識して役作りをされたのだろうなと感じた。反対に井上さんのトートは熱かった!『最後のダンス』で♪最後に勝つのはこの俺だ♪とエリザベートに向けて放つ時の鬼気迫る横顔が脳裏にこびりついて離れない。しかしどちらのトートも美しいことこの上ない。
そして私の大好きな役ルキーニを演じていた成河さん。気が付くとオペラグラスで成河さんの表情ばかりを追っていたのだが、いっちゃってる目つきだけれど、どこか品のあるルキーニ。「ルキーニに品があってはならない!」という人もいるかもしれないけれど、私は成河ルキーニが好きだ。エリザベートをねちっこく見つめる様は、ルキーニもトートと一緒にエリザベートに恋をしているかのようで、その不気味さがたまらない。
田代フランツがエリザベートへの愛と皇帝の義務の間で苦悩する姿、ゾフィー役のたーたんさん(香寿さんの愛称)の圧倒的な歌唱力と亡くなる瞬間に帝国を憂い涙する演技、木村ルドルフのパッと目をひく華やかさ、京本ルドルフが自殺するシーンで魅せた表情、どれをとっても素晴らしいものばかり。何回観ても新たな発見がある作品だとつくづく思う。チケットが入手できない公演というのが残念だけれど、運よくチケットを手に入れた人は、ぜひすべてのキャストの表情をじっくり見てほしいと思う。
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