2021年9月16日(木)~9月20日(月・祝)東京芸術劇場シアターイーストを皮切りに栃木、富山、石川、大阪にて、音楽劇『海の上のピアニスト』が上演される。
豪華客船の中で生まれ、生涯を船で過ごした天才ピアニスト・ノヴェチェントの物語を美しい音楽とともに描く本作。
本格的な稽古が行われる中、内博貴さんが演じるノヴェチェントの親友・トランぺッター役として出演が決定している藤本隆宏さんにお話を伺うことができた。数々の舞台で主要な役を演じてきている藤本さんが、本作への意気込みを熱く語ってくださった。
ミュージカルとは違う趣がある音楽劇
――音楽劇『海の上のピアニスト』では、内博貴さんが演じるノヴェチェントの親友・トランぺッター役に挑まれます。内さんとは初共演ですが、印象はいかがですか?
藤本:とても気さくな方で、内さんは関西出身、私は福岡出身ということで、似た感覚があってフランクに話せています。
ビジュアル撮影の時に内さんがメイクをして衣装を着た姿を見て「こんなにかっこいい人がいるんだ!」と思ってびっくりしました。「内さん、いいなあ」と大好きになりました(笑)。私が演じるトランぺッターは、内さんが演じるノヴェチェントのことを好きになっていくわけですから、そのままの感情で芝居に入っていけています。
――本格的に稽古が始まり、内さんとはどのようなお話をされていますか?
藤本:初日から二人でガッツリ組んで稽古をしていますが「いや~大変だね」と毎日話しています。
――具体的にはどんなところが大変ですか?
藤本:やっぱり音楽ですね。この作品は普通のミュージカルとは少し違う雰囲気のある作品なんです。いつもは芝居に音楽が合わせてくれるところがあるのですが、今回は違っていて、曲をしっかり感じながら調整していくことが大事になっています。そこが難しかったり、面白かったりする部分ですね。ピアノという柱が1本あって、それに合わせて芝居をしていく感覚です。
演技ではなく自然に涙がこぼれるシーンも
――藤本さんが演じるトランぺッターは、内さんが演じるノヴェチェントの親友で、彼を見守る役のように思います。どのような役作りを考えていますか?
藤本:見守るというよりも、お客さまと一緒にピアニスト・ノヴェチェントを見つめて、心を動かされていく役なのかなと思ったりしています。ノヴェチェントとの関係性を考えながら演じていると、演技ではなく自然に涙が出てしまう場面もあるんですよ。それぐらいトランぺッターはノヴェチェントに心を動かされていくんだと思います。
――二人芝居でありながら、内さんと掛け合うシーンはあまりないとお聞きしました。
藤本:そうですね。ただ、掛け合いで1時間半の芝居をやるよりは、そのほうがいいのかなと思っています。
なぜなら後半の二人の掛け合いシーンでは、それまで二人のやり取りが少なかった分、際立つんです。ですから、あえてこのような演出になったのかなと思ったりもしています。
――上演台本・演出を手掛けるのは星田良子さんです。公式サイトのコメント動画では「厳しい先生」とおっしゃっていましたが、実際に稽古が始まっていかがですか?
藤本:実は俳優仲間で、星田さんにこてんぱんにやられた人が何人かいて、とても厳しい方と話を聞いていたんです。最初はどうなることかと思ったんですが、実際はとても優しく、丁寧に演出をしてくださる方です。
星田さんは芝居をしながら、その時の感覚で演出をしてくださいます。ご自分の感覚をすぐに伝えてくださるので分かりやすいですし、一緒に作ってる感がありますね。
膨大なせりふの量との格闘が大きなチャレンジ
――今回の作品で藤本さんとして「チャレンジだな」と感じていることはありますか?
藤本:こんなに膨大なせりふをしゃべることが、経験上ありませんでした。役者を始めてから10年くらいはせりふがない時代があって、たくさんのせりふを言ってみたいと思ってはいましたが、それ以上の量ですから…。
しかも海や船、ピアノなど、同じような単語がたくさんあるので、そこを間違えないように、きちんと最後までいただいたせりふを言えるかどうかが、大きなチャレンジになると思います。
――ピアニスト・ノヴェチェントに心を動かされる役を演じられますが、藤本さんにとってピアノはどういう存在ですか?
藤本:劇団四季にいた頃は、発声をする時に少しピアノを弾くことがありました。ピアノはすごく好きなんですよ。
特に映画のピアノ音楽が好きで、最近でいえば『ノマドランド』や『最強のふたり』の音楽を手掛けているルドヴィコ・エイナウディが大好きです。あとマイケル・ナイマンもよく聴きますね。
ピアノ音楽を楽しむのはもちろんのこと、ピアニストの姿を見ていることも好きなんです。演奏している時の表情、息づかい、指先の動きや足でリズムを取っているところをじっと見つめているのは楽しいですね。
かっこいい内さんに注目!
――改めて作品のアピールをお願いいたします。
藤本:芝居を観るというのではなく、音楽を聴きに来るような感覚で来ていただきたいです。「ピアノのリサイタルに来たら、そこで芝居をしていた…」という感覚で、肩の力を抜いていらしていただければよいのかなと思います。
(力を込めて)そして、内さんのかっこ良さがこの世のものとは思えないぐらいで!
いつもの内さんとは違う、孤独にピアノを愛して、船を愛して、悩みながら船の上で一生を過ごしていく姿が、男の私から見ても「わーっ、ずっと見ていられる」と思うほどかっこいいので、そこはじっくりと見ていただきたいです。
先ほど、ピアニストの姿を見るのが好きだという話をしましたが、ピアノの前に座っている内さんは、まさにピアニストそのものですよ。
――藤本さんのスーツ姿も内さんと同じくらいかっこいいですしね!
藤本:いやいや、やめてくださいよ。内さんのタキシード姿には絶対に勝てないので、私は三枚目の路線でいきたいと思っています(笑)。
でも本当に音楽が素晴らしいので、音楽に癒されに舞台を観に来ていただきたいです。音楽、プラスせりふの美しさだったり、内さんの美しさだったり…。心が洗われる作品になっているので、コロナ禍ではありますが、観れば絶対元気をもらえると思いますので、ぜひご来場ください。よろしくお願いします。
取材・文 咲田真菜
取材・編集:彩川結稀
写真:オフィシャル提供
【公演情報】
音楽劇『海の上のピアニスト』
作:アレッサンドロ・バリッコ
上演台本・演出:星田良子
訳:草皆伸子(白水社 刊)
作曲:音楽監督:中村匡宏
製作:アーティストジャパン
出演:内博貴、藤本隆宏
ピアノ演奏:西尾周祐、宮川知子(富山公演のみ)
【東京公演】
■日程:2021年9月16日(木)~20日(月・祝)
■会場:東京芸術劇場 シアターイースト
■料金:S席9,500円 A席8,500円(全席指定・税込)
【栃木公演】
■日程:2021年9月23日(木・祝)
■会場:栃木県総合文化センター サブホール
■料金:S席4,000円 A席3,000円(A学生1,500円)(全席指定・税込)
【富山公演】
■日程:2021年9月25日(土)
■会場:富山県教育文化会館
■料金:S席9,500円 A席8,500円(全席指定・税込)
【石川公演】
■日程:2021年10月7日(木)・8日(金)
■会場:北國新聞 赤羽ホール
■料金:8,800円(全席指定・税込)
【大阪公演】
■日程:2021年10月9日(土)・10日(日)
■会場:大阪市中央公会堂 大集会室
■料金:S席9,500円 A席8,500円(全席指定・税込)
■公式サイト:https://artistjapan.co.jp/novecento-1900/
■Twitter:@aj_novecento
■お問い合わせ:アーティストジャパン 03-6820-3500