無実の罪ですべてを失った大阪の不動産デベロッパー会社の社長が、最強弁護士チームとともに無罪を勝ち取る逆襲エンタテインメント『負けへんで』が、2026年11月13日(金)より全国ロードショーされる。
本作は 2019年、大阪の不動産デベロッパー社長・山岸忍氏の身に起きた実際の事件を基に、『空飛ぶタイヤ』の本木克英監督がエンターテイメントに昇華させた。
主人公・藤堂繁を演じるのは、演じるキャラクターによって全く違う色を見せることに定評のある内野聖陽。今回は揺るぎない信念を持つ主人公を力強くかつ繊細に演じる。
藤堂を追い詰めていく検事・鈴鳴通子に松本若菜、藤堂を支える最強弁護士軍団に竜星涼、藤本隆宏、石丸幹二、川添野愛、藤堂を支える恋人・美奈に美村里江、藤堂を友人として応援し続ける君塚に北村一輝といった個性的な俳優陣が集まった。
このたび、藤堂を支える弁護士団の一人、中嶋弁護士を演じた藤本隆宏さんにインタビューする機会に恵まれた。主人公の藤堂を演じる内野聖陽さんと対峙するシーンが多かった本作で、印象に残っている出来事や、撮影現場の雰囲気について語ってくださった。
――藤本さんは、内野さんが演じる藤堂繁を弁護する、弁護士の中嶋を演じられました。どのように役作りをしようと意識しましたか?
藤本:中嶋弁護士は藤堂の味方ではあるのですが、あえて最初から「味方だという雰囲気」を出さないようにしました。敵が多い藤堂が奮闘して乗り越えていく姿をより強く見せたほうが面白いと思ったからです。そのため最初の段階で、中嶋は味方でも敵でもなく、冷静な目を持つ人物であることを意識して演じました。ところが中嶋も次第に藤堂に心を動かされて変わっていきます。後半は、冷静な弁護士でありながらも人間味のあるところを表現しました。
――確かに最初のほうは「中嶋弁護士は意外にクールで、ちょっと藤堂を突き放した感じだな」と思いました。藤本さんなりの役作りが背景にあったのですね。本物の弁護士さんっぽくてリアルだと感じました。
藤本:最初に映像を観たときに「中嶋弁護士が心ない人に映ってしまったらどうしよう」と心配しましたが、そう言っていただいてうれしいです。
――今回は実際に弁護士の方からアドバイスを受けたりしましたか?
藤本:特になかったのですが、友人に弁護士がいるので、立ち居振る舞いを見て参考にしました。また、過去に何度か弁護士役はさせていただいているので「弁護士とはどういうものか」を少なからず勉強してきましたから、スムーズに役に入っていけたと思います。
今回の中嶋弁護士はおっしゃる通り、意外とクールなんですよ。人間の感情だけで世の中は動かせない、法のもとにおいて全てが動いていると見る冷静さがあります。中嶋弁護士のそういう面を大事にしながら演じました。
――今回は内野さんと対峙するシーンが多かったと思います。印象に残っているシーンはありますか?
藤本:内野さんとは付き合いが長くて、舞台でも500ステージ近くご一緒していますし、大河ドラマやその他のドラマでも共演したことがあり、昔から知っている仲です。でも今回ほど内野さんとプライベートで仲良くさせてもらったことはないし、芝居のことを語り合ったこともなかったですね。
この作品では、最後の法廷のシーンで「内野さんはすごいな」と改めて思いました。内野さんはリアルな芝居するために、絶対に相手の目を見て、どういう反応をするかを見ながら演技をすることにこだわる方です。僕は内野さんの演技の姿勢や気持ち、情熱が大好きで、すごく学ばせていただきました。
――法廷のシーンで、藤堂が一瞬カーッとなった時に、中嶋が藤堂の腕をつかんで抑えるところがとても印象的でした。腕をつかむタイミングが絶妙でしたね。
藤本:撮影が後半に入るにつれ、内野さんとプライベートでお話する機会を多くいただきました。そこでお互いに熱い芝居論を交わして話し合った結果、あのシーンが出来上がりました。中嶋弁護士が、藤堂との人間関係を築き上げた上で法廷のシーンにたどり着いたからこそ、できた芝居だと思っています。
――撮影は、物語の流れのとおりに行われたということですね。
藤本:そうです。内野さんが痩せたりヒゲを生やしたり、外見に変化が出る役だったため、順番どおりに撮影できたのでやりやすかったです。
法廷シーンは、監督・役者・スタッフ陣全員が、一番大事なシーンだと認識していましたので、大切に撮影しました。中でも内野さんの熱量はものすごいものがありました。「ここは一番大事なんだ!」と、エキストラの方も含めて雰囲気作りしてくださった役者魂には頭が下がりました。
――裁判官、検事などを演じられた方々も本当にリアルで、法廷シーンだけでもこの映画を観る価値があると感じました。
藤本:それはうれしいですね。
――藤本さんご自身は、どういう気持ちで法廷シーンに臨まれましたか?
藤本:冷静な弁護士であった中嶋が、藤堂に心を動かされて「もう少し人間っぽくなってもいいんじゃないか」と思いながら演じました、その一方で暴れ馬の藤堂が隣にいるので、それを制しなければいけない弁護士の立場を忘れず、冷静な部分も持ち合わせながら撮影をしました。弁護士は、勝つためにはどうすればいいのかということを冷静に考えなければいけませんからね。
――藤本さんが属している弁護団の仲間たちが何人かいらっしゃいます。雰囲気はいかがでしたか?
藤本:頼もしい仲間たちでしたよ。大和田弁護士役として、石丸(幹二)さんがいらっしゃいましたからね。石丸さんは、僕が劇団四季に入る時の審査員だった方なんです。そういう先輩・後輩関係があり、今回大好きな石丸さんと初めてがっつり組んで芝居ができて嬉しかったです。
雰囲気もすごく良かったですね。時間が空いた時に石丸さんと竜星(涼)くんと川添(野愛)さんの4人でコーヒーを飲みに行きましょうと言って、飲みに行ったこともあります。すごく仲良く、撮影させていただきました。本当に頼もしい弁護団だったと思います。
――石丸さんは途中から弁護団に参加されますが、グッと締まりましたよね。
藤本:石丸さんは、普段は可愛い方なんですけど(笑)、ドシッと演じられていましたね。石丸さんが参加したことで、また一つ大きな柱が増えてチームが一つになった感じが出ました。
――弁護団は和やかな雰囲気だったということですが、一方で敵となる検事側の方々と交流はありましたか?
藤本:撮影所ではあまり交流はなかったですね。対峙する相手ですから、あえて話をしないように役作りをしていました。戦わなければいけない相手と変に気持ちが通じ合うのもよくないかなという気持ちがありました。
ただ、撮影が終わってから検事役をされた中林大樹さんと飲みに行ったことがありました。彼は昔、内野さんの付き人をされていたそうなんですよ。その関係で僕と内野さんが一緒に飲みに行くとき「中林も誘おう!」となったことがありました。内野さんが中林さんのことをすごくほめていて、涙ながらに昔話をしているのを見て、僕がもらい泣きするという……(笑)。そんなことがありましたね。
――内野さんをじわじわ追い詰めていく鈴鳴検事を演じた松本若菜さんも見事でした。
藤本:今回、内野さんは関西弁のせりふに苦労されていたんですけど、松本さんも関西弁があまりわからなくて……という話をされていました。どうなのかなと思って本編を見たら素晴らしかったです。僕は松本さんとのシーンはなかったのですが、松本さんの存在感はすごかったですね。内野さんと松本さんが対峙する流れがあったからこそ、面会シーンや法廷シーンが出来上がったと思いますから。
――この作品では、改めて冤罪のおそろしさを感じました。誰の身にも起こる可能性があると思うのですが、藤本さんが藤堂の立場になってしまったらどうなると思いますか?
藤本:なってみなければわかりませんが、真実を伝えたいと思う一方で、黙秘することが一番いいんじゃないかと思ったりもします。弁護士に「黙秘をしたほうがいい」と言われたら、そのまま素直に従うような気がします。そこは藤堂とは違いますね。
――藤本さんが「負けへんで」と思う瞬間を教えていただけますか。
藤本:水泳をずっとやってきたので、そこで「負けへんで、負けへんで」という気持ちをずっと持っていました。でも役者になってからは、負けへんでという気持ちをあえてなくそうと思い、今はあまりそういう気持ちにならないです。水泳で戦ってきた反動かもしれません。一方で、人のために何かやりたいという気持ちはあるので、人のために「負けないぞ」と思うことはあります。
ただ、今回内野さんに「藤本ちゃんは、命がけで水泳やってきただろう。役者でもそれをもっと出さなきゃダメだ」とアドバイスをもらいました。芝居ってちょっと力をぬかないといけない部分があるじゃないですか。どちらかというと自分は、日ごろから力が入ってしまうほうだと思い込んでいたところがあるんです。
でも内野さんのアドバイスで、もう少し熱を入れてやってもいいんじゃないかということを教えてもらいました。だから、水泳をやっていた頃の気持ちにもう一回戻して、今後の役者人生を歩んでいこうと思います。そういう意味で、この作品は自分にとって大きく役者人生を変える作品になりました。
――最後に、作品のアピールポイントをお願いいたします。
藤本:自分が出演している作品であるにも関わらず、本編を観て何度も涙が流れました。こんなに心を動かされる作品なのだと改めて思いました。皆さんが思っている以上にいい作品、感動できる作品だと思うので、ぜひ多くの方に観ていただきたいと思います。
取材・文:咲田真菜
2026年11月13日(金)全国ロードショー
公式サイト:https://gaga.ne.jp/makehende/
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